リーフラム伝承記 ベルク編
*クライス=シルクのメモ書きが散らばっている。
人の話を聞き取った物のようだ。
一番上にあるページを読んでみますか?
⇒ はい Yes
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俺の昔の話が聞きたいって?
……いいぜ、お前、あいつの知り合いなんだろ。
だったら信用するぜ。
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俺達が生まれ育ったのは、嵐が吹きすさぶ砂漠だった。
1人じゃないのかって?
……俺には妹がいてな、名前はフラミィだ。
いや、そんなに暗い顔しなくて良いぜ。生きてるよ。
生みの親は俺らがガキの頃に行方不明になっちまったが、
運良く俺らは商隊に拾われて可愛がられた。
俺は力仕事を手伝い、フラミィは宝石細工を習った。
旅を続けて数年が経ち、俺らは一人前として認められるくらいになった。
風一つなく、太陽がギラギラと照りつけていたある日、
突然、山程もある赤い壁が現れた。
一瞬遅れて、激しい竜巻が巻き起こった。
飛ばされながら、そびえたつ赤い壁が眼に入った。
赤い壁は、炎をまとった巨人だった。
そいつは、フラミィの方に手を伸ばした……ように見えた。
俺は、空高く吹き上げられ、遠くへ飛ばされたらしい。
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気がついた時には、俺の顔を鹿が覗き込んでいた。
そいつの舌が俺の顔を舐めて、俺は起きあがった。
小鳥の鳴き声が響く森に、俺はいた。
全身に痛みがあった。
朦朧とした意識の中、俺は周囲を見回した。
フラミィも、商隊の仲間も、そこにはいなかった。
それから色々あって、今に至るってわけだ。
そうだ。今じゃこんな状態だが、俺はフラミィを探している。
フラミィは生きてる。……なんとなく解るんだよ。
うまく言えねーが、俺とフラミィは、何か似たモノっつーか、
元々一つだったんじゃねーかって思うことがある。
その感覚が、年を取るにつれ、離れ離れになるにつれ、強くなってきてる。
あの巨人も、俺らと何か関係あるんじゃねーかと思ってる。
リーフラム伝承記 ベルク編
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――兄妹が再会する時に、恐ろしいことが起きようとは
その時、誰が想像できただろうか――
*メモは、ここで終わっている。