リーフラム伝承記 ベルク編

*クライス=シルクのメモ書きが散らばっている。

 人の話を聞き取った物のようだ。

 一番上にあるページを読んでみますか?


 ⇒ はい    Yes

======================

俺の昔の話が聞きたいって?


……いいぜ、お前、あいつの知り合いなんだろ。
だったら信用するぜ。


-------------------


俺達が生まれ育ったのは、嵐が吹きすさぶ砂漠だった。

1人じゃないのかって?
……俺には妹がいてな、名前はフラミィだ。


いや、そんなに暗い顔しなくて良いぜ。生きてるよ。
生みの親は俺らがガキの頃に行方不明になっちまったが、
運良く俺らは商隊に拾われて可愛がられた。


俺は力仕事を手伝い、フラミィは宝石細工を習った。
旅を続けて数年が経ち、俺らは一人前として認められるくらいになった。


風一つなく、太陽がギラギラと照りつけていたある日、
突然、山程もある赤い壁が現れた。


一瞬遅れて、激しい竜巻が巻き起こった。
飛ばされながら、そびえたつ赤い壁が眼に入った。
赤い壁は、炎をまとった巨人だった。
そいつは、フラミィの方に手を伸ばした……ように見えた。
俺は、空高く吹き上げられ、遠くへ飛ばされたらしい。


--------------------


気がついた時には、俺の顔を鹿が覗き込んでいた。
そいつの舌が俺の顔を舐めて、俺は起きあがった。
小鳥の鳴き声が響く森に、俺はいた。


全身に痛みがあった。
朦朧とした意識の中、俺は周囲を見回した。
フラミィも、商隊の仲間も、そこにはいなかった。
それから色々あって、今に至るってわけだ。


そうだ。今じゃこんな状態だが、俺はフラミィを探している。
フラミィは生きてる。……なんとなく解るんだよ。


うまく言えねーが、俺とフラミィは、何か似たモノっつーか、
元々一つだったんじゃねーかって思うことがある。
その感覚が、年を取るにつれ、離れ離れになるにつれ、強くなってきてる。

あの巨人も、俺らと何か関係あるんじゃねーかと思ってる。

リーフラム伝承記 ベルク編

======================

――兄妹が再会する時に、恐ろしいことが起きようとは
  その時、誰が想像できただろうか――


*メモは、ここで終わっている。

リーフラム伝承記 ベルク編

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-02-22

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted