セカイ
声に優しい針がある。
嘘を吐けない糸もある。
正直に書ける思いより、
ひと時だけの事実となろう。
空回ってるのが想いなら
その原動力の上に生きる。
見えない所から降ってくる
言葉の音にも気付けるから。
聴ける耳だと信じよう。
君に預けた心はあったし、
繋いだ手からも離れられた。
感覚的な愛を覚えて。
詩的になれる眩暈でいい。
呂律の端まで躓ける。
荷物みたいにとっ散らかれば
想像以上の僕を語れる。
足元から伸びていこう。
顔を上げれば近いそこへ。
冷たく感じる宙の便りに
付け足す光を忘れてはいない。
未だ知らない顔でもあろう。
瞬く度に新しく
約束の朝は塗り替わる。
口元なんて隠せない。
手元で震える期待から
抑える胸も張り裂ける。
二つ目のある生き物として、
どちらも半端にできやしなくて
壊れるほどに腕を振った。
命に代えられない営み。
数多の星の永き願いに
溢れる砂と時間は固まる。
真っ白になった息と息。
二人はこうして出会った。
それぞれの瞳に写し出す、
名前を遠く後回しにして
再開するまでが約束だった。
隣り合う肩で触れ合って
白々しい台詞がまだ要らない。
僕らという均衡点の温もり。
声に優しい針があった。
嘘を吐けない糸の束と
正直に書いた思い。
見つけて欲しかった望み。
君の隣で感じられた。
指腹の痛みが鋭かった。
休める重みも交わして
魂の矢印が傾き出す。
周る、周る。
セカイと周る。
君をもっと、好きになって。
セカイ