「ゆりかご」

 魂迎鳥(たまむかへどり)の声遠く
 一人佇む瞼の裏の夜野原(よるのはら)
 背丈遙かに仰ぐ草は私を見向かず
 すくすくと夜空に(おもて)を向けて
 足元冷たき夜の海には
 海月の涙のかけらが沈んでいる

 私は水に寝そべって
 月のいない夜空に眼を伏せ
 ゆりかごの子守唄紡ぎながら
 伸び続ける草の根元、暗がりに憩う

 閉じた瞼の裏側にのみ
 ありありと搖らいでいる青い月

「ゆりかご」

「ゆりかご」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-02-05

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