「真冬の蝶」

 死したる蝶々
 その羽を引き千切って
 馬鹿な腕に押し当てた
 ぐしゃぐしゃと肌を汚して
 蝶の固まった血が垂れる…

 蝶は死んだ
 生きては居れなかった
 誰にも知られてはいけないこと
 自分にも知れてはいけないこと
 見てしまった
 感じてしまった
 蝶々は泣いて
 自裁した
 私の、前で…

 何かに恋することの
 哀れさよ、虚しさよ
 誰にも分らぬ内が花
 自覚した途端に枯れてしまうから…

 あゝ蝶よ
 悲しき恋の、従僕よ

「真冬の蝶」

「真冬の蝶」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-02-05

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