猫の死体

夏の眼差しに浸されて
猫は蘇る
人間だったものたちと混ざって
眼球によく似た
太陽になった
愛されたがって焦げ付いていく
焼け野原の郷愁を
標本にして
夏の思い出の一ページを捏造する
そばかすに似合うように
麦わら帽子を被って
顔に傷があるのをはっきりと自覚した
         (膿んだ火傷の痕のように
自分でつけた傷も
他人につけられた傷も
混ざり合って僕の顔になっている
        (猫の死体を切り刻むように
それが気持ち悪くて自傷が止められない

猫の死体

猫の死体

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-01-22

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