反例

生きていればいいことがある

そう言われて今際の際まで生きてみたが

いいことなど遂にひとつも起きなかった

死んで欲しい連中は死なず

生きて会おうと契った知己が尽く死に

馴染みの場所と風景はすべて喪われた

何もかもが俺にもう何も思い出させてくれない

死より残酷なことは延命だと

なぜ誰も教えてくれなかったのか

俺だけが無駄に生き延びて形だけの祈りを繰り返す、こんな犯罪が

いつまでも許容されている

生が罪だと同時に罰でもあるのなら

誰ひとりとして生まれてくるべきではなく、生きるべきでもない

愚にもつかない生への愚にもつかない詩を

あといくつ書けば完全な死に到れるのだろう?

反例

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-01-21

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