「扇の花束」
その持てる花束は
一本とても鮮花にあらず
扇なり
扇なり
溶け消えさうな淡い色味の扇抱えて
村娘は跣足で歩けり
水月の菖蒲は色淡く
霜月紅い火影も雪に混じる
何らの憂いぞ白い雪
娘の抱けるおぼつかない小扇を
かぢかませてまで何を嘆く
扇の花束は凍てたり
カンテラも翳さぬ幼けき娘
雪は止まず
娘も泣かぬ
音沈みし陸の世界で
閉じ込めた哀しみ
白雪のみ 感じる
扇の花束
雪どけの涙
「扇の花束」
その持てる花束は
一本とても鮮花にあらず
扇なり
扇なり
溶け消えさうな淡い色味の扇抱えて
村娘は跣足で歩けり
水月の菖蒲は色淡く
霜月紅い火影も雪に混じる
何らの憂いぞ白い雪
娘の抱けるおぼつかない小扇を
かぢかませてまで何を嘆く
扇の花束は凍てたり
カンテラも翳さぬ幼けき娘
雪は止まず
娘も泣かぬ
音沈みし陸の世界で
閉じ込めた哀しみ
白雪のみ 感じる
扇の花束
雪どけの涙
「扇の花束」