PVの話でも

　先日、#スズムラさん がPVのことを話題にされていましたので、ちょっと便乗させていただきます。

　先ず、PVとは何か？　ということから始めますと、これはページビュー（page view）という意味です。なので、PV数は単純にそのページが開かれた回数のことです。週間PVが500の記事なら、1週間で500回、その記事が開かれたという意味です。
　大切なことは、500人が訪れたという意味ではないことです。極端な話、一人で500回開いても、PVは500なのです。なので、PVだけだと、何人の方に読まれたのかは全く分からないのです。
　ちなみに、「何回見られたのか？」ではなく、「何人が訪れたのか？」を表す数値として、UU（ユニークユーザー）という指標があります。残念ながら、noteではUUは非公表ですが、本当はUUとPVの割合を調べると色んなことが分かってくるのです。

　余談ですが、似たような指標に「セッション数」というのもあります。これは、ざっくりと言いますと、閲覧回数ではなく訪問回数を表します。ほんと、ザックリですが。
　大抵のサイトでは、30分程度が1セッションと設定されております。（セッション切れという嫌な体験、誰にでもあると思いますが、まさにそのことです）
　例えば、ある朝に誰かがAさんのページを訪問し、1セッションの間に5つの記事を2回ずつ開いたとします。そして、その日の夜にも全く同じことをしたとします。この場合、その人がAさんに与えた一日の数値は、各記事とも、UUは1、PVは4、セッション数は2になるのです。お分かりいただけますでしょうか？
　ここではセッション数は重要ではないので、スルーしますが、そういうカウントの仕方もあるのです。

　さて、PVの話に戻りますが、PVが多い記事は人気（の定義はともかく）があるのか？　と言いますと、必ずしもそうではないとしか言えません。何故なら、あくまで開かれた回数が多いというだけだからです。単純にフォロワー数による影響も大きいですし、沢山開かれたから人気があるのか？　という根本的な疑問も解消出来ません。
　つまり、フォロワーが多いほど、表示される機会も増えますから、義理でも開く人は増えるでしょう。むしろ、フォロワーが1000人いるのに、PVが800だったら、人気のない記事とも言えます。逆に、フォロワーが100人なのにPVが700の方が、人気のある記事だと思うのです。単純なPV数の比較は無意味なのです。
　では、フォロワー数とPVの比率を見るといいのか？　と思うでしょうが、それもまた違うのです。
　例えば、コメント欄で3〜4人のユーザーと話が盛り上がりますと、投稿者も含め、決まった人が何回もページを開くことになりますので、その都度PVは増え続けます。記事の質や人気と関係なく、内輪の盛り上がりでもPVは増えるのです。
　他にも、私もやっていますが、イベントの告知なんて何度も確認の為に読み直してくださる人が多い為、PVは増えます。単純に、何度も読み返したい良記事も、当然ながらPVは増えます。大喜利やアンケートを行い、コメント欄で回答してもらうと、これまたPVは激増します。
　もう一つ、Ｘなどの外部サイトにシェアされ、拡散されると、おそろしいペースでPVは増えます。私もごく小規模の拡散を経験しましたが、それでも一週間で3,000PVを超えました。

　時々、noteの「スキ率」なんてものを計算している方もいます。スキ率って何だろう？　と思い、計算されている方の記事を読みましたら、どうやら「PV数に対するスキ数」の割合を表しているようです。
　つまり、（スキ数）÷（PV数）×100 です。

　なるほど、PVが500でスキ数が100なら、スキ率は20%ということみたいです。同じスキ数が100でも、PVが2,000なら、スキ率は僅か5%に下がるのです。なので、前者の方が、高い確率でスキをもらえる人気のある記事になるのですね……って、そんなわけないです！
　これは、とんでもない思い違い、決定的な間違いがあります。PVは前述した色んな条件により増えることはありますが、スキは一人一回しか押せないのです。面白い記事で何回も読み直しても、スキは一つしかないのです。

　もちろん、単純につまらなくて素通りされるだけの記事は、確かにスキ率が下がります。でも、面白く何度も読み返されてもスキ率は下がるのです。つまらなくても面白くても下がるのです。これだけを切り取っても、自己矛盾してくるのです。

　逆も言えます。もし、PVとスキ数が同数なら、スキ率は脅威の100%になりますが、これって、どういうことか分かりますでしょうか？　落ち込むレベルで酷い話なのです。単なる義理かな？　としか思えません。
　でも、この算出ですと、現実にはまず有り得ない話でしょうけど、スキ率が高くなるほどここに収束していくのです。つまり、PV=UU=スキ数、皆んな一回だけ開いてスキ押しただけ、リピートもなく、コメントも残さずに素通りしただけなのです。これが100%なので、基準値となるのですから、そもそも人気指数にはならないのです。
　要するに、この算出のスキ率は、高くても低くても喜べないし、何の比較材料にもなりません。

※

　例えば、スキ率が10%のパターンを幾つかあげます。

①PV10、UU10、スキ数1
10人が素通りしただけの記事、一人だけスキは押したがコメントはおそらく0。（PV=UUなので、リピートがないため）

②PV100、UU50、スキ数10
50人が一人平均2回閲覧、5人に1人はスキも押している。

③PV100、UU80、スキ数10
ほぼ素通りされているけど、若干名、リピーターもいる。一部の人にはウケた記事と思われる。

④PV1,000、UU200、スキ数100
一人平均5回閲覧、おそらくコメント欄も盛り上がっている。閲覧者の2人に1人がスキを押している。

⑤PV1,000、UU900、スキ数100
沢山の人に見られているのに、大半が素通り、9人に1人の割合でスキはもらえているが、リピーターは少ない。

※

　いかがでしょうか？　上記5パターンは全てスキ率は10%です。でも、内容は全く違います。

　せっせと計算されている方には受け入れ難いことかもしれませんが、はっきり言いますと、PVとスキ数の比率には、数学的に何の相関関係もありません。何故なら、分母となるPV数は、フォロワー数にもかなり左右されますし、他の色んな要因で大きく変動するからです。
　その分母の大きな変動に規則性があるのなら、そこに何らかのパラメータを見つけ出し、関数的な表現を齎らすことは可能でしょうが、前述したようにPVが増える条件は色々ありますので、全く法則性はないのです。もしあったとしても、上記例からも明らかなように、数値が高いと人気がある、ということには絶対になりません。
　むしろ、この算出でしたら、PVが増えるほどスキ率は下がる方が私は嬉しいです。コメント欄で盛り上がったのか、リピーターが多かったことになるからです。

　なので、もしそういう指標を求めるのなら、上の例からも分かるでしょうが、せめてUUを分母にするべきなのです。スキは一人一回しか押せないのですから、UUだとそれらしい数値にはなるはずです。つまり、noteでは不可能ということです。

　余談ですが、上の5パターンを見直すと、明らかに人気のある記事は④で、全く人気のない記事は①と⑤だと分かると思います。でも、PVに対するスキ率は、全て10%なのです。
　しかし、これをUUに対するスキの割合で計算し直しますと、①10%、②20%、③12.5%、④50%、⑤11.1%、となるのです。PVに対するスキ率は同じでも、こんなに違ってきますし、こちらの方が実情をリアルに反映していると思います。

　最後に、では、もしUUが分かると何を知ることが出来るのか？　という話を少しだけ追記します。
　まず、上の5パターンの説明でも触れましたが、PVに対するUUの割合を見ると、素通りされた記事なのか、盛り上がった記事なのかが一目瞭然になります。もっとも、「盛り上がる」というのは、「再訪」という意味で使っておりますので、その理由の分析は自分で行うしかありませんが。
　例えば、PV100でUUが90、UU率が90%なら、悲しいレベルで素通りされた記事と言えます。本人含めて90人が閲覧したのに、100回しか開かれていないのです。つまり、再読もほぼなければ、コメントもほぼないのです。
　PVもUUも、オーナーもカウントされますので、もしコメントがあればオーナーは見るでしょうし、返信を書いたらコメ主も再訪するでしょうから、UUは変わらずにPVだけが増え、結果UU率は下がっていくのです。
　このことは、PV数に関係なく起こります。PVが何千、何万もあろうと、UU率が高いと、素通りされている記事なのです。逆に、UU率が低いと再訪が多い記事なのです。もっとも、コメント欄で口論が発生しても同じ傾向にはなりますので、再訪の理由によっては良記事とは言い難いこともあり得ますが、ここでは無視します。

　もう一つ、フォロワー数とUUの関係も面白いです。たまに、フォロワーがものすごく多いのに、不思議なぐらいスキの少ない人もいますが、おそらくですが、UUはフォロワー数よりずっと少ないのだと思います。簡単に言えば、ほとんどのフォロワーにスルーされているのです。
　具体的には、フォロワーが1,000人いても、UUは100人もいない可能性もあります。フォロワーが150人でも、記事を書くとUUが100人ぐらいいる人もいます。どちらも、UUに対するスキの割合が50%だとすると、フォロワーの数は6倍以上違うのに、スキの数は同じになるのです。実際、こういうことは頻繁に起きています。
　つまり、PVやフォロワーの数は、それだけだと人気のバロメーターにはならないのです。強いて言えば、大切なのはUUです。フォロワーがどれだけいても、記事を読んでくれるフォロワーがいないと無意味なのです。これは、Ｘやインスタでも同じことが当てはまります。

　もし、スキ率に代わる「人気記事の指標」を求めたいなら、本当はフォロワー数に対するUUの比率や、UUに対するスキ数の比率で比べるべきでしょう。その二つを数学的に合わせますと、「フォロワー数に対するスキ数」が、少しは参考資料に出来るかもしれません。
　とは言え、詳細は省きますが、信頼性は低くて目安にしかなりません。特に、noteのスキは外部ユーザーも押せますので、少しややこしい分析も必要になります。
　それでも、スキ率を算出したいのなら、UUから行う方が理に適っているには違いありません。少なくとも、PVには大した意味はなく、PVに対するスキの比率なんて、統計学的に全く意味を為さないのです。

　と書いたところで、分からない人には分からないのでしょうね。そもそも、分かる人は、最初からスキ率なんて無意味ってことに気付くでしょうから。
　でも、分からない人は、「コイツ、馬鹿じゃない？」と思いながらこの記事を読み、せっせとスキ率を計算しているのでしょうね。頑張ってください。（辛口でごめんなさい）