気持ち
正誤を問わない
海の中のようでいて、
その抵抗感の無さが
嘘みたいだ。
直ちに発する言葉も
溺れるみたいに離れて、
そのままになる。
皮膚を求めたりしない。
どうしてなんだろう。
真砂に沈める足先から
足首に至るまで
時間はそんなにかからなくて
梳いた髪より
冬景の鮮やかさを描いて
思い浮かべたり、
泡の息を呑み込んだ。
使命のない星ならば
甘いと囁く感触。
飲み込める全てと
眠りにつく旅。
伝説の石となれば
語られる重しとなって
水面の幸せを取り、
天上に強く放れる。
あるいは
軽はずみな恋を患い
正せない過ちと、
血塗られた運命に笑むのかも。
瞼を下ろし
束の間の闇の中で
透過する、
あの長く灯る光の元、
ぎこちない動きで
表される指先の数々は
痛く、遠く、囁いて
消える。
その道の半ばで
胸に残る
激しい鼓動は
割れるぐらいに近くて、
傾ける首と
それに付き従う耳で
それを拾って
泣いた。泣いた。
涙という出来事に
全ての心を託して
熱くなるまで
明かして、叫んだ。
石灰化した
生物たちの亡骸に
響き渡る弱さ、
その創れる名前のために
浮かび上がろうと
舞い戻ろうと思えた時は
この時だけだった。
約束が叶えられたように
すっと抜けた力が
仰向けになった身を
見逃していき、
真砂が視界を濁らせた。
私はきっと朝日に晒される。
あるいは
胸の中で思う矢先から
気持ちの端々に救われる。
その途上、その時々で
瞬く回数の分だけ、
目の前は明るくなる。
生まれ直しもだから要らない。
今ある声、
それが全て。
だから呼んだ、あらん限りに。
光る君。
この手を返して、それを識った。
気持ち