壊れた祈り
詩作と生殖の違いが判らなくなり嘔気を催した夜
おれは背の創を神経症の人間のように繰り返し数えることしかできなかった
何も言わずに背をさすることが優しさだ、と嘯くくらいなら
罵られながら殴られる方がずっといいと思えた
発語も沈黙も加害なのだとしたら、おれは発語することを撰ぼうと肚を括った
赦されない苦しみを終らせるために死ぬのではなく
苦しみは終らないという宿命を受け容れ
苦しみながら存在することを撰んだあの夜、生きるのではなく
ただ在るということを意識したあの夜、おれはほんとうに壊れてしまった
意識と無意識のあわいを漂いながら祈ることに意味はあるのか?
壊れた機械の祈りは壊れた祈りなんだよ、それが判らねえかな
それも判らないのにおれは赦しについてあれこれ思い巡らしていたのか
救いようのない生殖者にできることがあるとしたら
殺すか殺されるかを受け容れることくらいだ
だが、生を閉じたくらいで贖罪は終らない
ほんとうの贖罪は死後に始まる、それまでせいぜい苦しみながら祈っていることだ
祈りは黙ってするものだと主張するおまえには
言葉にできない苦しみを伴侶にするのがお似合いだ
壊れた祈り