「守護」

 むすめは腕に飾りを付けている
 薄あおい 玉のかよった銀糸の腕輪
 その腕輪はむすめの肌守り
 うつくしいむすめは
 雪椿冠する姫神に守られている

 むすめは御堂に住んでいる
 小さくも天井の高い澄みきった聖堂
 聖をとめの絵のまなざしに守られて
 むすめは守護神なる姫神に犯される

 無垢なるむすめ
 色を知れど無垢なるむすめ
 小さなお口に白い指絡められて
 赤い舌を優しく擽られ
 意のまま欲するあちらこちらの疼きを
 姫神の手の平が撫でまわす
 暴かれて
 無垢なる喜びの吐息は
 しろっぷの涎と
 甘い泪に溶けて
 清らの乙女
 雪椿に染まりて
 瞳は輝く
 遠い星の瞬きこめて
 頬にはなみだ
    なみだ
    なみだ
 無垢なるむすめ
 永遠に無垢なるむすめ
 白雪の肌
 真紅の体
 肌守りの水の玉飾り結びし腕を
 姫神に後ろ手で絡ませ
 聖まりあの微笑みに、まなざしに応える

 純潔なるむすめ
 聖堂は冷たく冴える
 地獄の炎は青く冷たく
 ほとばしる 水飛沫

 遠い川の雪解けの遊び

 むすめはいたいけなり
 うつくしきむすめはいたいけなり

「守護」

「守護」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-15

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted