「痛覚」
足にぶく痛み
ねばりつく 痛みは離れず
座れど
寝転べど
足上げれど
ねばりつく痛みは取れず
ふくらはぎ伸ばせば
いっとき痛みは失せる
心地よい筋肉の伸びる感覚
されど痛みは消えず
しつこく
にぶく
一面に貼り付きたる
ふくらはぎナイフで擦りて
渦巻く血を少し外へ押し出せど
意識蒼さめるばかり
血は生憎膿ではなかったらしい
太もも切れど裂傷のみで
血はすぐに固まりぬ
左腕のふる傷
痕なまなましくもかさぶたの
白く血を押し留めむを
足は痛し
傷は早鐘ぶてり
血は煮え滾りし
されど
痛覚忘れんは夢の中だにもあらじ
「痛覚」