「痛覚」

 足にぶく痛み
 ねばりつく 痛みは離れず
 座れど
 寝転べど
 足上げれど
 ねばりつく痛みは取れず

 ふくらはぎ伸ばせば
 いっとき痛みは失せる
 心地よい筋肉の伸びる感覚
 されど痛みは消えず
 しつこく
 にぶく
 一面に貼り付きたる

 ふくらはぎナイフで擦りて
 渦巻く血を少し外へ押し出せど
 意識蒼さめるばかり
 血は生憎膿ではなかったらしい
 太もも切れど裂傷のみで
 血はすぐに固まりぬ
 左腕のふる傷
 痕なまなましくもかさぶたの
 白く血を押し留めむを

 足は痛し
 傷は早鐘ぶてり
 血は煮え滾りし
 されど
 痛覚忘れんは夢の中だにもあらじ

「痛覚」

「痛覚」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-13

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