「夕立」

 東雲の薄明りの空
 雨降る午後にお暮れて来たり
 空は何処かの水面であり
 地上はひとしく水の中である
 雨が晴れたということは
 誰れかの涙か晴れたのであろ
 風は木々の露をはらって
 土と人とに注げけり
 獣は雲の晴れ間を仰いで
 白き女神に遊戯を誘ふ
 見よ 雨は晴れたり
 東雲の薄明り訪れて
 風は横笛を吹き鳴らす

「夕立」

「夕立」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-12

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted