「戦死」

 荒波に
 我身打ちつけ思ふ身の
 磯にて素足を浸し初めけり
 凍る足元は雪より白く
 纏ふ濃藍の絽の着物は
  ただ 風にはたためく
 朱に染まりし血管の
 今は肌に浮ばずを
 朱に染まりし両頬の
 名残も見せずや冬の海
 珊瑚の簪胸にいだきて
 遠国のやさしき海へと共にゆかん

「戦死」

「戦死」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-12

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