「病棟」
灰色の空
寒い空は張りつめて
天の水面にはぶ厚い氷が張ったらしい
息吐けども
空の色と同化して
呼吸は見えず
浮ついた感覚が
虚ろを通り抜けていく
寒かろう
寒かろう
指先青くした子どもの手が見える
外はきっと寒かろう
黙れど 家中は温し
窓も遠いベッドから
銀のフォウクも握れぬ手に
軽き、いと軽き万年筆持ちて
千代紙も折れぬ指先に
湿した爪が白くなっても
何処かの故郷の 寒空を想ふ
「病棟」
灰色の空
寒い空は張りつめて
天の水面にはぶ厚い氷が張ったらしい
息吐けども
空の色と同化して
呼吸は見えず
浮ついた感覚が
虚ろを通り抜けていく
寒かろう
寒かろう
指先青くした子どもの手が見える
外はきっと寒かろう
黙れど 家中は温し
窓も遠いベッドから
銀のフォウクも握れぬ手に
軽き、いと軽き万年筆持ちて
千代紙も折れぬ指先に
湿した爪が白くなっても
何処かの故郷の 寒空を想ふ
「病棟」