「ゆきみち」

 紅りんご
 しろっぷかけて
 水飴みたいなとおめいなしろっぷかけて
 りんご飴にしちゃいませう
 しゃく しゃく しゃく
 雪の帰り路歩きながら
 花と唄って
 口笛鳥の音ひゅうひゅうひゅう

 あれはチャルメラ喇叭の衣
 終わらぬ螺旋階段を上りつ下りつ
 いつかの記憶を呼び起こす
 星の夢から呼び起こす

 あの川は
 雪こめた冷たい川
 木の橋の上から覗いた水の世界
 あの花びらは
 厳かなるも慈愛の霊山から来た花
 誰かを悼むのだろう
 雨露花(あじさい)
 濃い紫、
 深い青、
 哀しみの白、
 追悼の薄桃
 天の忌中に降る水は
 涙の、雨。
 気貴く
 うつくしく
 哀しく
 そして、いとおしい
 水無月の雨は傷を癒す
 怨恨憤怒を溶かしめて
 無垢な哀しみに浸らしめる
 紅いりんご、白い雪…
雪の路を人は帰りゆく

「ゆきみち」

「ゆきみち」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-11

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