「こいごころ」

 自然の莟
 開いた造花
 まっさらな水面に莟は浮きて
 君が耳元には薄桃あわい桜のイヤリング
 開くことなく
 君の横がほ
 散ることもしらず
 眦の薄紅は未だ消えず
 青空に両手を伸ばせやしない
 悲憤も
 恨み嘆く仕草も
 白羽の銀鎖に抱かれて
 すっかり抜け落ちていた

 自然の莟、開ける造花
 花は沈みて莟は漂う
 あてどもなく
 誰が目にも妨げられないで

「こいごころ」

「こいごころ」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-11

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