冬の短歌
9時半になってようやく日の当たるコンクリートの壁は花柄
死にたいと泣いてる少女を無責任に救ってやりたいような気の夜
この風はお前の身にも寒かろういちょうの落ち葉を借りる生垣
あの赤い星が資源に見えている人に星座はきっと結べない
クリスマス枕元にある靴下は寝てる間に脱いで置いたもの
鳥たちの落とすどんぐり屋根に聞き薬師如来は今日もほほえむ
目が合うと視線を逸らしはにかんでどっか行っちゃうママの恋人
猫をまた飼いたいという母のため飼えばとひとこと言えない私
犬とさえ心をつなげる人間が人間同士で憎み合ってる
真っ白な画用紙黒く塗りつぶし黄色い絵の具の垂れたとこキミ
狛犬と射的たこ焼き焼きそば屋あと二つ寝ればお正月です
この夕日むかしは僕のものだった今では母のものになってる
冬の短歌