「太陽の哀しみ」

 場所高く昇り
 天にてひとり輝くもの
 太陽は命のみなもとなり
 太陽の光は
 もう一つの飲み水となって注ぐ
 命をうるおす
 魂にぬくもりを与える
 光は光を生む

 光は影を生む
 冷たい涙の零れた痕を生む
 其処に藤の花は咲かず
 花の躯の欠片が倒るるのみ
 光の笑顔の裏には
 影なる泣きあと微笑みが居る
 月は影を抱きつつむ
 それも太陽には出来なくて
 救おうとすれば
 燃えるか或いは
 救いの御手を拒まれる

 絶対神と崇め奉られし光の玉が
 夜 月をひとりきり仰ぐのは
 影を抱きしめられぬと嘆くのだ
 自らが救い主などでないことを
 救い主になれないことを
 嘆き 悶えて 押し込める
 それでも付は微笑みを
 雨に震える白百合に…

「太陽の哀しみ」

「太陽の哀しみ」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-08

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