「羅針盤」

 白金の羅針盤
 月の光みず浴みして
 濡れる
 濡れる
 ぴちゃり滴る花の水
 羅針盤は二魂一体
 北は真っ赤に熟れた鏃の猛り
 南は矢柄の震えて欲しがる秘めやかな期待
 羅針盤は揺らがずに
 はぐれた狼の星を示そうとする
 何処に在っても冷たい指針は星の従者
 殊勝にも火照りを内に隠して
 雪の世界で下さい陰火を見せる星の従者
 純白の羽散らした朧な場所で
 羅針盤は埋もれる
 生物燃やせぬ青い火が
 ぐるりと囲う城壁で…

「羅針盤」

「羅針盤」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-05

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