「町中」

 真昼時の寒空
 冷えた首筋
 うなじも凍て
 頭半分だけが 唸る
 冷めた眼で
 先にある頑丈な大橋を
 見るは無感情満ちる湖面
 眼は
 護衛の両端獅子も留めず
 橋の向こう 行き止りの道路を見る

 橋を渡った所で何になろ
 取り残されたゴシック長屋と
 巨大な蛭の高層物が在るばかり
 もうだいぶ膨れてる
 まだ吸いたいらしい
 ぶくぶく太って
 ぶよぶよ肥えて
 何処かの屋上目印のオブジェになろう
 地を陰らして
 空へ背伸び
 歪な円いランドマーク

 湖面は揺れず
 風に浮世のさざ波も響かせぬ
 佇立して
 誰のか知らぬ返り血を滴らしたまま
 判別付かぬ建築物
 ぼたり ぼたり
 人工の赤山を
 冷めた眼で
 相変らずに
 睨んでた

「町中」

「町中」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-05

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