「自画像と願い」
私のふくらみは
やたら棘棘しくなって
私の細胞は
立身といふ生活すら有さなくなったらしい
棘はやがて牙となり
ぐにゃんぐにゃんの筋肉は
力を与えず
私は自らの醜さに馬鹿な眼を潰した
私の精神はぬめぬめと嘆くだけ嘆き
肉体も人の苦しむ生血で膨れた…
蛭だ
私の内部には蛭が住みつき
全身となってしまった
私の中の二つの性は
涙となって血に溶けた
私はもうこの耳さえ無くしたい
嫌悪と恐怖の無限迷路で
うつくしい私だけのお姉さまが
蹲る片隅の土から溢れ現れることを
此処には振らない雪に 願ふ
「自画像と願い」