「自画像と願い」

 私のふくらみは
 やたら棘棘しくなって
 私の細胞は
 立身といふ生活すら有さなくなったらしい
 棘はやがて牙となり
 ぐにゃんぐにゃんの筋肉は
 力を与えず
 私は自らの醜さに馬鹿な眼を潰した
 私の精神はぬめぬめと嘆くだけ嘆き
 肉体も人の苦しむ生血で膨れた…
 蛭だ
 私の内部には蛭が住みつき
 全身となってしまった
 私の中の二つの性は
 涙となって血に溶けた

 私はもうこの耳さえ無くしたい
 嫌悪と恐怖の無限迷路で
 うつくしい私だけのお姉さまが
 蹲る片隅の土から溢れ現れることを
 此処には振らない雪に 願ふ

「自画像と願い」

「自画像と願い」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-04

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted