「二項対立」

 日の光はじりじりと
 コンクリ地面を嬲ります
 自然は人工物を憎むから
 一切容赦も慈悲もなく

 ただ、
 其処にうち捨てられた蚯蚓はどうであろ
 虫と嘲るか
 獣だ!
 虫とて毛のない獣である
 足の弱々しい獣である
 狡猾なる人工物と
 畏敬と恋慕の自然の狭間
 虫はコンクリに顔をジリジリ押っ付けて
 何を感じる
 何を嘆く
 もどかしく足をのたうって
 涙は雀のひとしずく
 桶と柄杓の打たせ水には量こそ劣れど…

 日の光はじりじりと射込んで
 変らずコンクリ地面を嬲ります
 群衆の足下、ひとりの蚯蚓
 干枯らび廃れて空に黒雲の塵となりぬ
 じきに、雨が来る…

「二項対立」

「二項対立」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-04

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