「二項対立」
日の光はじりじりと
コンクリ地面を嬲ります
自然は人工物を憎むから
一切容赦も慈悲もなく
ただ、
其処にうち捨てられた蚯蚓はどうであろ
虫と嘲るか
獣だ!
虫とて毛のない獣である
足の弱々しい獣である
狡猾なる人工物と
畏敬と恋慕の自然の狭間
虫はコンクリに顔をジリジリ押っ付けて
何を感じる
何を嘆く
もどかしく足をのたうって
涙は雀のひとしずく
桶と柄杓の打たせ水には量こそ劣れど…
日の光はじりじりと射込んで
変らずコンクリ地面を嬲ります
群衆の足下、ひとりの蚯蚓
干枯らび廃れて空に黒雲の塵となりぬ
じきに、雨が来る…
「二項対立」