「びいどろ玉」

 びいどろ玉のまるいこと
 透明な色しか持てぬ
 びいどろ玉

 びいどろ玉は目に見えぬ
 びいどろ玉は胸の内 心臓の奥 閨の中
 時来りて砕けしは
 手毬の糸に抱き留められ
 月の胸へと縫いとめられる
 赤い月
 青い月
 白い月に
 黄色な月
 緑の月
 紫の月
 桃の月…
 手毬は跳ねるや喜びて
 月が兎を具現する
 夜の虹とも
 情けの瀧ともなれるであろ
 白いお天守からはっきり見える
 蛍の灯火花の姿を鳥にして
 手紙を、あゝ手紙を
 砕けしかけらの片割れのもとへ…

 …響かせよ

「びいどろ玉」

「びいどろ玉」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-04

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