「びいどろ玉」
びいどろ玉のまるいこと
透明な色しか持てぬ
びいどろ玉
びいどろ玉は目に見えぬ
びいどろ玉は胸の内 心臓の奥 閨の中
時来りて砕けしは
手毬の糸に抱き留められ
月の胸へと縫いとめられる
赤い月
青い月
白い月に
黄色な月
緑の月
紫の月
桃の月…
手毬は跳ねるや喜びて
月が兎を具現する
夜の虹とも
情けの瀧ともなれるであろ
白いお天守からはっきり見える
蛍の灯火花の姿を鳥にして
手紙を、あゝ手紙を
砕けしかけらの片割れのもとへ…
…響かせよ
「びいどろ玉」