「ねえさま」

 まんまる青いお月様
 霞の雲も水の色
 ぽんわり淡い青光
 淡くてうすい青光
 黒いお空にぽっかりと
 お池湖映ったな
 お空は青い水灯り
 鱗煌めく水灯り
 揺れるのはなあに?
 黒いお空に浮びあがって
 ふわふわ揺れるのはなあに?
 あれはねえさまのお袖
 紫苑のお花溶かしたお着物
 裾には佇む彼岸花
 雪はたをやめの心ざし
 背中に彫られた星の色
 寒くはないか寒くはないかと
 雪華の召物おみなに与え
 燃え立つ思いの長襦袢は
 氷の槍を元の清水に
 幼い妹の飲み水に…
 銀の縫糸くもの糸
 鋼より堅く柳の枝
 ビイズに小さなお月様通して
 寒がりの手首に結んだ心
 ねえさま、ねえさま
 ねえさま、何処
 私は此処で待って居ます

「ねえさま」

「ねえさま」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-03

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