「ねえさま」
まんまる青いお月様
霞の雲も水の色
ぽんわり淡い青光
淡くてうすい青光
黒いお空にぽっかりと
お池湖映ったな
お空は青い水灯り
鱗煌めく水灯り
揺れるのはなあに?
黒いお空に浮びあがって
ふわふわ揺れるのはなあに?
あれはねえさまのお袖
紫苑のお花溶かしたお着物
裾には佇む彼岸花
雪はたをやめの心ざし
背中に彫られた星の色
寒くはないか寒くはないかと
雪華の召物おみなに与え
燃え立つ思いの長襦袢は
氷の槍を元の清水に
幼い妹の飲み水に…
銀の縫糸くもの糸
鋼より堅く柳の枝
ビイズに小さなお月様通して
寒がりの手首に結んだ心
ねえさま、ねえさま
ねえさま、何処
私は此処で待って居ます
「ねえさま」