「盲目の道」

 漂うは
 のどかな昼過
 さ迷うは薄暮の陽炎
 しのび涕く
 月もおぼろな青い夜
 午後の光の眩しい
 かくれんぼ遊びも日に溶けて
 露をこらえる睫毛の人言えぬ苦しみ
 二度と同じ雲が巡らぬように
 二度と触れぬ過日の陽光
 愛しき温もりを手にかけて
 ただ一筋の川べりを進む
 菫は咲くか
 紫苑も肯く
 白い椿は朱に傾き
 山桜が高く見おろす中を
 ひとり、人は歩めり

「盲目の道」

「盲目の道」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-11-28

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