純喫茶

包帯を巻いた少女からは
血の匂いがしなかった
うすく線を引いた
引っ掻き傷は少し痒む程度で
魂の瘡蓋を
剥がしてはくれない

夏の海を思わせてくれるから
クリームソーダが好きだ
煙草は時々、気分次第で
死にたいと思うこともあるよね?

(詩集は一度も読まれることなく
(埃を被って飾られている

カビの生えた無味無臭の生活のなかで
硝子の自分を抱きしめる
ひび割れて血の滲む悦びのために

純喫茶

純喫茶

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-11-28

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