誰か俺の射精を止めてくれ。第四話~逃走中~
逃亡生活。
父と母は逮捕された。
あまりにもおかしな要求をひたすら何日も続けたために、変質者だと思われた。
トップアイドルのニュースということもあり、毎日のようにTV、新聞、週刊誌などで取り上げられた。
すでに、うちの家族は「おかしな家」ということになっており、俺と叔父さん、姉はマスコミから逃れるように各地を転々とした結果、今はどこかもわからない山の奥地にいる。
今だヘリコプターなどで追ってくるマスコミから逃げるため、更に山の奥へと、居場所を求めて歩みを進める。
「おなかへった・・」
姉がつぶやいた。
無理もない、ここ数日川の水と、山に入る前に買った図鑑に載ってる食べられる草しか食べていない。そこらへんで調達したものだ。もう3人とも、ふらふらである。
ここらで少し休むことにした。ヘリコプターに見つからないよう、大きな、たくさん葉っぱが生い茂る木の下に座り込んだ。
既にここはジャングル。そんなに気を使わなくても、簡単には見つかりそうにないが、念には念を。
「俺達これからどうなるんだろ・・・」
叔父さんがこんな弱気な発言を、もう何日も繰り返してる。
正直、こんなに頼りにならないとは思わなかった。
しかし、こんな発言に言い返す元気なんてない。とくにお姉ちゃんはもうほとんどうつむいている。
「お、おれ、食料とって来るよ!!」
そう言ってささっと立ち上がり、俺は森の中へ進んでいく。
元気があるわけじゃない。もう限界だったのだ。数日ナニを我慢していたから。
ハア、・・ハアッ・・ 俺はやっと出せるという欲求に飲まれ、ばてばての体なのにどんどん進んでいける。興奮で息使いも荒くなる。
本当に人間の欲求ってすごいんだな。
・・・それとも俺だけか?
ん?
前方の木々の間に、茶色い毛の大きな塊のようなものが見えた。
・・・まさか・・・。
それはもぞもぞと動いている。
まさか獣か?熊か?もしかして熊か?逃げよう・・・。
後ずさりして逃げようとする。しんちょーに、音を立てないように・・・。
毛むくじゃらの何かはたぶん後ろを向いている。顔や、手足すら見えていないから。
ザワッ・・
あ、こっち向いた。熊だ。
思ってた以上に頭がでかい。木々に隠れて多くは見えないが、体も大きいことだろう。
しかしここはジャングル。きっとこの狭い木々の中をすばやく逃げれば逃げれる!
俺は2人がいない方向へ向かってダッシュした。木々の間をシュルシュルと抜けていく。痛い痛い!
目の前を覆いつくすほどの葉っぱや枝によって体が裂かれていくが、止まってられない。
はあはあ・・・ ガツッ!「いて!!」
気に真正面から衝突した。俺は後ろに倒れこむ。バキバキッ!ガサッ 葉っぱや枝をつぶした。
立ち上がろうとするが、意識が遠のいた・・。
目を覚ます。逃げなきゃ!追ってきていないか来た方向を確認しようと見ると、熊はいた。
誰か俺の射精を止めてくれ。第四話~逃走中~