「夜空の虹」

 黒雲の空
 雲は風に流れるも
 埋め尽す影あまりに多く
 溝を浸して()く水の
 やがて小川になると同じ
 寒く冷えた都会の空には
 何処かに(かな)らず雲の姿が漂って居る
 見よ
 あれは夜空の虹
 満月の周りに浮べる雲を
 白い御手がさらりと撫でた
 御足元には彼方と此方を繋ぐ曼殊沙華
 御腰元には草を紡いだ帯流れ
 御肩には水流紋様藍の襟巻き
 花の(かんばせ)には紫の蝶々戯れる
 色は濃く
 そして淡く
 うす衣の黒雲に透かして
 月が描いたささやかな虹…月も微笑む
 満月ののどかな日に
 今日はあのこの誕生日
 今日ばかりは
 やすらかに眠れよう

「夜空の虹」

「夜空の虹」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-11-22

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