「夜空の虹」
黒雲の空
雲は風に流れるも
埋め尽す影あまりに多く
溝を浸して行く水の
やがて小川になると同じ
寒く冷えた都会の空には
何処かに必らず雲の姿が漂って居る
見よ
あれは夜空の虹
満月の周りに浮べる雲を
白い御手がさらりと撫でた
御足元には彼方と此方を繋ぐ曼殊沙華
御腰元には草を紡いだ帯流れ
御肩には水流紋様藍の襟巻き
花の顔には紫の蝶々戯れる
色は濃く
そして淡く
うす衣の黒雲に透かして
月が描いたささやかな虹…月も微笑む
満月ののどかな日に
今日はあのこの誕生日
今日ばかりは
やすらかに眠れよう
「夜空の虹」