○【TL】BAV
一話完結連作/男性側一人称/横柄オレ様/潔癖眼鏡/サイコパス美少年/near寝取り/逆ハーレム
ヴァーニングアフターヴァレンタイン
2月15日。何の日か分かるか?オレ様の誕生日?違う。ヴァレンタインの翌日だ。
オレ様はモテる。間違いない。今も一室が丸ごとチョコだらけになっている。そこに放り込めと言ってある。
ではオレ様は何を苛立っている?そうだ。|恋人から何も貰ってねェ。てっきり日付が変わる辺りにサプライズでもしてくれるのかと思いきや、|恋人はオレ様に何の連絡も寄越さなかった。何故?美男子で、家が金持ちで、成績優秀、スポーツ万能、海外留学経験アリ、4ヶ国語を網羅しているオレ様だぞ。どうして|恋人はオレ様にチョコを寄越さない?
分かった。そっちがそういうつもりなら、オレから貰いにいってやる。
オレは|恋人を求めて廊下をほっつき歩いた。オレ様が帝王なら、王子様とか仰々しく呼ばれている、ナヨナヨした、もやしみたいなモブとすれ違う。
「|帝城寺くん、こんにちは」
モブはオレ様に|平れ伏した。相変わらずキラキラと小煩い、アクリル製みたいな髪をしている。
お前は2番。オレ様が上。
「ふん、|王旗院。|三民はどうした」
「わぁ……帝城寺くんってボクのコト、覚えていてくださったんですね!三民さんは中庭の辺りで見ましたよ。チョコレートのお礼でも言いに行くんですか?美味しかったですもんね、ガトーショコラ」
……は?
「なんだお前。三民から何か貰ったのか?」
「ええ、そうです。だって昨日はヴァレンタインですよ?それは、貰いますよ。帝城寺くんだって沢山貰っていたじゃないですか。ボク、多分負けちゃいました」
は?は?は?なんでこのもやしが貰って、オレ様は貰ってないんだ?
「ご苦労」
オレはもやしっ子がムカついて肩パン入れておいた。中庭に向かう。オレの|恋人に色目遣いやがって。何が王子様なんだかな。ああいうのはスケコマシっていうんだよ。色めき立つな。まず筋肉量。男は筋肉量だろうが。そして首。肩幅。ケツの穴を締めてなんぼの男なんだよ。ナメるな。
中庭のほうに行くと、今度はまた面倒臭いやつにあった。
「帝城寺」
お局男がオレは呼び止める。無視なんてダセェ真似はしないから立ち止まる。
「ンだよ」
「挨拶くらいしたらどうだ」
眼鏡の、ぴっしりした、お堅い、|皇坂。
「おまえからしろよな。で、三民探してて忙しいんだ。おまえの相手してる暇ねェワケ」
銀縁眼鏡を嫌味臭く直して、なんだコイツ。
「三民さんなら中庭にいたが。あまり迷惑をかけるなよ」
「うるせ~。ってかなんでおまえが知ってんの?」
「昨日頂きものがあったのでな」
あ、もう言わなくても分かる。なんだコイツ。
それで実際、オレの|恋人は確かに中庭にいたが、悪いムシがついていた。|騎士小路のタコだった。オレの|恋人と花壇の|縁に座って、笑っている。オレ様も見たことねェぞ、あんなカオ。
騎士小路のタコはオレの恋人に向かってデレデレしていた。オレのオンナだぞ。
「おい」
一声かけただけで騎士小路はビビり散らかして、オレのオンナに隠れようとした。大事なときに女の背中に隠れる……オレ様のオンナに近付く男として失格だ。
「何?」
オレのオンナ、|百合はカレシのオレではなく騎士小路のタコの味方をしやがった。
「ここで何してんだ?オレ様の部屋にも来ねェで、そんな弱いオスに|感けて」
「いいでしょ、別に!アンタにはカンケーない!」
百合はきぃきぃ怒る。女は怒りっぽいからな。オレ様は寛容に|諫めてやるのさ。
「カンケー?あるだろ。オレのオンナなんだぞ、おまえは。ゆり。オレ様の部屋に来いよ。おい、弱オス。男なら女の背に隠れてるんじゃねェよ、ダセぇ」
「やめて!くだらないから、そういうの。騎士小路くんをいじめないで」
はあ?オレ様が、そのモブオスを虐めてる?何言ってんだ……?まぁ、いい、いい。落ち着け。オレ様は寛大。オレ様のオンナだってたまにはきゃんきゃん吠えたくなる。
「それからわたし、あなたのオンナじゃないから」
「おい、ゆり……」
ゆりは騎士小路の手を引いてどこかに行こうとする。
「ゆり。オレ様以外の男を触るんじゃない」
オレ様が引き離そうとするのも虚しく、百合に躱された。
百合のあの気の強さに惹かれた。分け隔てない優しさも。不安になっちまう優しさというか。だからつまり、変な勘違いまで起こしそうな……放っておけない。オレ様と初めて会ったときの怯えはどこへやら……
オレ様みたいなイケメンも結構、おっかないものなのだと知ったときだった。背は高いからな。肩幅もあるし。
百合……なんでオレ様にチョコを寄越さない。騎士小路にはくれたのか?なんで騎士小路!
オレは百合を追う。王旗院と皇坂にはやったんだろ?なんでオレ様には寄越さない。
なんで、なんで、なんで……オレ様の高貴な味覚に合うかどうか、不安になっちまったんだろうな……そうに決まっている。オレは百合がくれれば、ダガシヤとかいう店のチョコでもいいんだが……?
ヴァレンタインにチョコを貰う。そのことに意味があるんだよな。百合がオレ様にチョコを渡さないのなら、オレ様が百合から貰うか?
どうする。百合、何故オレ様にチョコを渡さない。ヴァレンタインはもう過ぎたぞ……
「ごめん、ごめん、帝城寺くん。どしたん?ご機嫌ナナメかい?」
百合のことについて考えていたら肩がぶつかる。|君主河原の野郎が爽やかに笑っている。
「別に何もない」
「何かあったら相談してくれよな」
まったく面倒看がいいのだか、お節介なのだか分からん。それよりも百合だ、百合。
「君主河原くん」
この声は。あ?でもなんでコイツ。
「ゆ、」
百合もオレ様に気付く。溢れ出んばかりのオーラを纏っているからな、オレ様は。
「どしたん?百合ちゃん」
なんだ?百合ちゃんって!オレ様は君主河原の野郎に掴みかかった。オレのオンナを気安く呼ぶな。
「ちょっと!やめてよ、何?」
今度はどこからともなく現れた百合がオレに掴みかかる。女を振り払うわけにもいかないから、オレ様は寛大なので君主河原を放してやった。ヤツはだらしなく笑ってやがった。
「ゆり。なんで逃げたんだよ」
「逃げた?あんたが騎士小路くんのこといじめるからでしょう?」
「いじめてねェよ。向こうが勝手に怯えてるだけだろうが」
「ところかまわずあんたが威嚇するからでしょ!」
百合は自分の魅力が分かってねェ。オレ様が睨みを利かせなければ好き勝手されるぞ。気が強くても百合は優しい女だ。相手の弱みにすぐ|絆されちまうのが目に見えてる。
「あ?騎士小路のタコを見たか?いつ狙われるか分かったもんじゃねェぞ」
「やめてよ!騎士小路くんとは幼馴染なんだから、そんなことあるワケないでしょ!」
「はん!知れたもんか」
百合はまたきぃきぃ言っている。オレ様の用事はこんなことじゃない。なんで騎士小路のタコの話しなきゃならないんだ。
「あのな、ゆり……」
「まぁまぁ、お二人さん。痴話喧嘩はよして、よして……」
君主河原の野郎がオレ様と百合の間に挟まろうとするから赦せねェ。
「どけよ」
「やめてったら!乱暴な口の利き方はよして」
「お二人さん。まぁ、まぁ……落ち着いて……」
君主河原の野郎が割り込むのが鬱陶しかった。オレ様は百合と話してんだよ。部外者は引っ込んでろ。
肩パンくれたら君主河原はよろめいて、百合はオレ様よりもヤツを支えようとした。
「君主河原くん!」
「ン……やば、」
結局百合は君主河原の野郎を支えきれなかったし、君主河原は百合を抱き寄せて受け身も取らず背中から下敷きになった。男の身体に乗ってる百合を引き離す。でも百合はオレの手を叩き落とした。
「君主河原くん、大丈夫?」
「うん、大丈夫」
百合は自力で身体を起こして、オレには目もくれずに君主河原に肩を貸して行ってしまった。百合に叩かれた手が、力はそんな強くなかったのに妙に痛む。
オレ様は百合について考えていた。叩かれたことはない。親父にもお袋にも女にも。
嫌われたか……チョコがないのがそれを物語っているだろう。
暫くぼけ~っと、いや、瞑想をしていたオレ様のところに百合がやって来たので驚いた。
「なんだよ」
「何か用があったんでしょ。わたしも聞かなくて悪かったけれど、あっちこっちに喧嘩売るのはやめて」
百合はオレが近付くと後退る。百合の手は震えていた。
「どうした?オレが怖ェのか?」
「なんで怒ってるの?何にイラついているの?」
言っちまうのはつまらない。百合に言わせる。
「なんでだろうな?自分の胸に訊いてみろよ」
百合は後退り続けて自分で壁に追い詰められた。あとはオレが迫っちまえば逃げ場もない。突き飛ばそうとする細腕もオレは簡単に掴める。
「ゆり。ゆりは誰のオンナなんだ?」
「誰のものでもないけれど……」
どうしてオレだって言えない?
「ゆり」
「わたし好きな人いるし……あなたの強引な態度は前々から好きじゃない」
オレの掴んだ百合の手が震えている。
「まだそんなこと言ってんのか。いい加減、頷けよ」
オレに靡かない女はいねぇんだよ。老若問わず。誰もがオレと付き合いたがって、それでもオレはオレの好きな女としか付き合いたくない。とりあえず女がいればいいって考えじゃない。面白い女はそれなりにいたかもしれない。分母はあったしな。けれどオレは真面目で決まりきったことしか言わない百合が気になった。この女はどこで教科書外のことを言うのだろう?オレ様にも教科書対応か?
オレの前では感情剥き出しのクセによ。児童文学の登場人物気取りなんてやめちまえ。
「い・や!他を当たってちょうだい。さぞおモテになるんでしょうから。引くて|数多でしょう?」
百合の目に睨まれてゾクゾクする。窮鼠が一番かわいい。窮鼠は猫を咬まない。愛でられるのさ。
「ゆり。なんで震えてる?」
「震えてない」
「震えてる。オレが怖い?」
「……怖い」
はぁ?
百合はまだ何も言ってないのに、身を縮めて、なんだかオレが殴りかかったみたいになっている。
「いつも強引で、周りを威嚇して、喧嘩ばっかり……みんな帝城寺様、帝城寺様って……それであんたがあたしのことばっかり言うから、目立って目立って、あたし頑張らなきゃならないのキツいよ。もうやめて。あたし他に好きな人いるし、そもそも付き合ってないんだし……」
「ンだよ、それ」
オレが悪いって言うのかよ。
「今もそうやって、不機嫌押し付けて、関係ない人巻き込んで……」
「ゆりがチョコ寄越さないからだろ!」
「えぇ……?」
ヒステリックな声で百合はオレを睨む。
「チョコならあげた」
「嘘吐くな。もらってねェ」
百合、マジか。なんでそんな嘘吐くんだよ。もらってない。百合からのチョコを忘れるはずがない。
「部屋に放り込まなきゃコロすって書いてあったじゃない……」
オレは雷に撃たれたような気分だった。断っても何をしてもオレはチョコを貰う。毎年、毎年。だから確かに、あの部屋に放り込むよう事前にいっていた。百合……おまえはいいんだよ、オレに手渡しで。むしろおまえ以外のは要らなかったんだ。
「もう嫌。本当に嫌。わたしは優しい人が好きなの。あんたみたいな力尽くな人、タイプじゃないし、落ち着かないし、ムリ!もう放っておいて……」
百合!百合、百合、百合!百合百合百合百合百合百合百合!
オレは百合の涙ぐんだ目を見たときに、百合がオレを好きじゃないと知った。
「じゃあおまえの好きなやつって誰だよ!あ?」
オレは怒鳴った。百合は痙攣したみたいに肩を窄めて可哀想だった。でもそれが可愛い。もっとオレを怒らせて、もっとオレに怒鳴らせろ。自分が誰のもので、もう逃げられないって理解しろ。
「怒鳴らない……で……」
「オレが強引で不機嫌で力尽く?まだオレを分かっちゃいねェな。これでも抑えてたんだぜ?ゆり……ゆり!聞いてるのか?」
「怖い……怖い、」
オレに対してはいつも強気の百合が怯えきって、頭の中がカッとなった。
「おまえはオレのオンナだろうが」
ブラウスを左右に引き千切る。ボタンがぱらぱら飛び散った。青い下着から百合の胸が見える。
「乱暴はよして……」
「うるせぇ」
オレを拒否しかしかない口を塞いだ。ぶつ、と切れる音がしたが、出処は分からなかった。いや、すぐに分かった。唇が噛まれた。血の味はいつでも不味い。
百合を睨めば、口元に血を付けて、オレから目を逸らす。それがまたオレに火を点ける。
「ゆり、舌出せよ」
「い……や!」
でもオレも聞かない。百合の頭押さえつけてキスするなんて容易いことだ。
「ん……っ!」
百合は口を閉じて抵抗する。いつまでそうしているつもりなんだ?
「ゆり」
「やめてよ……放して!」
唇についたオレの血がセクシーだった。百合に拒絶されるのが、段々と楽しくなってくる。これからどうオレに溺れさせようか?考えるのが楽しいらしい。意外とオレはマゾヒストなのだと知る。百合……おまえに開発されたんだな、オレは。
青い下着と一緒にピンクのブラジャーも捲り上げた。百合の綺麗な乳が現れた。先っぽはピンク色だった。そこを抓ると、百合が強情な口を開く。
「あっ……!」
オレは百合の口に入った。冷たかった。百合は恥ずかしがり屋だから、今までキスをしたことも、肌を合わせたこともない。
百合の中は甘い。体温の低さに驚く。女は身体を冷やすなっていうのに、冷えてるな。
熱くしてやるよ。
乳首を摘めば、百合は身体をひくつかせて、オレの舌を押し出そうとする。させるわけない。百合の押し出そうとする舌に舌を巻き付かせて奥に押し込む。
「う………んっ、ふ、」
指の間で百合の乳首は硬くなっていく。百合が口を開けて、オレのと混ざったのが零れ落ちる。
「ぅ、う……」
百合のさほど大きくはないけれども形のいい乳を揉む。満足感とは程遠いが満足としかいいようのない感覚が湧き起こる。柔らかな桃を搾っているみたいだ。オレの下腹部はもう誤魔化しきれないほど膨れていた。
唇を離すと透明な糸がついたままで、百合はオレを睨むかと思ったが、弱々しく目を伏せるだけだった。
百合……!百合、百合……!
オレは百合の小さな乳首を吸った。ディープキスで口の中はぐずぐずに蕩けて、そのまま硬くなった乳首を転がす。
「ん、あぁっ!嫌……」
百合はオレを突き放そうとする。放すとわけがない。オレの百合。オレの百合。オレの百合!
片手と口で乳首を擂った。百合のスカートの中にも手を伸ばす。百合……
オレ以外が触ったら、ソイツをぶん殴ってやる。絶対に赦さない。
オレは百合のパンツの中に手を入れた。柔らかなアンダーヘアを梳かす。
「や……だ、やだ……あ、んんッ」
甘く乳首を噛んでやれば、百合は自分の口を押さえた。
「エッロい声、聞かせろよ」
だが百合は首を振る。それならオレが、我慢できないほど出させてやる。
アンダーヘアの下にある窪みに指を入れる。張り付いたパンツが湿っていた。|拇でクリトリスを押した。中指は奥へ突き進む。そこはヒトの身体の一部とは思えないほど柔らかく|泥濘んで、指先を受け入れた。口の中は冷たかったのに、下は熱かった。|肌理も体温も溶けていきそうだ。
「あ、ああ……っん、やぁ……」
百合は悩ましげに眉根を寄せて、オレの下腹部に血を集めていく。
「ゆり……」
「ん、ぁ………」
百合の|泥濘を指で解す。狭い。オレの指先ひとつもキツくて、柔らかく噛みついてくる。百合みたいでかわいい。でもオレだからな。受け入れろ。
「い………ぁ、あぁ、痛い……」
「痛いか?」
確かに百合の内部に夢中になって、クリトリスへの刺激が疎かになっていた。小さいなりにオレのチンポみたいに膨れてきたクリトリスを抉ってやると、百合の中が|蜿ってオレを締め付ける。濡れた音が大きくなって、指を動かしやすくなった。薬指も加えてみる。中指はもうふやけていそうだったし、低温火傷を起こしそうだった。
「あ……あ、あ、あ……」
リズムをつけて中を突く。クリトリスを押し潰すだけ、面白いほど声も中も反応を示す。
「だめ……、やだ……や………っ!」
百合の声が一際上擦る。もしここに歯が生えていたら、オレの指が食い千切られそうなほど締め付けられる。
オレはまだ楽しんでないし、百合もこんなんじゃ満足しないだろ。
指を止めた。
「あ………あ、」
「嫌イヤ言う割にはきゅうきゅう締め付けるじゃん。え?ゆりちゃんよ」
百合は濡れながら虚ろな目をしていた。百合の愛液がついた指を見せてやれば、いつもの調子に戻るかと思った。でも、百合は顔を赤くして、ちらちら見るだけ。誘ってんのか?他の男に絶対やるなと言い聞かせたい。
「酷いこと言ったの、謝るから……ごめんなさい……赦して。反省するから、赦して……」
気の強い百合が、オレに媚びている。他の女どもが媚びてくるのとは違う。気の強くて怒りっぽい百合が、オレだけを見て、オレのテクニックに怯えている。
「本当に、悪いと思ってるのか?」
百合は力強く頷いて、オレは激しく興奮した。
「もう、あなたの前に出てこないから、赦して……お願い、赦して……」
百合。おまえは何も分かっちゃいない。
オレは百合のさらっさらの髪を掴んだ。キスするほど近付いてやった。百合の可愛い小顔が怖がっている。ゾクゾクして、心臓がおかしくなりそうだった。脳味噌が沸騰する。チンポはこれ以上なく勃起して、痛いくらいだった。
「赦さねェ」
「い、いや………いや!赦して……お願い、お願い………謝るから………!」
「ツレねェじゃん、ゆり。あんなにあんあんヨガっておいてよ」
逃げようとする百合のほっそい腕を掴む。逃がすワケねェだろ。
「たす、けて………なんでもするから、なんでも……」
「ゆりちゃん。別におまえを殴ろうとか殺そうとか言うんじゃねェよ。獲って食うだけさ」
百合のほっそい太腿を片方担ぎ上げた。百合は嫌がって、身体を捻ってまだ逃げようとする。
だからオレはチンポ出して、百合に突き刺した。
「ああああ!」
「痛かったか?悪いな」
百合の中もオレのチンポも熱いのに、何かが冷たかった。百合の生っ白い脚に、一筋赤いものが滴り落ちていく。
「ゆりの処女、もらっちまった。ありがとよ。愛してる」
「あ………あ…………」
百合は驚いているみたいだった。痛いのかもしれない。可愛い耳を舐めて、クリトリスを押してやる。オレのチンポが中で扱かれて、様子をみてやるのはムリだった。腰が止まらなくなる。好きな女と繋がって、止まっていられるわけがない。壊したいわけじゃないのに、オレはいきなり激しめのピストンで百合を攻める。
「あ……!あ、あ、あ、あぁっ、!」
百合の中がオレのチンポに絡み付く。奥へと引き込みながら、全体を揉みしだいている。カリが引っ掛かって、目の前がチカチカしているみたいに気持ちいい。
「ゆり、ゆり!最高だぜ、おまえの中……想像より、名器だ……」
百合をオカズにシコっていたのがバレちまう!
タマが間抜けな音を出す。オレの汁と百合の愛液がぐちゃぐちゃ混ざり合って、それもセックスしてることを実感させる。
「や、だ、や………あんっあっ、あ、あ、!」
「ゆり……!」
百合の片脚を下ろして、両腕を捕まえた。リードに繋いだみたいだった。
「ゆり……好きだ、好きだ、ゆり」
「んぁ、だ………め、んああっ」
オレの腰で百合の白いケツがゴムボールみたいに弾んだ。狭間から抜き差しされたオレのチンポが、白い液体を纏っているのが見える。空気を含んだオレと百合の汁なのか、百合が本気で感じているのか。気持ち良過ぎて、オレはもしかして、中で出しちまったのか?
「ゆり……っ!」
「抜い………て、抜いて……、あぁぁあ!」
ドアが開く。
「百合ちゃん、ここ?遅くまでありがと―」
君主河原が情けない顔をして入ってきた。オレも咄嗟に動きを止めてしまった。オレと百合の境界線にシロップみたいな液体が落ちていく。
「君主河原くん……」
「百合ちゃん……」
勝手に入ってきたのはそっちで、思えばオレが止まってやる筋合いはなかった。
「ダメ……っな、んで、」
「君主河原。取り込み中だぜ。後にしろ」
君主河原の野郎はそこにそのまま突っ立っていた。
「ご……めんなさい………見ないで、見ないで……、あんっ、あ、んっ……!」
百合の中が急に力強く締まった。オレのチンポが|捥ぎ取れそうなほどだ。声も甘くなる。
「赦して……赦して…………あんっ、君主河原く、……ぃや…………あっん、!」
君主河原は肩を落として、オレと百合を困惑気味に見ていた。いいや、違う。ヤツは百合を見ていて、百合もヤツを見ている。
「いいよ。赦してあげる」
オレの激しい怒りが百合の膣を削った。
「あああああっ!」
百合が絶頂して、オレもイく。濁流みたいに射精して、猛烈な収縮を味わった。
「かわいいね、百合ちゃん」
君主河原は突っ立ったまま、ガクガク内股で震える百合を見つめて、薄ら笑いを浮かべていた。
イグニッションXデイ
「ヴァーニングアフターヴァレンタイン」参照
「百合ちゃん、おれのコト、好きなんだ~?」
ソファーに座る百合ちゃんは身体を強張らせてて、別におれの前なんだからもっと気楽でいいのに……って思った。
「は、………い」
帝城寺くんの前では怒りんぼの百合ちゃんが|悄しくて、惚れられてるっていいなって思った。
「百合ちゃんがおれのこと好きでいてくれるなら、おれも百合ちゃんのコト、精一杯愛するね?」
百合ちゃんの手を取って、ちょっとキザだけど、小さな手の甲にキスした。
「あ……その、|君主河原くん……」
「う~ん。百合ちゃんはおれを好き、おれは百合ちゃんを愛する。これって両想いだよネ?じゃあ、おれのコト、|理衣って呼んで」
顔を近付けると百合ちゃんはテントウムシみたいに赤くなった。
「呼んでよぉ~」
甘えてみる。百合ちゃんをハグして揺らしてみた。
「り……理衣くん………」
「そう……いいね」
真っ赤になってる耳に、フッて息吹きかけてみる。
「んっ……」
おれの腕の中で百合ちゃんは肩をキュッてした。
「百合ちゃん。両想いならチュウ、しない?」
「し、したい……です」
「あっはっは。なんで敬語?おれからする?百合ちゃんからする?」
この気持ちが惚れられているって優越感なのか、単純におれも百合ちゃんのコト気になってたからか分からないけど、全然、色々なコトが嫌じゃなかった。
「わたしから、する……」
おれは目を閉じた。恥ずかしがってたらおれからしちゃおうって思っていたのに、百合ちゃんはちゃんとチュウしてくれた。でもすぐ離れちゃった。かわいい。
「よくできました」
だからおれからも百合ちゃん押し倒してチュウした。さっきみたいな弾むチュウじゃなくて、もっと恋人がするみたいなの。
「ぅんっ……」
チュッてしたけど、一旦離れた。百合ちゃん、ほわ~ってカオしてて可愛かった。
「帝城寺くんとは、えっちなチュウ、したん?」
「し、………した」
見下ろした百合ちゃんはちょっと困ったカオする。百合ちゃんは、おれが好きなんだもんな。"あのとき"分かった。目だけで。おれのコト、好きで……なのに……
「ごめんね、百合ちゃん。されたんだよね。おれが"ファーストえっちなチュウ"、あげるから泣かないで」
百合ちゃんの唇は柔らかくて、口の中もフォンダンショコラみたいな不思議な感触がする。
「ふ………ぅ、ん」
下に敷いちゃった百合ちゃんがぴくって動いた。女の子の身体は柔らかくて、たまに女の子と手がぶつかったりしたとき、本当に違う生き物なんだなって思ったけど。おれ、女の子と付き合うの初めてだから。
―なんて、くだらないこと考えてないで、もっと百合ちゃん気持ちよくしてあげないと。多分付き合うってそういうことだから。自信はないけど、頑張らないとな。
「は……、ぅっん」
百合ちゃんも必死に舌絡めてくれてた。打算とか要らないかも。ただ応えたくなった。
百合ちゃんの吸って、おれのを注ぐ。でも百合ちゃんは余裕なくて、角度変えてるうちに口の横に溢れたのついた。
飲んじゃいなよ。飲んじゃいなよ、飲んじゃいなよ。
おれも余裕なくなって、百合ちゃんの上に完全に乗っちゃった。柔らかくて潰しそうだった。大福を噛み千切るときみたい。中身出ちゃいそう。
でも百合ちゃんが飲むまでおれも諦めない。耳塞いで、おれの鼓動と、舌絡み合うの聞いてね。
「ぅ、ぅ、う………んっぁ、」
下から蒸される感じだった。甘い匂いもする。疲れた後にお布団で寝るときみたいな落ち着く匂い。百合ちゃん、おれのお布団なの?
おれの下でまたぴく、って動いて、おれの|倅にバレちゃいそうだった。
百合ちゃんはおれの肘のあたり摘んできて、もしかしてキスだけでイっちゃうのかなって思って、それはそれでいいんだけど、やっぱりもったいなくもあって。両想いなんだよ?これからいっぱい観れるのにね。
「百合ちゃん。チュウ、きもちいいね」
口離したけど、まだおれと百合ちゃんは繋がってた。あ、切れちゃった。
「う、うん……気持ちいい……」
「よかった」
素直な子にはご褒美。おれは百合ちゃんにまたチュッチュした。
「次はどうしたい?」
百合ちゃんは口の横からとろとろ垂らして、かわいいけど拭いちゃった。目がとろんとしてて、おれのコト好きってやっぱり目がいってる。なんでおれのコトなんか好きなんだろ。思ってたのと違うって、よく言われるんだけどな。
「理衣くんの………舐めたいです」
「百合ちゃん。おれたちもう恋人なんだよ。敬語だぁめ―次やったらお仕置きしちゃうよ」
首筋吸ったら、百合ちゃんは喉元仰け反らせで、おれはシマウマ食べてるライオンみたいに齧り付きたくなっちゃった。
「は………ぁ………ッ」
「なんてね。恋人だよ?お仕置きなんてしないよ。初めてのカノジョが百合ちゃんで嬉しい」
「ん……っ、初めて……なの?」
百合ちゃんはおれの吸ったところ撫でながら顔真っ赤にしてる。
「初めてだよ。よく誤解されるけど」
「あ………その、わたしも………嬉しい………」
ああああああ~可愛すぎる。マジか。おれの|僕がクッてなった。
「百合ちゃん………おれの、舐めてくれるって、ホントなん?」
百合ちゃんは躊躇いがちに頷いた。
「舐めるのは、初めてだから……その、下手くそだったらごめんなさい………」
百合ちゃん好き!
自信無さそうで俯いてる百合ちゃんを、おれは思わず抱き締めちゃってた。健気過ぎる。
「おれも舐めてもらうの初めてだから、気にしないで。少しずつ、慣れてこ。お互い……」
百合ちゃんはおれの愚息を出そうとしながら、チュッチュしてくれた。
「百合ちゃん、チュウ好きなん?」
ちょっとあざとく小首を捻ったら、百合ちゃんは目を逸らしてまた照れちゃった。
「舐めたら、キス、嫌でしょう?だから……」
おれのおれが、ヴゥンッてなった。なんで今まで、百合ちゃんの好意に気付かなかったんだろう?だっておれ、百合ちゃんに好かれるコト、何もしてない。
「百合ちゃん……かわいい。好き。好き、好き」
百合ちゃんからチュウしてくれたのに、おれというやつはそれをムダにしておれから百合ちゃんまた押し倒してチュッチュしちゃった。
「ごめん、やっぱりおれが舐めていい?百合ちゃん、可愛すぎるよ」
「あ………んっ…………で、も、汚いから………」
「いい匂い、するよ?」
百合ちゃんのスカート、百合ちゃんの手に握らせて捲ってもらった。おれの手がしてるんだけど、百合ちゃんがおれの前でスカートの中を見せてるみたいで興奮した。
百合ちゃんはパンツ見えなくするやつ穿いてて、色気はないかもしれないけど、ちょっと安心した。脱がせて、ストッキング越しにメロンアイスみたいなパンツが見えた。ストッキングもゆっくり脱がす。乱暴にすると簡単に破れちゃうって姉貴が言ってたから慎重に。
白い肌にメロンアイス色のパンツが残って、余計に色白くみせる。
「恥ずかしい……」
「隠さないで、よく見せて。百合の下着姿、綺麗だね。肌も……」
膝が閉じ切っているのに、さらに閉じようとして、百合ちゃんは不安そうにおれを見る。
「見ちゃいや……」
「見せて。もっと近くで」
おれはすべすべの百合ちゃんの太腿に頬っぺたをつけた。こんなに柔らかいものがこの世にあるんだなって思った。
「ちょっと、くすぐったい」
「撫でて」
おれは頭を突き出す。控えめに百合ちゃんは長くて細い指を差し伸べて、おれの髪を撫でてくれた。
「百合ちゃん……百合。百合って呼ぶ」
よく濡れた目でおれを見詰めて、百合ちゃんは頷く。
かわいいから、内股のすべすべお肉吸ってキスマークつけた。お餅みたい。
「理衣くん……キスマーク、つけたの?」
「うん。百合もおれにつける?首筋、いいよ」
おれは百合ちゃんに被さった。百合ちゃんは本当に、おれにキスマークつけた。
「百合ちゃんはおれのもので、おれは百合ちゃんのものだね」
「嬉しい……」
でもなんで、おれのコトなんか好きなんだろ。
「もっと嬉しくしてあげる」
パンツを脱がせた。恥ずかしがってたけど、嫌がりはしなかった。百合ちゃんの慎み深い陰毛が露わになって、そこにチュウする。百合ちゃんの匂いがして、ちょっとまだ恋しかったけど、寄り道し過ぎちゃったから、そろそろちゃんとやらないと。初めてだけど、野暮なところは見せられないよ。
「いただきます」
桃みたいな、女の子の始まりのところにまたチュッてした。これから百合ちゃんは舐められて食べられちゃうんだよ、って予告。
「あ……う、ぅ……理衣くん……」
百合ちゃんも多分、興奮してくれてる。そんな目。なのに寂しそうだった。
「お手々だぁして」
絵本のプリンスみたいにおれは手を出した。百合ちゃんのちょっと冷たい感じのする手が乗った。軽くて細くて小さくて、雪うさぎみたい。お手を拝借、のほうがかっこよかった?
手を繋いで、百合ちゃんのぱっくり割れてるところ舐めた。す……って百合ちゃんみたいにお淑やかで、|蒂みたいなところ舐める。
「あんっ……」
えっちな本でしか知らないし、修正とかで白くなってるから形よく知らなかったけど、ヒヨコみたい。可愛いと、いじめたくなる。人間のベロもネコみたいに痛そうだから、裏側でちろちろって転がした。
「あっ………、ぁんっ」
「きもちぃ?」
えらいでしょ?みたいな感じで百合ちゃん見たら、百合ちゃんは空いた方の手を合わせ口元に寄せて頷いて可愛かった。おれのバカ息子がずくんって高鳴る。もっと聞きたいから、百合ちゃんの可愛いヒヨコいっぱい舐めていじめた。帝城寺くんが出入りしてたところも開いちゃった。
「あっ……う、うぅ、恥ずかしい……から…………」
「綺麗だよ?」
触ったらどうなるんだろ?って単純な興味で触った。ぬるってして、ぷりってした。エビみたい。摘んでみたくなったのに、滑って、上手く摘めない。
「あ、あ、ああっ!」
百合ちゃんの声が一際高くなって、おれの頭が太腿挟まれてもっちり気持ち良かった。
「ぬるぬるで、摘めないや」
「気持ち良過ぎて、ダメ……気持ち良過ぎて、ヤ………っぅん」
口元にあった百合ちゃんの手が、ちょっとまだ遠慮がちに髪の毛ぽんぽんしてくれてそれが嬉しかった。おれマザコンなのかな。本物の話じゃなくて……
「頭ぽんぽん好き」
おれはね、しつこいネコなんだよ、百合ちゃん。触ったらおしまい。もうきみを飼主にする。それできみは、おれを撫でたんだよ。おれに好きって、目で言った。
帝城寺くんを何度も擦った場所が濡れて蠢いている。おれは舐めた。ここが他の男を食い締めて、気持ち良くした。おれも挿れたい。百合ちゃんに受け入れてほしい。百合ちゃんの中で気持ち良くなりたい。
「ちゃんと解さないと、痛いからね」
百合ちゃんは処女だったんだと思う。帝城寺くんに犯されたとき。だって血が出てたの見た。
「理衣くん……」
「百合。かわいいよ。早く入りたいけど、まだダメ」
痛かっただろうな。血が出ちゃうの。痛くて、怖かったのかなって思うと百合ちゃんのコト、いっぱい優しくしたくなった。もっと強く手を繋ぐ。
おれを受け入れてくれるところだからね。おれの大きいか分からないけど、切れちゃってたの、やっぱり痛そうで。
溢れてくる百合ちゃんのお水飲む。感じてくれてるの?それとも女の人のカラダってそういうものなの?
「あ……ううぅ、理衣くんのも……舐めたい……」
百合ちゃんが起き上がった。おれの舐めさせるの!?って思ったけど、恋人だもんな。
「うん……いい?」
おれが胡座かいて、百合ちゃんがそこに這う。おれの脛に手を掛けるのが可愛かった。大きな目に見上げられて、瞳孔の奥にハートの矢が射さる感じ。
「無理しちゃ、ダメ……だよ?」
百合ちゃんの髪の毛撫でた。さらさらしてる。田舎の山奥の湧き水みたい。毛先ちょっと巻いてあって、いつもは真っ直ぐにしてあるのに、ふつーにオシャレ?もしかして、おれのため?百合ちゃん、オレのこと好きなんだもんね……自惚れて、いいのかな。
百合ちゃんはオレの倅を外に放った。百合ちゃんの鼻先でぶるんって跳ねたのが恥ずかしかった。もうガチガチに硬くなってて、血管浮き出て、恥ずかしかった。今にもはち切れそうな巨大ミミズみたいでグロテスクすぎる。百合ちゃんの見ていいものじゃない……のに、百合ちゃんは大きなケーキとかアイスとか食べるみたいにちょっと首伸ばして、ネコが水飲むみたいに小さくてかわいいベロがちろちろしてた。
「う、」
「痛かった……?」
百合ちゃんは口離して、不安そうだった。
「ううん。気持ち良くて……」
百合ちゃんははにかむ。それでおれの倅舐めるのを再開した。降りてきた前髪掛けて、耳が露わになる。|撓んだ指先とか、髪とか……おれのバカ息子が大きくなっちゃったの、多分バレた。だって百合ちゃんの両手、おれの握ってる。
「ちんちん、きもちいいよ」
亀頭が口の中に入っちゃって、温かった。くぽ、くぽって音がして、おれのやつがれの先っぽが見え隠れする。
舐めるの初めてなんだなって思ったし、帝城寺くんに処女奪われたのは知ってるけど、こういうことも初めてなんだなって思った。フェラチオ、おれ好みにしてもらうのは後ででいいや。今は―
「百合。脱ごう?そろそろ……ひとつになりたい」
おれの倅を口に入れて、百合ちゃんは苦しそうだった。おれのが大きいのか、百合ちゃんのお口が小さいのか。
「わたしおっぱい、小さい……よ……?」
「百合。脱いで。おっぱい、見せろよ」
百合ちゃんちょっとMかもなって思った。脱ごうとする手が震えてはいるけれど、泳いだ目が、やっぱりおれを好きだっていってたときの目だ。
「う、うん……」
「なんて……ごめんね。おっぱい見せるの、嫌?百合のおっぱい、みたいな。それともこのまま、触られたい?」
おれは百合ちゃんの乳首のあたりを摩った。
「んぁ……」
少しこりってしてた。このまましたら、服の繊維、ここだけ擦れちゃわない?百合ちゃん、どうするの?
「脱ぐ?このままおっぱい、気持ち良くされちゃう?」
「脱ぐ………脱ぐから、」
百合ちゃんが服脱いで、パンツと同じメロンアイス色のブラジャーが出てきた。女の人の身体って綺麗だ。百合ちゃんの下着姿はもっと綺麗で、肩とか二の腕とかチュウが止まらなかった。おれがずっとチュウしてたから、百合ちゃんはなかなかブラジャー取れなかった。ごめんね。
「百合ちゃん、おっぱい、綺麗だよ」
体格に見合ったお胸だと思う。ま、百合ちゃんにくっついてれば大きくても小さくてもどっちでもいいや。
「理衣くんは……脱がないの……?」
「脱がせてくれる?」
百合ちゃんは俯いて、嫌かな……って思ったけど頷いてくれた。おれは百合ちゃんに脱がされていく。おれの肌をチュッチュってして、マネしてくれたのかな。
「裸のまま、ギュッてしたい」
おれの平たいおっぱいに、百合ちゃんのおっぱい当ててみたい。気持ち良さそう。でも、抱き寄せようとしたのに百合ちゃんは肘張った。
「理衣くん……あ、あの………わたし、初めてじゃ、なく―、て……」
「知ってるよ」
知ってる。だって目の前で見ちゃった。おれと目が合った瞬間に全部分かった。おれのコト好きってことも、他の男に抱かれてるのにおれに抱かれてるつもりになってたってこと。伝わっちゃった。あれ?俺たちって相性良いんじゃ……
「嫌じゃ……ない?」
「おれが嫌だったかどうかは、百合がこれから判断して」
チュウして、胸揉んで、小さなピンク色を両手でくりくり触った。もう百合ちゃんの中に入る準備は、おれは万端。ゴムを被せて、初めてだからちょっとモタついた感。でも器用だからきれいにできたと思う。
「理衣くん……」
「百合の中、入るね」
百合の柔らかいところに先っぽ当てて、なんかもうそれだけでも気持ちよかった。
「う、うん……来て、理衣くん………好き」
ゆっくりやろうとしてたのは本当。でも百合ちゃんが可愛過ぎて腰突き出しちゃった。熱くて柔らかくて濡れた感触に包まれて、息子が固くなっちゃった。
「すごく、固い……っ!」
百合ちゃんがおれに両手伸ばしてくれたから繋いだ。おれのこれ以上固くならないよってくらいカッチカチになって、これ受け入れてる百合ちゃんは平気なのかなって。でも思い遣れる余裕なんてなくて。おれの腰に百合ちゃんの脚が絡まって、腰を引いても押しても頭がおかしくなるくらい気持ち良かった。
「ん、あっ、あっ……」
熱くて固いまま溶けそう。倅に集まった血が百合ちゃんの中で広がっていく感じ。たまの奥がドドド……って百合ちゃんに注ぐ精子が渦巻いてる。ゴムあるんだけどさ。
「百合ちゃんの中、とろとろのふわふわだね」
でもぎゅうぎゅうで動けない。動けるけど、百合ちゃんがキツそう。あんまり動かないようにしてたけど腰が揺れちゃう。
「理衣くんと、できて………嬉しい」
「お、れ、も……!」
百合ちゃんが息吸ったときに一気に全部突き入れた。
「ああああっ!」
悲鳴みたいなんだけど甘たるい声が抜けていく。中が締まって、シコシコするときのラストスパートのときみたいな気持ち良さがキてた。
「あ……う、百合………イってるの?」
「んっ………ん、あぁ………ごめ、なさ………」
「おれのこと置いてきぼりにしちゃヤぁよ」
まだひくひくしてる百合ちゃんの中をつく。くちゃくちゃ音した。百合ちゃんはおれの手を放そうとしたけどおれは放さなかった。イってるカオみたいから。
「理衣くん………っだめ、今、だめ、だめ、突いちゃ、いやっ………!」
「嫌なの?」
百合ちゃんの中はそうはいってなかったけど、でも本人がいやがってるから腰止めた。それでもまだおれのことちゅきちゅきって絡みついたくれるからおれは気持ち良かった。
「理衣くん……」
またおれのこと好きって目でおれを見る。ダメだよ。止まらなくなっちゃうよ。
「お胸触るね」
おれは腰動かすのはやめてトッピングみたいな乳首触った。
「あ……」
緩やかに百合ちゃんの中が引き攣った。奥に誘われて、おれもいつまで腰我慢できるか分からないよ。
「お胸も感じるんだ。今ね、おれのこと奥に連れてこうとした。かわいい」
指で摘んで転がした。つんってしてるのが普段の百合ちゃんっぽい。今はぐずぐずになっているのに。
「あ………っう、」
「これでおれが突いたら、百合、またイっちゃうんじゃない?」
多分おれもイっちゃうんだけどね。
「理衣くんは、動かなくて……平気?」
百合ちゃんがおれに巻きつけた脚を使って、自分で腰揺らした。ぴき~んって頭の中で何か割れた。
「百合~!煽っちゃだめじゃん。我慢できないよ?いいの?」
もうおれは確認するまでもなく百合ちゃん抱き締めてピストンしてた。きゅんきゅんに締められちゃって止まらない。百合ちゃんは生クリームみたいだった。これからおれの生クリームを注ぐんですけど……ぉ
「あっ、あんっ!」
「百合……気持ちいいよ」
頭もふわっふわになる。ダンス経験とかないけど、腰こんな速く動くんだって感じ。
「あっ、あっ、あっ……あああ!」
「百合………好き…………―ぅ、く………」
ゴム越しに濃いのが出る。一人でシコシコするのじゃ得られない。息子の中を擦っていく音がしそうだった。
「理衣くん、好き………好き、好き……」
「おれも好き」
―……な~んてね。
百合ちゃんはおれの腕の中で寝ちゃった。可哀想に。おれに「嫌いにならないで」って縋り付いて、泣き疲れちゃったんだね。
きみがおれにたった一言、「好き」って言ってくれたら、おれもそんな悪い返事しないんだけどな。ちょっと意外だったけど。それとも女の業なの?いいよ。それでも。あのとききみがくれたいっときの眼差しだけで、ずっときみを愛すよ。愛するとか想うってそういうコトだろ。
今度おれのところに来たときは、キスだけじゃ済まさないからね。
でも今日は何もしないでおいてあげる。恋人になる|可能性が浮かんでいるのなら、焦る必要もないしねぇ?ウサギとカメでも読み直すべき?
ブルブル……って携帯電話の板っぺらが震えて、ああ、百合ちゃんのか。
『ゆり!どこにいんだ?』
「帝城寺くん、こんにちは。百合ちゃん、今寝てンだわ」
ごめんね、百合ちゃん。ライオンさんにエサ見せちゃって。ライオンさんと、仔羊さんと、おれはハイエナ?
「―おれの|抱擁で」
ブレイジンググレイス
いけない人だ。|三民さんは、いけない人。
俺は潔癖症で、いつも白い手袋をつけていたけれど、彼女は綺麗だから大丈夫と衛生観念が言っていた。素手で、彼女の陰部に触れる。他の人間だったら嫌悪していただろう。陰部なの汚い。自分のでさえ触りたくないのだから。
女性はここに悪魔を飼っていると聞いたことがある。男も変わらないくせに。俺は信じていなかったけれど、今は信じてしまいそうだった。
三民さんは清い人だと思っていたのに。
「あ……」
彼女は今、テーブルの上に仰向けに寝ている。俺がそうした。腕を縛って。
「三民さんは、|帝城寺と付き合っているのではないのですか?何故、|君主河原と接吻していたのです。不潔では」
今時の他人の性事情など、俺の知ったことではないが、彼女が何を企んでいるのかは気になるところだ。美女離間の計というものもある。あの2人の仲を引き裂くつもりなのか、はたまた、あの2人は互いに知っていて認めているのか。喧嘩をされても厄介だ。火種は潰す。
「誤解だよ、誤解だから……放して、|皇坂さん!わたし、誰とも付き合ってなんてない!あれは……」
「付き合っていない?誰とも?帝城寺は強引ですからね、分かります。ですが君主河原は?貴方は接吻をしていましたね。寝ている彼に。付き合っていないのですか?付き合ってもいない、意識のない相手に、貴方は……?」
俺は、無遠慮にソファーで寝ている君主河原へおそるおそる接吻する彼女を見たのだ。清楚で、淑やかで、優しく聡く、時には気が強い、しかし嫋やかさもある三民さんは、俺の密かな憧れでもあった。なのに。
「そ、れは……」
「思わせぶりな態度は良くありません。貴方も他の女たちと同じように……帝城寺のような艶福家を手玉に取って、ご自分の価値を高めようなどという愚かな考えがおありなんですか」
俺の指先で擦った彼女の肉塊がぬるつく。指の腹が滑る。元の位置に戻そうとするだけ滑り、小振りなものを弾いてしまった。
「あっ……んっ、」
彼女の白い腿が跳ね、腰が揺れる。
「帝城寺でも君主河原でも果ては俺でも、構わないんじゃないですか」
「や……っ、あっんっ、あっ……や、ぁっ!」
|痼りを甚振るような感触だった。彼女は面白いほどに反応を示す。口で話すよりも、全然。
「構わないんですね」
「やめ………っ、皇坂く、………なんで、っ、あんんっ」
「お口より素直なようですから」
少し動かし方を変えて捏ねると、彼女は下唇を噛んで目蓋を閉じた。
「ああああんっ」
腰が上下に揺れた。俺の指が濡れて照りつける。
「帝城寺とは|交合う仲なのでしょう」
「……え…………?」
惚けた目が潤んでいて、意識はあるけれどここにはない。もしかしすると見えているのは俺ではないかもしれない。
「君主河原のように中には入っていけなかったけれど、俺もあのとき傍を通った。貴方の声を聞いて……貴方は帝城寺と付き合っているものと思ったのに、貴方は君主河原に接吻していた。何故?」
一夫多妻というものは、妻に等分に尽くさねばならないという話だが、まさか彼女も、平等に2人に尽くすつもりではあるまい。
どうなんだとばかりに俺は彼女の陰核を押す。
「ん……っ、ダメ!今、や!ぁんっ」
ガムテープで縛っている。暴れて紐状になったテープが白い皮膚を傷付ける。
「答えてください」
さらに奥へ指を進める。濡れて生温かい粘膜に触れた。濡れている。少し粘こさがある。女性の肉体とは縁がない。帝城寺ほどではないけれど女性から慕われることは多いが、俺は他人の肌や、そこに纏った汗だの皮脂だのがどうも苦手だった。それを……俺は今、三民さんの陰部を|弄っている。それに汚さを覚えない自分に驚く。むしろ惹かれている。興味がある。彼女がもしかしたら、誰かの子を産むかもしれない箇所。帝城寺に暴かれていた。この華奢な肉体で、あの乱暴者の大柄な身体を受け入れた……
なんて倒錯的なんだろう。俺の指だってきついのに。ゆっくりと射し込めば、彼女の中の肉襞もゆっくり俺を圧迫する。
「う………ぅ、」
「狭いんですね。帝城寺だけですか?君主河原とは?」
女性に持て囃される帝城寺が唯一執着する相手の中。他の女性はこうではないのだろうか。他人の体液が苦手な俺の知るところではない。などと、今、好き好んで他人の体液を触っている俺が言うのもおかしな話で。
「誤解なの。誤解だから……」
「誤解?貴方が帝城寺と交尾をして、甘い声をあげていたことですか。意識のない君主河原に接吻しようとしていたことですか。俺の見たものは、誤解だと」
彼女の指が俺の指を柔らかな肉壁で噛み砕こうとする。確かに、ここに陰茎を挿入すれば自涜では得られない快楽に打ち|拉ぐのかもしれない。俺は性欲が強い。いいや、正確には……人より官能表現を受容しやすいのかもしれない。たとえば彼女の小さく開かれた唇だとか。散らばった髪だとか、俺に怯えた目だとか。つらそうに歪んだ眉もいい。気怠げに晒された首筋には、俺の嫌いな他者の匂いが蒸れて籠っていそうなのに、惹かれている。
「待って……待って、………あ、」
ざらついた質感が面白くて動かしてみる。奥へと引き込まれ、圧迫されるのはマッサージに似ていた。多少の不潔に目を瞑り、性器を突き合わせてみたくなる世間の男女の気持ちが分からなくもない。
「まさか不埒なことなんて、ありはしませんよね」
「あ……っん……指、抜いて………」
俺は聞かなかった。小さな泡が弾けるような音をさらに増長させる。
「あっ、あっ、あっ……」
「ここですか」
「や、ぁあんっ!」
彼女の声が一際高くなる箇所を知ってしまった。彼女は膝を立て、脚を開いた。細くも、ただ骨張って弱々しいばかりではない彼女の脹脛が魅力的だった。
卑猥な動画では、女優がここを触られて激しく叫ぶ。あれは演技だろう。けれど、これは……?俺は今、騙されようとしているのか。
「演技ですか」
俺は女性を知らないから、これが演技なのか否か分からなかった。
「あ……んん」
陰核も|拇の腹で押さえる。性に興味がないわけではない。女性はここが本当に感じるのか。創作物の過剰表現か。どうやらまったくの嘘ではないようだが。
「んっあ、そこ、やぁんっ」
外側と内側。同時に擦れば、両手首が痛むのも構わずに彼女は腰を浮かせて暴れた。言葉とは裏腹に膝が開いて、俺は手を動かしやすくなった。
「だめ、だめ、あっ!あああんっ」
帝城寺や王旗院、或いは俺を囲うときばかり、女性たちが発するような甘く高い声だった。彼女の膣内が収斂して、中に挿れた俺の中指と薬指の狭間に液体が満ちていく。掌も濡れた。
「演技でも、イくときはイくと言ってくださらないと困ります」
おそらくその可愛い耳には届いていない。眉も口も蕩けて、腰を緩やかに上下させながらも、彼女の目は虚空を見つめていた。
「お答えください。帝城寺や君主河原とはどういう関係なのです」
膣の中の痙攣が治まるまで、俺は緩めながらも手を動かしていた。
「あ………ん……っ………」
「帝城寺と身体の関係にありながら、君主河原を慕っているのですか?」
陰核を撫でた。彼女が溢れさせた膣粘液を塗りたくると、滑って上手く捏ねることもできない。
「君主河原くん……」
甘えた声が返ってくる。ろくに俺の話も聞かずに、彼女は違う男の名前を呼ぶ。その目を見れば、正気でないのは明らかだった。意識を手放そうとしている。ああ……彼女は現実と非現実の境界で別の男にこうされている。
「違います。|皇坂|礼奈です」
顔を近付ける。少し汗ばんでいる額を撫でてみた。張り付いた前髪を掻き分けてみる。
「ん……っ」
悪夢に魘されているかのような悩ましい表情が、俺の胸をうつ。三民さんが対する憧れが、もっと突き詰めた興味に変わる瞬間だった。
「いけない人だ、貴方は」
陰核に容赦していた俺は、そこを押し潰す。柔らかな弾力を小さく感じる。
「あんっ………だめ、もう、だめ………今、は………あっんっ」
凪いでいた肉体がまた暴れだす。絶頂直後の敏感な部分を刺激されて、彼女の小さな尻が撥ねた。滑らかな膝が震えて、淑やかな腿が軋むように開閉している。嫋やかな足首が下肢のために踏み留まって、待針みたいな小指が躍る。はしたない。だが、美しい。
「そうはおっしゃっても、貴方の中は俺を食い締めますが。何故です。俺は|君主河原|理衣ではありません」
「あ、ああ……はぁ……ん……」
眇められた目が潤みを増す。口で答えなくても、彼女はその瞳で答えている。あの剽軽者が好きなのだろう。見目も悪くない。膣でも答えいる。君主河原の名を出すたびに、奥へと引き込もうとしている。真面目な三民さんらしい。そしてこんなのは淫らだ。不埒で美しい。はしたなくて可憐だ。
「お好きでない帝城寺に対しても、このように?それは誤解されてしまいますね」
「う、ん、んんっ」
陰核を左右に弾き、その裏側少し奥を摩る。またもや彼女は徐々に腰を浮かせる。催促に思えた。素直な反射がいじらしい。帝城寺に対する態度ばかり見ていたが、俺には優しく、爽やかで、真面目だ。他の女性みたいに二面性があるとは思わなかった。媚びているのではない。その都度、適した相手に適した対応をしているのだ。帝城寺のような強引な乱暴者に、俺たちにするみたいな接し方をすれば呑まれてしまう。叱責を知っている彼女は優しい。
「イくときはイくとおっしゃることですね」
「で………ちゃう………でちゃう!押すの、いや!あっ、あっあっ!」
構わずに俺はそこを突いた。彼女は腰を上へ突き上げる。スタッカートのように短く切られた嬌声と共に、彼女は俺の指に合わせて膣付近から液体を噴射する。水が彼女を縛り付けたテーブルを叩く。
「貴方はお恥ずかしい方だ」
「あ、あ、あ………いや………!こんなの………ああっ………」
紅潮した顔が泣きそうで、可愛らしい。胸の張るような心地がする。抱き締めてしまいたくなる。数秒息を止めたようなわずかな苦しさを覚え、彼女の膣を削ることで誤魔化した。
「もう放して………お願い、お願い、どうして………」
「素直に答えてくださればいいんですよ。ありのままを」
「わたし、あなたに、何か悪いコト、していたの………?」
涙ぐんだ目は今にも泣き出しそうだった。またじんわりと、彼女を抱き寄せて困らせたい欲求に駆られてしまう。
「いいえ」
「じゃあ、どうし………て、ああんっ」
俺は彼女の膣を真正面から捉えられる位置へ移動した。同じところを|嘖めば、彼女は言葉を続けられなかった。荒々しく呼吸をして、失禁したみたいにさらさらとした液体を噴く。俺の眼鏡にかかっていく。レンズを滴り落ちる。俺は自ら浴びたのだ。人の肉体わ経由した液体がきれいなはずはない。だが浴びたかった。彼女の潮が、恵みの雨のように思えたから。
「俺の眼鏡が濡れました。髪も。頬も……」
本人に見せると、顔を逸らされる。俺は怒ってなんていないが。
「ご、ごめんなさい………ごめんなさい。謝る………謝るけれど、謝るけれど……」
「謝るけれど、何ですか」
眼鏡を外す。度は入っていない。俺の視力は悪くない。ただ、人と距離を取るためだけに、厳つい眼鏡を選んだだけだ。折り畳みもせず拭くこともなく傍に置き、彼女の顔を追う。だがまた反対を向かれてしまった。
「三民さん」
「こんなことするなんて……酷い。皇坂くんは、こんなこと……」
「俺も帝城寺と同じ男ですよ。それも悪い男です。君主河原もそうですよ。彼も男だ。それも悪いほうの……」
「やめて!名前………出さないで……」
俺は私物のウェットティッシュで手を拭いた。そして携帯用のアルコールスプレーで消毒をしてから、ハンドクリームを塗りたくる。三民さんの怯えた目が、俺を観察する。いくらか安堵しているように思えた。
「貴方も、善良な女性ではなかったようですね。それとも彼を、悪い男だと看破していたのですか。だから、あんな真似を?悪い男を煽って、それで?」
「嫌!嫌!違うの!ちが……」
「見目は麗しい男ですからね。人当たりも悪くない。むしろお人好しだ。上手く異性をあしらえずに冷めていくことも多いみたいですが、薄情になれないそこが美点といえなくもない」
「やめて……」
「優しい男です。けれど、俺と同じ、悪い男ですよ。このような貴方を前にしたら、貪り食ってしまう類いの……」
俺は彼女のブラウスに手を掛けた。ひとつひとつ、時間をかけてボタンを外す。彼女は言葉を失っている。
インナーを着用しているのが好ましい。透けたブラジャーは目のやり場に困る。開けられた胸元で迫られるのも。誤解し、誤解されている。一人格を好いたわけではなく、女体に対する関心ゆえの反応に過ぎないのだと。男の肉体は短絡的で愚直だが、そこに乖離した感情もあるのだと。
これは男女問わないことだけれども、何より汗が可視化されるのが、俺には不快だ。男は俺に寄りつかないけれど、一定の女性は至近距離まで詰めてくる。汗を吸ったブラウスが触れるのは、|悍ましい。俺にとっては女性の汗だからきれいだなんてことはないのだ。
三民さんのキャミソールは、少ししっとりしていた。
「脱がしちゃ嫌………」
震えて消え入りそうな語気が俺を堪らなくさせる。俺も汗ばんでいる。ハンドクリームを塗る必要はなかったかもしれない。
「嫌ですか。ですが脱がせます」
「嫌……っ!」
彼女は身を捩る。キャミソールを捲ると、淡い紫色のブラジャーが現れる。センターに小さなリボンのついて、レースカーテンのようなデザインが妖艶だ。清らかに爽やかな彼女の服の下は、正反対に色香を籠もらせていた。瞳孔の奥を灼かれるような心地がする。
「綺麗ですね。とても。君主河原にも見せたのですか。あの様子では、まだそこまでは至っていらっしゃらない?」
「やめて……」
彼女の目から、やっと溜まりに溜まった涙が落ちていく。可愛らしい。
「君主河原は黄緑色が好きだったかと思いますが、下着は紫色なんですね」
あの男の私物のほとんどが黄緑色だ。下着はそうではないらしい。脱がせたパンティも、今思えば紫色だった。
「う………う、う………」
「泣かないでください。貴方に黄緑色は確かに似合いませんし、貴方は君主河原のものではないのだから、彼色に染まる筋合いなんてそもそもないのですものね」
落ちていく涙を指で受け止めた。火傷しそうなほど熱い。ダイヤモンドみたいだ。しかしすぐに溶けていく。宝石にいちいち「人魚の涙」だの、「女神の涙」などと仰々しく浮ついて歯の浮くような名前を付けたがる気持ちが分かる。
「言わないで………」
「どうして告白しないんですか。彼の前で帝城寺に激しく抱かれ、彼の目の前ではしたなく果ててしまったからですか。君主河原だって満更でもなかったでしょう。あんな乱れきって淫猥な貴方を見たら、恋心はどうだか知りませんが、肉体への興味は湧くと思いますが。特に慎み深い貴方に対してなら。寝ている相手に接吻しようとする貴方でも、外面はいいでしょう?」
「わたしが悪かったの……認めるから………君主河原くんに、謝りに行くから……」
「本人には言わないでほしいと?言いませんよ。謝りに行く必要もありません。彼もそこまで男女平等という考えの持ち主じゃありませんからね。女性からの|悪戯ならば赦すほかないと考えていますよ。艶福家の宿命です」
大粒の涙に俺は意識を奪われている。もっと泣け、もっと落涙せよ、と欲求は|止まるところを知らない。
「それに君主河原は、ショートカットでグラマラスで、賑やかな年上女性が好みだとか以前、言っていたような」
これは俺の脚色が入っている。以前、雑誌に載っていたグラビアアイドル複数名から選んだ人の印象と特徴を言っただけだ。
「わ、分かってるから……君主河原くんが、わたしに興味ないって、ことくらい………」
彼女が好いた男の名を言うたびに翳る。夏場の倉庫みたいな情感を覚える。
俺は彼女の拘束を外した。俺もベルトを外し、ファスナーを下ろす。泣いている彼女は気付かない。華奢な身体を抱き上げて、今度は俺がテーブルに寝そべる。腰の上に彼女を落とした。
「あっ………く、うんんんっ!」
「ぅ………く、」
真下から三民さんを貫いた。鋭い快楽が俺の陰茎で逆巻く。帝城寺が雄牛みたいになっていたのも頷ける。熱く柔らかく狭い、そして彼女とは別に意識を持った生き物みたいに俺のペニスを扱いている。やはり予見したとおりの、自涜では得難い猛烈な悦び!
上で仰け反った身体を引き寄せた。
「あ……、抜いて………抜いて……」
彼女は肩で息をしながら顔を隠してしまった。俺は、赤くなって|気触れてしまった両腕を奪い取った。そして放す。
「いやよ!いや!こんなの、いや!」
俺の好きな色をしたブラジャーを上へやって、彼女の乳房が露わになる。小振りのようだが、盛り上がりのある形の良い乳房だった。ピンク色の乳頭も普段みせる彼女のように奥ゆかしい。
「ああ!」
「綺麗ですね」
俺は彼女の乳房を揉んだ。搗きたての餅を触っているのかと錯覚してしまう。この柔らかに夢中になった。
「触らないで……うう………う……」
「君主河原だと思ってくださっても結構です。体格もあまり変わらないでしょう。声が違いますか?では黙ります」
目論見どおり、他の男の名を出せば、彼女の膣肉は俺を食い締めた。堪えても腰が進んでしまう。濡れた摩擦を止めるのは難しい。
「う………うう………」
少しだけ彼女も腰を揺らした。本当に、俺に君主河原を馳せたのか。胸の翳りが色濃くなる。掌で乳房を揉みながら、指は小さな乳頭を摘んだ。
「ぅ……ん……」
硬くなっている。小さいといっても男よりかは少し大きいが、女の乳頭とは硬さもこうなのだろうか。指の側面で転がす。陰部とは反対に、小規模の乾いた摩擦が楽しい。
「ぁ……、ぅんっ」
彼女はまた口元を押さえてしまった。膣は俺を咀嚼して、粘着質な音を出している。射精したい欲が煽られる。
動けばさらなる快感が得られるだろう。それは楽しみとしてとっておく。今は、彼女の乳頭を転がして得られる気持ちの良さに集中したい。
「ふ………ぅ、ぅう………」
指と指の間で乳頭を捉える。指紋と指紋が作る質感を彼女に伝える。俺の陰茎を咥えた腰が前後に揺れている。俺も声を我慢する。固く閉ざされた彼女の目蓋の裏にいるのは、誰なのだろう。俺ではないのだろう。突き上げる。
「は、あんっ!」
だが一撃だけだ。乳頭を捏ね続け、彼女は背筋を反らしてさらに胸を突き出した。
「あ………ぅん、んっ……あ………」
膣の|蜿りが増す。俺も彼女の乳頭の虐め方が分かってきた。起き上がり|小法師を倒すにしてやるのが好いらしい。
「あ……ん………ぁ、」
乳頭だけでなく、膣も好くなってしまったらしい。ぎこちなかった腰の揺らぎが小慣れてきている。粘り気の強い音も大胆になってきた。三民さんの手が俺の腹に置かれ、俺が頭を|擡げると避妊具もなく生の結合部が見える。彼女の中に入っているという実感がまざまざと現れる、大量の血潮が俺の陰茎に送り込まれた脈動を覚える。
「三民さん」
呼びかけた俺は嗤っていた。彼女の目がゆっくり開き、だが俺を捕捉する眼差しは鋭かった。
「あ、いや!あっあっあっ!」
拒否は甘たるい声に掻き消された。三民さんを突き上げる。清楚な彼女が膝を開き、奥へとさらに俺を迎え、軽快な音も粘着質な音も強くなった。結合部もよく見える。陰茎が太さを増していく。射精したい。彼女の膣に子種を注ぎたい。俺だけのものにしたい。
俺は携帯電話を手にしていた。時計が目に入る。と同時に、ドアをノックする音があった。
『皇坂くぅ~ん?入ってい~い?取り込み中?』
俺の陰茎で自慰同然のようにしていた三民さんがぴたりと止まった。俺は彼女を見遣る。強く首を振り、はためく髪に感じてしまう。
「ぅんっ……」
俺のペニスの微細な変化を、敏感な彼女は気付いたらしい。
「入ってくれ」
「な、んで……っ」
三民さんの絶望。急いで俺から逃げようとする。だが逃すわけはなかった。
ドアが開く。君主河原が中に踏み入った。そして俺と、上に跨がる三民さんを認めて立ち止まる。
「えっと……」
「三民さんと付き合うことになった」
俺は彼女の腰を掴んで突き上げる。テーブルが軋む。君主河原はそこに佇んでいる。
「あ、あ、あ、っやぁんっ、いや、いや、いやぁ!」
「は、はあ……そ、れで?」
君主河原は相変わらず人を小馬鹿にしたような態度だった。
「彼女が俺のものになる瞬間を見ていけ」
「いや、!いやなの、やめて………!あ、あああああああっ!」
彼女の肉体が波打った。俺は唇を噛んで強烈な快楽に耐えられず膣内に射精する。
「めっちゃ嫌がってない?」
「恥じらい……さ、……っ」
余韻が上手く息をさせない。
「あ………んっ、あっ………あっ………赦して………好きなの………赦して………好き………」
「なぁんだ。よかったね、皇坂くん。おめでとう」
俯いて硬直している三民さんから目を離した君主河原は、俺に向かって勝ち誇ったような顔をしていた。
アイシングビースト
大雨だ。少しだけ頭が痛い。朝からの悪天候。屋上庭園へ出るドアの鍵も、今日は開いていなかった。だが俺の好きな場所だ。鍵は開かないというのに、階段に座って雨音と遠雷を聞いていた。あとは帰るだけだ。だが帰るにも、この雨では、傘も意義を果たせないだろう。
下から階段を登ってくる足音が聞こえて、俺は息を殺した。幸い、晴れた日でも日当たりの悪い暗いところだ。電気も
点けていないし、生憎の天候では俺は暗闇に溶け込める。背は高いほうだ。だが存在感は無いらしい。周りと打ち解けない俺に対する嫌がらせでないのなら尚更、俺は存在感がないことになる。
『逃げないで。なんで逃げるの?』
下の階から話し声が聞こえる。足音が消えた。
『ごめんなさい……ごめんなさい………わたし……いつも、|君主河原くんに嫌な思いさせて……』
相手は君主河原か。いつもと声が違うように聞こえたから気付かなかった。モテるんだろうな。女は顔の綺麗な変なヤツ、好きだろ。
『不快?なんで不快?』
君主河原らしくない喋り方だった。本当に君主河原か?話題に挙がっただけで、下にいるのは違う人間なんじゃないだろうな。
『だって、あんな姿……き、気持ち悪い……よね。君主河原くんには、もう迷惑、かけないから……』
『あっはっは。でも百合ちゃんも酷いな。オレのキスを受け入れてくれたのに、|皇坂くんと付き合っちゃうなんて』
百合?皇坂?確か帝城寺が尻を追い回している女がナントカ百合っていっていたな。まさか。よくは知らんがあの態度は帝城寺に惚れてるだろ。俺以上に人嫌いな皇坂がそこに横槍を入れるとは思えない。俺は人と関わるのが疲れるだけだが、皇坂は人が嫌いなんだ。帝城寺が尻を追い回している女とは違う相手だとしても信じられないな。
『付き合って……な、んて……』
『好き、って言ってたもんね。オレもあの日のことは忘れるよ。キスしてごめんね。百合ちゃんもオレのコト、嫌いにならないで。トモダチとしてやり直そ』
仮に皇坂とユリって女と付き合っていたとして、その女は今、君主河原と逢引き中。複雑だな。
『じゃあね、百合ちゃん。外すごい雨だから、気を付けてね』
君主河原は爽やかなヤツだと思っていたが、浮気か。
遠くにあった雷の音が近くでして、こんな日にする会話ではないなと俺はひとり楽しくなってしまった。
『ゆり~!どこだ?おい!』
帝城寺が吠えている。大将気取りのライオンみたいだが、あの人には気品がない。
階下の足音も近付いてくる。俺は手摺り側に身を寄せて隠れた。電気を点けられたらすぐにバレるが。
俺が真横にいることにも気付かず、君主河原じゃないほうが、階段を登ってきて、座り込んでしまった。どうやって帰るか。
雨音と稲妻、そして爆音。その後に訪れる静寂。俺の隣で皇坂と付き合っていて君主河原と浮気しているらしい女が泣いている。泣くくらいなら皇坂と付き合わなければいいだろ。別れて君主河原と付き合えばいい。浮気をするな。俺には関係のないことだが。女はそういうものなのか。浮気や不倫というものに縁のない人生を送っている俺には、まったく忌避感がないが、とりあえず世間的には禁忌らしい。確かに、好きな相手を見誤っているという点で情け無くは思えるが。
浮気女は自分が悲劇のヒロインだとばかりに泣いている。本人はこの場に一人のつもりなのだから、この女の自由ではある。
ただいくらか、天気頭痛を抱えている身としては鬱陶しさが否めない。
『おい!ゆり~。ここか?』
帝城寺が階段を登ってきている。うるさいのが増える。頭痛に響く。隣で驚いたような小さな音が聞こえた。だが今は帝城寺が追い払うのが先だ。
「ここには誰もいない」
階段を降りると、帝城寺が相変わらずの高圧的で横柄な態度で構えている。
「あ?」
「あ?じゃない。頭に響く」
「ここにはいねェんだな」
「ここにいたら電気くらい点いてるだろうさ」
俺は点けないが。
「ほぉ?確かに。ンじゃあな。サンキュ」
帝城寺はその自己顕示欲と比例したみたいな足音で階段を降りていく。俺は反対に屋上庭園に繋がるはずだった踊り場へ戻った。
「あ―」
女が声を出そうとする。俺は女の口を塞いだ。掌に柔らかいものが当たる。
雨音、稲光と、直後に爆音。静寂が来て、心臓の鼓動。
「聞こえるぞ。あいつに」
女の甘い匂いがする。
稲光がもう一回。それから浮気女の顔が見えた。
「|天子ヶ沢くん……?」
俺はこの浮気女を知らないが、相手はそうじゃないらしい。一方的に知られていりのはあまり気持ちの良いものじゃないんだな。
俺は女の口から手を離す。掌に当たっていた柔らかなものの感触がまだ残っている。
「あの……ありがとう……」
「アンタのためじゃないよ」
「頭、痛いの?」
浮気するだけあって馴れ馴れしい。一人にしてくれ。帝城寺ならもう行ったぞ。こっちは頭が痛いんだ。
「別に」
「ごめんなさい、お邪魔しちゃって。もう行くから」
浮気女が立ち上がった。落ち着くと、俺の中で図式が組み上がっていく。この浮気女は帝城寺が尻を追い回している女で、皇坂と付き合い、君主河原と浮気をしているということか。
女人気の高い奴等に手当たり次第唾つけているのか。嫌な女だな。帝城寺の次にモテる|王旗院がエントリーされていないのが少々意外だが。
「いいのか。帝城寺に見つかるぞ」
「他の部屋に行くよ。ありがとう、庇ってくれて……」
「庇ってないしアンタのためじゃない」
「でも、助かったから」
優しそうな女だが、浮気をしているのだから恐ろしい。
浮気女は階段を降りていった。俺も頭痛が治まって、雷はまだ鳴っているが大雨が弱まりつつあるから、そろそろ帰れるかもしれない。
エレベーター前にはまだあの浮気女がいた。明るいところで見ると結構タイプ。気が強そうで、でも弱そうな。清楚っぽいが、芯の通っていそうな。いじめたくなるが守りたくもなる雰囲気だ。帝城寺と同類か。いいや、皇坂と一応君主河原もそうなるな。
エレベーター前の自販機で買ったらしいいちご牛乳を飲んでいてあざとい。浮気女そのものはあざとくないが。いいや、あざといから、あいつ等は首ったけなのか。見た目は確かに、俺も好みだ。
浮気女も俺に気付く。会釈されたが俺は返さなかった。浮気女に言い寄られて、第二の君主河原になるのは避けたい。何しろ見た目はタイプで、しかも手練なんだろう。意識の外に追いやっておくのが安牌だ。
エレベーターが着いて、俺が乗ると浮気女のも入ってきた。外はいくらか弱まったとはいえ雨は振り続け、雷はガラスが割れるような音をたたている。瞬きとはずれたタイミングで視界が明滅すると、小さな箱の中は真っ暗になって、下降するはずが止まった。
最悪だ。階段を使えばよかった。落雷とエレベーターというところにまったく不信感を持たなかった。階段で降りられない距離じゃなかったはずなのに。
携帯電話で明かりを点ける。浮気女はエレベーターのパネルを触っていたが、どれも無反応だった。そのうち復旧するだろう。
浮気女は諦めて、その場に|蹲る。携帯電話持って来てないのか?このご時世に持ってないわけないだろう。ライフラインだぞ。
カレシに連絡しないあたり、置いてきたに決まってる。
「スマホ持ってないのか」
浮気女が意外そうに俺を見る。もしかして俺が乗っていることに気付いてなかった?有り得るな。
「持ってるけれど……」
「誰かに連絡でもしておけ」
そわそわされても俺が落ち着かない。一体誰に連絡するんだか見ものだ。|交際相手か?自分のことを追ってくれる彼氏か?それとも、浮気相手?
浮気女は携帯電話を取り出して誰かに連絡しはじめた。誰だ?エレベーターの外では耳を|劈くような雷鳴が、|今では曇って聞こえる。薄い板から聞こえる電子音のほうが|鮮明だった。
「あ……|菖ちゃん。今、学校?」
ここにきて、アヤメという新キャラクターが登場する。女か?男か。女だからといって、健全な付き合いとは限らない。女同士の恋愛も、無くはない。突き詰めても結婚などは法が認めないし、何かあっても孕んだりしないという点で浮気や不倫とは言いづらいのかも知れないが。女体が2つ絡み合う様は、俺だって嫌いじゃない。多少の物寂しさがあるのは刷り込みだな、きっと。
「そう。じゃあお風呂入っちゃいなさい。ちゃんと拭いてね。お姉ちゃん、ちょっと帰り遅くなるかもしれないから。帰れそうになったらまた連絡する。お腹空いたらカップ麺、あるよね?」
俺は浮気女を見ていた。弟か妹に電話しているらしいが、本当に弟妹か?年下の浮気相手じゃないだろうな……俺は芸能記者か。
浮気女が通話を切った。
「ごめんなさい、うるさくしちゃって……天子ヶ沢くんは……?誰かに、連絡とか……」
警戒されている。それは警戒するだろうな。男と女が2人きり。別に俺は何もしないさ。手垢のついた女に何の用がある。女とは関わり合いたくない。それも浮気しているような女なんかと。
「俺、アンタのこと知らないんだけど」
「え……?」
「なんで俺のこと知ってんの」
「|騎士小路くんているでしょう。幼馴染なの。たまに話に出てくるから……」
騎士小路は俺の友人だ。騎士小路としか喋らない。あいつは話しやすい。騎士小路は俺に浮気女の話なんてしなかったぞ。
「それによく、女の子たちが噂してるから……変な噂じゃ、なくて」
浮気女は|気拙そうに笑う。
「ふーん」
女って噂が好きなんだな。仕方ないか。それが古来からの生存戦略ともいえるわけで。
「どんな噂」
変な噂じゃないとは言っても、噂されているなんて本人に言うか?浮気するだけある。人格に問題があるな。性格の悪い。けれども、俺の存在感が薄いだけなのか、避けられて嫌われて疎外されているのか分かる機会でもある。
「え……?かっこいいとか、ミステリアスとかクールとか、そんな感じの」
「口説いてる?」
「えっ、そんなつもりじゃ……」
浮気女の顔が驚いたのが、俺の携帯電話の薄明かりでぼんやり浮き上がる。
「ひとつだけ、アンタのこと知ってるわ。浮気してるってこと」
俺は携帯電話の明かり切った。そのほうが面白そうだから。
「浮気……?」
「さっきの話、全部聞いてたから。アンタと君主河原の関係って何?帝城寺は、勝手に片想いしてるだけか。皇坂は誰と付き合ってるんだ?浮気は言い過ぎだな。二股か」
俺の勘違いなら笑い飛ばしてやる。細部は知らん。過去のことならそれでいい。騎士小路の幼馴染だなんて言っているが、これが幼馴染ならあいつも可哀想だ。
「二股……」
「違うのか」
言い訳を早く聞かせてくれ。電力が復旧するまでどうせ暇なんだ。否定してくれてもいい。俺の誤解で勘違いだと。恋多きろくでもない女だという印象は変わらない。
「ううん……そうかも。きっと、そうだね。浮気だ……」
人間は、というとスケールが大きすぎる。俺もまたろくでもない。今、圧倒的優位にいる。それは性差や体格然り、だがこの場で強く実感するのは物理的な話ではない。立ち位置の話だ。正義感に燃えているわけではない。俺には交際相手も片想い相手も妙な関係の相手もいない。|柵がない。だから後ろめたさがない。つまり他人事で、強者になれてしまえる。要するに優越感だ。一見正しいことを言って相手を刺し、正義を気取れる。それは多分、気持ちの良いことなんだろう。相手が女、それも好みの見た目、好みの声、俺を知っているのなら尚更。
「後学のために教えてくれ。どうして浮気するんだ?」
携帯電話で明かりを点けていたのも相俟って、まだ目は慣れずに視界は真っ暗だった。それでも空気が、乾燥していくのに似た異様なものに変わる。
「……分からない」
「分からないのに浮気するのか、アンタは」
無責任でなきゃ浮気なんてできない。皇坂を選んだんじゃないのか。モテる男に囲われていたかった、お姫様になっていたかった……って、認めろよ。もう清楚な女としては見られないんだ。いつまで|清い人を気取るつもりだ?
「好きな人に……ちゃんと、告白しなかったから……」
「好きな人がまた別にいるのか」
呆れた。同時にこの女のうわつき具合に興奮した。メスだ、この女は。
頷いたのかもしれないが、暗くて見えない。
「わたしも、よく分からなくて。好きな人は、いるけれど……気が付いたら、……浮気、し……てた」
「言い訳にしてはチャチだな。気が付いていたら浮気していたなら、俺とも浮気してくれよ」
見た目がタイプ。声もタイプ。性格はクズだが、別に付き合うわけじゃない。義憤に駆られたわけじゃないが、あまりのろくでなしぶりを突つくのに興奮した。性欲旺盛のメスと密室で2人きりなんだ。この非日常に余計に興奮する。
強姦魔か、俺は。見た目がタイプくらいじゃこんな気は起こらなかった。別に怒っているわけじゃない。怒る理由がそもそもない。浮気や二股なんてどうでもいい。俺にとってはエンターテイメントでしかなかった。ただ、この女を軽んじて蔑む理由にはなる。言い分に一本、軸がないのも。
「な、何言ってるの?」
愛想笑いしているのが、暗いなりに分かる。雷が遠くで鳴って、復旧もそろそろか。
「かっこよくてミステリアスでクール……ね。アンタはどう思った?周りの評価の高い男が好きなんだろ?」
帝城寺に追い回されるのも、満更じゃないんじゃないか。あの情けなさが意外と可愛がられる騎士小路と幼馴染って、知り合って数年のことを言っていたりしてな。皇坂も眼鏡でサドみたいな身形だし、君主河原なんて風来坊っぽくて女が放っておかないのも分からなくはない。王旗院が関わっていないのが少々意外だが、あれはサイコパスだから、女の勘で避けているのかもしれない。
「え……?」
「違うのか」
浮気女の言葉に棘が混ざったのが、視覚情報が頼りにならない分、鮮明に感じられた。
浮気女は立ち上がって、いい匂いがした。見た目も声も、匂いまで俺の好みか。俺は携帯電話の明かりを点けた。胸ポケットに入れておく。躙り寄ると、浮気女の恐怖に慄く顔が見えた。
「どうしてカレシに電話しなかった?」
「こっちに来ないで……こんな状況で、卑怯よ!」
「アンタが二股のアバズレじゃなきゃ、こんなことしなかったさ。それにタイプなんだよ。見た目はな」
質問は躱された。鬼ごっこするには狭いエレベーターだ。浮気女は簡単に壁際に追い詰められる。
「こっちに、来ないで……」
「性格はクズみたいだが」
壁に手をついて、耳元で囁けば、浮気女は震えていた。
「どうした。凍えているが、寒いのか?」
「あ……ああ………こ、怖い……」
「|初なフリするなよ。俺も今日からアンタの浮気相手なんだ。よろしくな」
「い、嫌……」
硬直しているのを差し引いても、抱き締めてみると華奢だった。帝城寺と付き合ったら壊れるだろうな。確かに皇坂がちょうどいい。
「抱き心地いいな、アンタ」
腕に馴染む。緊張して張った肩が少しゴツくはあるが。
「放して……」
「カレシに助け求めろよ」
思っていたより女は柔らかい。痩せることにこだわって、脂肪を削ぎ落としてばかりいると思った。それに小さい。
「カレシに連絡、しろ。しないならこのままだ」
「カ、レシって……」
好みの顔が、俺を認識して、俺を恐れている。浮気女。本気になることはないんだろう。いくらタイプでも、性格が最悪な女じゃな。
「皇坂が可哀想だ」
「れ、連絡……しない………」
俺の腕の中で、浮気女の力が抜ける。ビッチの浮気性の尻の軽い女でも顔が好みという事実には抗い難い。そんな女を捕まえてしまった。もう戻れない。花みたいな匂いが俺の理性を揺らす。
「アンタ、名前は?」
「言わない……」
「ふーん。じゃあ呼ばない。百合」
帝城寺が個人情報をバラ撒いていた。この浮気女の名前はナントカ百合。
「ひっ………な、んで………」
「百合。キスさせろ。浮気女の手練手管で、童貞の俺を指導してくれ」
嫌がる女の唇を奪うのなんて簡単だった。皇坂の綺麗好きも嘘だったってわけだ。それともキスしないのか?付き合っているのに?浮気されるの当然かもな。
「ん、ゃ……っ」
ああ、皇坂が綺麗認定したのかも分からんなって思ったのは、浮気女の唇の柔らかさに気付いてからだった。浮気女の口は甘過ぎて背筋に寒気がした。頭がふわふわする。
「ん………、ぅ、ふぅう………」
俺を押し退けようとするのがいい。放してやらない。窒息しろ。
舌を押し込んで、ざらついた表面を撫でてやった。巻き付いて、浮気女の邪魔をする。俺を嫌がって、震えている。柔らかい。甘い。細い。軽い。好みの女とキスをしている。そしてその女は尻軽。興奮した。期待している。
「ぁ……んっ………ふ、」
叩かれる。口を離した途端に息切れしていた。浮気女の割にはキスが下手だ。こういうものなのか?俺が強引すぎただけか……口の中は甘くて蕩けそうだったが、テクニックとしては無いように思える。キスが気持ちいいなんてのはエロ漫画マジックというわけなのだな?
「息しろ」
カレシ持ちで浮気して本命もいるような女が、どうして童貞の、ファーストキスを今済ませたばかりの俺にこんなこと言われているんだ?
「もう……放して。触らないで………」
浮気女は口元を拭って、俺から離れようとはするが、すぐ後ろは壁。
「触らせろよ」
ヘンタイみたいなことを言った自覚はある。実際、ヘンタイかもしれない。その自覚もある。
「百合」
「馴れ馴れしく呼ぶの、や……!」
帝城寺にするみたいな、気の強い態度で結構。
俺は掌に収まる胸を揉んだ。小さく思えたが肉感がある。明らかに巨乳と分かるインパクトはないが、この浮気女の雰囲気によく合った控えめな大きさで、かといって無いわけでもない。俺は大き過ぎるのも好きじゃない。胸の感度が低そうで。
「胸、嫌……手、放して……」
俺の手を剥がそうとするが、浮気女の力は弱い。返り討ちに遭うのを恐れているのなら、別に俺は殴ったりなんかはしないが。そんなことをしなくても、力量の差は分かっているのだし。華奢な女のバカ力なんてのはフィクションだ。でもこれが本当に力が弱いだけなら、俺の中で沸々と育っていくものがあるな。浮気女め……
「カレシに連絡しろよ。助け、求めろ」
シャツを開けて、ブラジャーとの間に下着がある。いい。浮気女のくせに。ブラジャー透かして、もっと男を誘えばいい。この浮気女のちぐはぐな感じに俺はハマってしまった。
「ブラウス……やだ……」
「暴れると引き千切るぞ」
脅せば浮気女は大人しくなった。シャツの裾をスカートから引き摺り出して、全部開けた。ボタン外すのが楽しいだなんて思う日が来るとはな。
下着も捲ると、少し暗い水色のブラジャーが見えた。白いレースや黄色のリボンがついていて水着に似ている。香水でもなく、砂糖の類いとも違う甘い匂いが鼻から眩暈を起こす感じだった。くらくらする。
ブラジャーの寄せる胸の丸みとか、腰回りで締まる曲線とか、なのに臍周りの肉感とか、俺の頭の中の血が沸騰しそうになる。好みの顔、好みの声、理想的なカラダ。性格がドのつくクズの牝狗でよかった。
「いいのか、カレシに電話しなくて?」
浮気がバレたら困るもんな。
俺は浮気女のブラジャーで底上げされて盛り上がる胸を吸った。キスマークがつく。
「ああ……!」
「カレシとの裸の付き合いは暫くお預けだな」
俺から顔を逸らして震えている。可哀想とは思わない。浮気している人間だから、という侮りかもな。
ブラジャーを外すために背中へ腕を回したとき、浮気女が俺の胸元に埋まった。この女とは身体が馴染む。肥っているわけではないのに、ぬいぐるみみたいだ。長年使って|草臥れたことで、やっとフィットしはじめた抱き枕みたいだ。ブラジャーを外すのが惜しくなる。でも外した。ただ、浮気女のことは放せない。
「ブラジャー、取らないで……」
パッドが浮いた。胸が広がる。パッドの下へと手を入れると、まだ触ってはいないのに、掌に何が当たった。
「ぅう……んっ………」
乳首だ。硬くなっている。浮気女は後ろに退がろうとして、結局壁に阻まれている。
「乳首硬くしてるんだ。なんで?寒い?脱がせたから?」
掴めるくらいには胸がある。急に擦り寄ってきて胸見せてきた女よりはあるように思う。あれは嵩増ししてるとは別の女から聞いた。そうなると、この浮気女も意外と胸はあるのかもしれない。
「あ………っ………」
「温めてやろうか?」
凝り固まっている乳首を捏ねながら乳を揉んだ。指が余る。AVでは指足らなそうだったのにな。俺はグレープフルーツくらいの乳がいいが。俺の好みの溌剌とした清楚系の顔に巨乳は似合わない。かといって貧乳も成熟した感じがなくてそういう対象に見られない。ロリコンではない……妹もいるしな。
「ぁん………ぁ……」
浮気女は項垂れて、俺の手が濡れたと思うと、口閉じるのも忘れて涎を垂らしていた。
「ここ捏ね回されるの、気持ちいいんだ」
「ぁ……っう……」
触り方を変えてみる。もっといい捏ね方があるような気がする。柔らかな乳は手慰みになった。硬くしている乳首を中に戻してみる。押し返そうとしてくるのが小憎らしい。
「痛い……から………、もう………あっんっ」
「痛い?じゃあ舐めてやる」
確かに俺の手は乾いている。俺は身を屈めて浮気女の乳吸った。甘い匂いが鼻奥で膨らむ。
「あ……!はぁ……んっ」
浮気女の声がなかなか色っぽくなった。さすが、男を誑かすのに長けている。背伸びをしたり、捻ったり震えている。
口で乳輪を押さえて舌先で乳首を焦らすのが意外と難しい。中学時代の部活動対抗リレー障害物競走で粉の中から飴玉を探すのに似ている。乳を吸って、口元に留めておけばいいのか。
吸った。ぶぶぶ、と下品な音がする。
「あんっ……」
乳首が逃げる。舌裏で追った。俺は口内炎を気にするタイプ。その要領だった。
「んぁ………ぁあ、あ……」
浮気女が身動きをとるから、乳首が逃げていく。
「だめ………もぉ………放し、て………」
片方の乳首も指で触っていたから交代した。唾液で濡れて滑る。指で弾くスピードが速くなった。
「や、あ………っ、おっぱい、おかしくなっちゃ………あああんっあっ……!」
浮気女が貧乏揺りみたいに振動した。壁伝いに落ちそうなのを支える。俺の腕に寄りかかって、無防備な姿を晒した。暗闇の中で乳首の周りが俺の携帯電話の光で照っている。甘い匂いが濃くなる。
視界が点滅したかと思うと、エレベーターに明かりが点いた。出入口脇のモニターも元に戻る。
イかせないと出られないエレベーターか?俺は片手で浮気女を抱いて、パネルを操作しようとしたが、最寄り階で止まった。人の気配があるけれども、浮気女はブラジャーは外れているし、シャツは全開で、下着も捲れている。俺は浮気女を前向きに抱き締めてそのまま降りるという間抜けなことになった。俺の所為だが。上着を羽織らせた。
「百合ちゃん」
面倒臭いことになった。ビニ傘と折り畳み傘持って突っ立ってるのは君主河原。俺を見て、浮気女を見る。
「何か……あったん?」
「何も」
浮気女は俺の上着を引っ掛けてトイレのほうに行った。ちょっと冷たくされて、君主河原が俺を睨む。
「百合ちゃんに何したの」
「あの女も言ってただろ。"何も"」
「百合ちゃんに手、出したら赦さない」
俺は首を傾げてやった。君主河原は一丁前に怒っている。ああ、こいつ、あの浮気女に惚れているな。この風来坊の、なんでも構わんて男が、いちいち俺に噛みつくなんて。
「赦さない?どういう関係なんだ」
いつもは飄々としている顔が、ばつが悪そうに歪んでいてよかった。
「浮気相手に立候補したんでよろしくな。あの女王様に、今日から俺も|傅くよ」
「浮気って……」
「本人も認めた。見た目はタイプだが、俺はまだ惚れちゃいないんでね。いつまでも剽軽者を気取っているからこんなことになる。間男になるのが関の山だったな」
俺は窓から外を見た。遠くの空が光っている。
マシュマロバーストホワイトデー
|帝城寺くんってのがいるんだけど、オレ様ってカンジなのにドMなんだと思う。見た目はドSっぽいのに。だって、|三民さんってかわいいコがいるんだケド、あの子にはいつもけちょんけちょんになってるもん。
ボクは三民さんからバレンタインの日にチョコもらってて、義理チョコなんだケド、だからホワイトデーだしお返ししなきゃいけなかった。他の子だったらお返しの量とんでもなくなっちゃうし、要らないって言ってるのにやっぱもらっちゃって、返されなくても知らないよーだって思っても、返さないのもなんだかプライドが許せなかったから、ちょっといいチョコの個包装されてるやつ配ることにしたんだケド、三民さんのはボクがお腹減ったアピールしたらくれたから、ちょっといいやつになっちゃうよね。ちょっと躊躇ってた風だったから、余りじゃなかったんだろうし。
ボクはマシュマロみたいって言われるから、マシュマロにした。かわいいやつ。テディベアの形してるんだっ。三民さんどこかな~って探してたんだけど、帝城寺くんに会うのはちょっと怖いな。
きょろきょろして探した。帝城寺くんから逃げてるだろうから|人気のないところかも。くっついてくる女の子たち断って、あんまり人来ないところ探してた。ボクが逃げるとしたら、日当たりは悪く無いんだけど使われてなさすぎて人いない東側の上階だと思う。
るんるんして三民さん探してたら、|君主河原くんとぶつかった。顔かっこいいし、爽やかなんだけど、なんでかモテない。優しいから、いい人止まりなんだって。なんでだろ?女の子って複雑だ。
「三民さん探してるんだけど、見なかった?」
ひょっ、っと一瞬だけ、君主河原くんの目があっちに行っちゃった気がした。気のせいかな。気のせいだね。女の子は見つめ合うのが好きみたいだけど、男同士で目を合わせるってなんか宣戦布告みたいなもんだし。ああ、だから女の子たち、BLだぁって騒ぐんだ。女の子たちの中では当たり前の好意というか好感って、つくづく男の中では威嚇とかの意味合いだったりするし。その逆も然り。
「見なかった、よ?」
「そっか。三民さんからチョコもらったじゃん。返そうと思って。マシュマロ!」
君主河原くん、今ちょっと嘘吐いたでしょ、って思った。特に意味ないけど絡んでみる。
「マシュマロ……?」
ちょっと信じらんない、みたいなカオされたんだけど、なんで?チョコにはチョコで返したほうがよかったのかな。
「うん。でも三民さん見てないか~。帝城寺くんから逃げてるのかな。ありがとう、君主河原くん」
ボクは君主河原くんと別れて三民さんを探した。
三民さんは、やっぱり東棟の最上階にいた。途中で|皇坂くんに会った。皇坂くんも三民さんからチョコもらったらしくて、ホワイトデーのお返ししたらしい。カブってたらヤだなって思ったんだけど、マカロンにしたんだって。お洒落さんだなぁ。
三民さんは見つかったんだけど、1人じゃなかった。ボク、咄嗟に隠れちゃった。三民さんの声で、三民さんいる!って気付いたのに、三民さんが声出してるってことは誰かと一緒ってコトだよね。
『ンでだよ。受け取れ、おら。嫌がんな』
帝城寺くんといるし、
『だから普通に渡しなさいって……』
『それじゃ意味ねぇ。口開けろ』
ボクは優しくないし、帝城寺くんに文句を言われるのも嫌だから、おとなしく見てることにした。
『落とすと服、汚れちまうぞ。早くしろ。無理矢理されてぇの?』
『乱暴は、よして……』
なんか、ちょっといつもは威勢よく帝城寺くんを拒否する三民さんが、ドン引きしてるみたいな……ううん、なんかこう、そんな他人事じゃなさそうというか、何かしら経験済みみたいな低い声出した。もしかして、口では嫌がってても、そういう仲だったりする?
『そらおまえ次第だよ、ゆり』
何してるのか分からなかったけど、三民さんは何も言わなくなっちゃった。
『おまえの口が簡単に開かないほど、魅力のなかったオレ様が悪ぃ。だから責任持って開かしてやるよ。ゆり。後悔すんなよ』
三民さんは赤ちゃんの喃語みたいなことはぼそぼそ言ってたみたいだけど、ボクには聞き取れなかった。
そのうちに喘ぎ声みたいなの聞こえて、人来たらどうする気なのかなって思ったけど、帝城寺くんは多分、人に見られたら堂々と三民さんを自分のモノ発言するんだろうね。相手が男でも女でも。
『上のお口で受け取らねぇなら、下のお口で受け取ってもらうってこともできるんだぜ。どうする?下のお口ならオレ様のこと嫌がらねぇで、受け取ってくれそうなんだが?』
『絶対………いや………!』
『人肌で溶けるぜ。ゆりのナカなら、きっとすぐ』
人肌で溶けるってことは三民さん、チョコレート突っ込まれるのかな。それは確かに困るよね。すぐ溶けるしパンツ汚しちゃうし甘ったるい匂いしちゃうしで。
『どうしても嫌なら、オレ様の、舐めさせてやる。オレ様のホワイトチョコレート、受け取らせてやるよ』
まさか帝城寺くんが下ネタで攻めるとは思わなかったんだけど、"あれ"っていうほどホワイトチョコレートかな。白いもんね。甘酒とか塩麹っぽくない?ホワイトチョコか……考えたことなかったな。でもボクのマシュマロと白いところカブってて嫌だった。それにホワイトデーだからホワイトチョコって安易なのも気に入らない。それに帝城寺くんはチョコのほう渡したほうがいいよ。チョコレートのほうが帝城寺くんらしいし。
『キスは嫌………どうしても嫌…………本当に嫌………』
『じゃあ舐めろ。そんなオレ様を拒否してぇなら、舐めろ。キスはしてやらねぇから。キスが一番嫌なんだろ?』
『………分かったから…………乱暴はやめて』
で、多分三民さんは帝城寺くんの舐めることになったんだと思うな。ボクとしては上のお口でも下のお口でもどっちでもいいけど、チョコのほう受け取って欲しかった。ホワイトデーだから|精子を返すとかベタ過ぎるし帝城寺くんらしくないし、ホワイトって感じがボクのマシュマロとカブって嫌だったし、ボクの美学が赦さない。
だからボクは突撃することにした。
案の定、三民さんはおっぱい丸出しでブラウスも開きっぱなしで帝城寺くんのおペニスを舐めていた。大っきいなって思ったし、牡として負けたよねって思った。体格から分かりきったコトだけど。モテるのも分かるな。別に女の子はおちんちんの大きさで男好きになるワケじゃないだろうけど。
「つまらないダジャレやめてください」
ボクの登場は意外みたいだった。三民さんは虚ろな目をして帝城寺くんの勃起ちんちんを口に入れて頭を前後させていたけど、びっくりしちゃって噛んじゃったみたい。帝城寺くんは悶絶。
「|王旗院……てめぇ。使い物にならなくなったらどうする気だ」
帝城寺くんはバッキバキおちんちん噛まれてもやっぱりかっこよかった。
「ほぇ、これからのセックスってコトですか?口と手でイかせればよくないですか?」
三民さんは驚いててブラウスでおっぱい隠しちゃったけど、なんか虫刺されみたいなピンク色のぽっちがいっぱいあってちょっと気持ち悪かった。|集合体恐怖症だし、ボク。
「そんな|技巧にお前にあるかよ」
「あるんじゃないですか?分かんないですけど。まぁいいや。三民さんに用があるんですよ。帝城寺くんにじゃなくて」
「ダメだ。ゆりはオレのだ。どういう分際でてめぇにゆり貸さなきゃならねぇンだ?」
三民さんの反応からいって、帝城寺くんとは付き合ってないと思ったんだけどなぁ。あれは照れ隠しで付き合ってたのかな。だとしたらボクと2人きりにさせないのも道理。
「ホワイトデーのお返しですよ。三民さんからチョコいただいたので、三民さんのだけは半ばボクがおねだりした形だったので……」
「要らねぇ。断れ、ゆり。オレ様のだけもらっておけばいいんだよ。気ぃ遣わなくていいぜ、王旗院。所詮義理だ」
三民さんはちょっと怯えてて普通に話せる感じじゃなかった。
「いやいや、貰いっぱなしというわけにはいきませんし、帝城寺くんは噛まれたところ診てもらったほうがいいんじゃないですか?どこで出しても恥ずかしくない立派なブツでしたし、診てもらったほうがいいです。技巧に自信がないのなら尚更」
街中で出してももしかしたら、公然猥褻にならないんじゃないかなって思った。
「要らねぇ」
「三民さんの意見を聞いてみないことには。マシュマロですよ、マシュマロ!食べたくないですか?」
「マシュマロ?正気か?」
帝城寺くんは呆れていて、ホワイトデーにホワイトソースとか"オレ様特濃ミルク"とかよりは断然マシだと思うんだけどな。
「ゆり、そんなデリカシーのねぇヤツやめとけ。っつーか、それもそれでオレ様が心配になる」
なんで?って思った。
「これも没収な」
帝城寺くんの手には試験型の瓶が握られてて、中には多分カラフルな飴玉が並んでいた。リボンも付いてて可愛かった。そうしたらおとなしくぺったり座ってた三民さんの態度が変わって、自分の服とか叩いてから、急に帝城寺くんに飛びかかったから驚き。
「返して!返してよ!それ、返して!お願い!」
「おまえはオレからだけ貰えばいいんだ。飴玉なんてオレ様が何個でも買ってやるよ」
ボクはちょっとだけ三民さんが可哀想になっちゃった。三民さんは本気で取り返そうとしてて泣きそうになってるのに、体格の差とか利用して帝城寺くんは上手く躱してる。
「返してあげましょうよ、帝城寺くん。ボクも三民さんにお返し受け取ってほしいので、困っちゃいます。それもホワイトデーのお返しなんでしょう?」
「お前のはマシュマロだから、まぁ、別にいいけどな。飴玉はダメだ。飴玉は……浮気しやがって……オレ様のところに空きはあるからいつでも戻ってこいよ、ゆり」
でも三民さんは顔歪めて、帝城寺くんを突き飛ばした。もう返して貰えないって気付いちゃったのかな。それでまだちゃんと服着れてないのに逃げちゃった。ボクのマシュマロまだ受け取ってもらってないのに。
帝城寺くんが三民さんの物理的な力で揺らぐはずはなくて、でもぽけっとしてた。
「せっかく三民さんのコト見つけたのに困ります!ボクはちょっとお返し渡しに行くだけですから、その間に反省したほうがいいですよ。それも捨てたりしないで、ちゃんと話し合って返すコトですね。これじゃモラハラの横柄男ですよ。もっと優しくしてあげなきゃ、三民さんはワガママを受け入れてくれるママになっちゃいます。ママと息子くんの関係では、望むとおりに行かないと思いますけどね。んじゃ!」
ボクはぴょんぴょん跳ねて走る準備をしていたから、言いたいことだけちょっとぐらついてる帝城寺くんに言ってしまうと三民さんを追った。
追いついた先で三民さんは泣いていた。非常階段代わりみたいになってる東棟階段のところに座っていた。マシュマロ、受け取ってくれるかな。
「帝城寺くんに捨てないでって言っておきました」
涙で濡れた顔がボクを見て、すぐに拭こうとしてたのが健気だった。三民さんってかわいいよね。
「ごめんなさい。変なところ、見せちゃって……」
変なところってどっちのこと?
「キャンディが欲しかったわけじゃないんです。貰いものだから……」
三民さんてボクと喋るとき敬語になるよね。別に大したことじゃないんだけど。
「貰いものを大切にしてくれるなんて、贈った側からしたら気分の良いことですよ」
変なコト言ったのかな。三民さんは急に下を向いちゃった。なんか地雷踏んだくさい?
「ボクも、これ。三民さんの手作りチョコ、頂いちゃったじゃないですか。だから。誰か渡す人いたんですよね。大丈夫でした?」
帝城寺くんとのコトとかもよく分かんないんだよな。三民さんって結構手広くやってるの?割とそういう女の人って多い気がするから何とも言えないけど。清楚で真面目そうって見た目で判断しちゃダメだよね。決め手に欠ける|男性陣が悪い。
「大丈夫でしたよ。気にしないでください。でも、頂いても、またさっきみたいに取り上げられちゃいますから。気持ちだけ……ちょっと、頂いたのにまた取り上げられるの、しんどくて。わたしが他の人に義理でもチョコレート渡しちゃったから、こんなことになってるんですけど……」
うーん。一理ある……?ない?分かんない。お返し貰うの想定してたかどうかってところはあるけど、ホワイトデーってやっぱ地味なイベントだし、バレンタインデー翌日とか翌週にお返ししちゃったほうが良かったりしない?結局は広告会社の販促イベントに過ぎないわけだけれども。だからホワイトデーありきで渡したってボクには考えづらかった。
「ごめんなさい、わたしの都合で」
「でも、どうして本命の人以外にもチョコを?」
「帝城寺くんがどうしてもって言ったんです。でも帝城寺くんにだけ渡すの、嫌だったんです。だから、帝城寺くんの周りの人たちにも……って」
「ボクにくれたの、あれ、本命行きでしたよね」
三民さんはつらそうな顔しちゃう。
「迷いが……ありましたし……でも後から買ったチョコを渡したので、大丈夫ですよ。気にしないでください」
「事情は分かったんですけど、貰ってください。ボクが納得しないんです。もしかしてマシュマロ、嫌いでした?君主河原くんも、帝城寺くんも、マシュマロ渡すのは変!って感じだったので……」
三民さんの潤んだ目がきょときょとした。もしかして本当に嫌いだったのかもしれない。マシュマロ、そんな嫌いになる要素ないと思うけど、あの柔らかさが怖いってあるもんね。
「あの、わたしも、あんまり詳しくはなくて、王旗院くんにそのつもりはないってことも分かってるんですけど、マシュマロは、ホワイトデーで、拒否の意味合いになるって………前に、噂で……」
「えっ!」
ボクの声が反響した。
「実際はそんなふうに思ってませんし……お返し考えてくれたの、嬉しいですよ。でも、頂けません。他の人のも取り上げられちゃったので、悪くて……」
「別に悪くないです。三民さんの手に渡って、ボクの手元から離れればいいので。受け取ってください」
三民さんはボクにマシュマロの袋渡しても、突き返したりはしなかった。キスマークだらけの胸元が見えてちょっとムラっときた。そうしたら口紅取れちゃってる唇にもムラムラしてきちゃった。帝城寺くんのバキバキちんちんしゃぶってたんだよね……って。好きな人ほかにいるのに。
「でも、ちゃんと三民さんに届けたいな」
ボクはマシュマロの袋を開けた。
「でもわたし今……」
「大丈夫ですよ。下のお口で食べてもらうことにしました」
三民さんの空気が凍った。なんで?ああ。
「さっき、帝城寺くんがちんちん使えなくなったらどうするかって訊いてきたじゃないですか。でもボク、小さい頃の事故でタコさんウィンナーみたいになっちゃって、帝城寺くんみたいにバキバキおちんちんにならないので、さっきの答えは|強ち間違いじゃないんですよ。さ、三民さん。ボクのマシュマロを受け取ってくださいね」
三民さんの雰囲気がちょっと変わった。
「大丈夫ですよ。そんな有様ですから、人前でおちんちん出すのはコンプレックスなので、レイプしたりしません。ただ三民さんにマシュマロ届けるだけです」
三民さんは青褪めていて、ボクと目が合った途端に逃げようとしたけど、立つのと階段の登るの一緒にしようとして足が縺れたみたいで転んじゃってた。
「三民さん、処女じゃないですよね。ボクは童貞ですけど、色事はしたことあるので安心してください」
ボクは転んで階段に縦に寝ちゃってる三民さんに覆い被さった。
「王旗院くん……」
「下のお口でマシュマロ食べてくれたら満足です……女の子の日ですか?」
ボクは三民さんのスカート捲った。
「い………や!」
ストッキングの上に見せパンみたいなの履いてて、清楚だなって思った。ボクの見てきた子たち、パンツ透けてたもん。ボクは三民さんをパンツにした。淡いオレンジ色のパンツで、ボク、下の名前が「あんず」だからボクっぽくて嬉しい。でもパンツに用は無い。三民さんがカノジョだったら、下着見るし、暫く下着姿にしてイチャイチャしたいけど、カノジョじゃないもん。おちんちん裂けてるし、ボクにカノジョできる日なんて来ないんだけどね。嫌でしょ、|紅卜半椿みたいなおちんちんのカレシ。
ボクは嫌がる三民さんのパンツを脱がせた。アンダーヘアが生えてて、その下にそれこそ|杏みたいな女の子のおまた。ボクはおちんちん見せられないからいつもクンニリングスして相手を満足させてた。
「ホワイトデーなのに、またいただきますしてごめんね、三民さん」
三民さんはボクがおまんこ舐めるの嫌がった。でも他の子より臭くなかったし形も色も綺麗だったし、恥ずかしくないと思うな。咲きたてよチューリップよりもピンク色で、鮑よりも窄まって、クリトリスなんて桜の蕾みたいだった。
とりあえずいつもどおり舐めた。脚閉じようとするから押さえちゃった。階段って場所が悪くて、リクライニングシートみたいなものだから、三民さんに脳天見られてる気がする。緊張するな。
「あ……っ、」
全体的に舐め上げて、下唇でも掬い取る。でも女の子が一番感じるのってやっぱりクリトリスちょんちょんしてる時なんだよね。濡らすのが最優先だったからもう完全に鼻先つけてクリトリス吸った。
「あんっ」
舐めてるよ~ってわざと音聞かせた。そのまま舌挿れてみた。
「ああんっ」
三民さんの身体がぴくんって跳ねて、ボクは舌切り雀みたいに舌切られる気分だった。ボクのタンが獲れるところだった。人タン。きゅううって締め付けられて、三民さんのおまんこはとても濡れていたから泡出たと思う。これくらいならいいかな。
ボクはマシュマロを1コずつ手に取って、三民さんの中に詰めていった。
「な、に………?なに、いや……」
「マシュマロですよ。三民さんにお返しです。下のお口で食べてくださいね」
粉っぽかったマシュマロはぬとぬとに濡れて中へと入っていく。
「そ、んな………っ、!ひどいこと、しないで……」
「酷いことなんてしません。痛くないでしょう。痛いですか?」
ボクはクリトリスに|拇の腹を当てた。くりくり左右にスクラッチする。ぷりぷりだ。
「や、っあ、あんっ!」
三民さんのヴァギナがひくひく小さく開閉してみえたから、もっとマシュマロ押し込んだ。
「入れないで、………っや、ぁあんっ」
「挿れないですよ。三民さんに受け取って欲しいだけです。これなら帝城寺くんも取り上げられませんね……と思ったんですけど、どうかな。三民さんのなら是非、ということで取り上げるかもしれないですね」
ボクはマシュマロを詰めていく。最後の1コは詰まらなくて、入れても押し返されから自分で食べた。中にジャム入ってて美味しかった。三民さんに食べて欲しかったのに残念だな。いや、食べてもらったんだけどさ。
それで|杏色のパンツ穿かせた。
「こんなの、ムリ………ムリ、王旗院くん………」
三民さんは内股になって、おまたのところ押さえてた。
「三民さんがお返し受け取ってくれて嬉しかったです。じゃあ、ボクはそんな感じでお|暇します。帝城寺くんに取り上げられてもらうといいと思います」
三民さんはボクを見つめて首を振った。また泣きそう。ボクが悪いん?
「お返し、ありがとう……でも、」
「受け取れないって言われたときは焦っちゃいました。でもここなら帝城寺くんもきっと取り上げないと思いますよ」
「あ……出る………あっ、あ、あ………出ちゃう………出てきちゃう………」
三民さんは一人で焦り始めちゃって、ボクも何がなんだかよく分からなかった。パンツ穿いてるから苦しくて出せないんだ。だからボクは三民さんのスカートにもぐって、もう一度おまたに顔を近付けた。パンツずらして、マシュマロ埋めたところで口開いた。
「だめ、だめ…………だめ、そんなの、だめ………」
三民さんは首振ってた。マシュマロ気に入ってくれたのかな。だとしたら嬉しいけど、出てきちゃいそうならもったいないからボクが食べるしかない。
「ん……っ、だめぇっ、あんんんっ、!」
ボクは何もしてないけど、三民さんの薔薇の花みたいなおまんこから、ぽんっ!て白くて丸いのが出てきた。産卵みたい。ぬらぬら濡れて、少し溶けていた。口で受け止める。
「あ………あ………」
哺乳類なのに産卵しちゃったら、それはショックだろうな。三民さんは蕩けた顔しながら呆然としてた。
「お返しなのに、またボクがもらっちゃってすみません。じゃ!」
「だ、め………だめ、」
三民さんがボクの袖掴んで、キュンンンってなちゃったけど、上から足音聞こえるんだよね。三民さんも気付いたみたいだった。ボクは三民さんの手を引いて、非常階段の手摺り壁の裏に隠した。それはちょうど、バックでするみたいな体勢なっちゃってた。
『おい、ゆり~?いつまでヘソ曲げたんだ?返してやるよ』
帝城寺くんはもう目と鼻の先にいて、別に出て行ってもいいと思うけどな。ボクは三民さんのお腹触った。華奢なんだなって思った。ボクに当たってるお尻が揺れて、髪の音からして首振ってるみたい。帝城寺くんの声がデカいから反響しててぎりぎりバレてない。
「ん………ふ、ぅう………」
三民さんは結局、ボクの腕の中で小刻みに震えた。1コ産んじゃったみたい。食べてあげなきゃ。
ボクはマシュマロの袋を三民さんの産道の下に構えて、パンツをずらした。ぽと、って落ちた感じがあった。ボクはそれを拾って食べた。
帝城寺くんが通り過ぎていったけど、東棟はやっぱり|人気がなくて、帝城寺くんの声が|谺していた。
それからしばらくの間もボク等はその場で隠れていたんだけど、三民さんはボクに背中向けてるのが嫌だったみたいで、対峙したままどっちが先に動くか……ってところだったんだけど、また足音を聞こえて、三民さんがぎょっとしてるのが見えた。
「百合ちゃん、いる?」
なんで分かったんだろ。君主河原くんの声だった。三民さんは泣きそうな顔で口元に人差し指当ててた。ボクは頷いた。でも産気づいてるみたいで内股で、おまたのところ押さえてた。
「百合ちゃん、いない?」
居なかったら返事しないと思うんだけど、君主河原くんは変な人だな。
三民さんは両手を拳にして、顔を揉んでから出ていった。ボクどうしたらいいんだろう。
「ごめんなさい、君主河原くん……」
「帝城寺くんが百合ちゃんのこと、探してたからさ。大丈夫かなって」
「平気……でも、その……」
2人にしか分かんない会話してるな。いいな、そういうの。
「うん。分かってるからいいよ。気にしないで。でも渡せるだけ渡せてよかった。皇坂くんにバ―………どうしたの?具合、悪い?」
三民さん、やっぱ産気づいてるの隠せなかったんだ。だからボクも出ていった。君主河原くんは目を見開いてビックリしてる。でもそれ以上に三民さんのほうが驚いてた。ここにいるの知ってたよね?忘れてた?
「えーっと、」
君主河原くんが言いたいことはすぐに分かった。
「ボクのお返しを三民さんに全部食べさせたら、気持ち悪くなっちゃったみたいで」
三民さんがちょっとボクに飛びつきそうだった。
「そうなんだ。大丈夫?ちょっと座ってたほうがいいんじゃない?」
カレシに悪いかな、とか言って君主河原くんは徐ろに上着脱いで三民さんに羽織らせる。なんか2人の世界だった。もしかして付き合ってる?カレシって帝城寺くんのこと?
「ありがとう……大丈夫だから。本当に」
ボクが食べちゃった本命チョコって、もしかして君主河原くん行きだった?
「でも気持ち悪そうだし、」
君主河原くんが三民さんに触ろうとして、三民さんがそれを避けたのが、やっぱ違うのかなって。分かんないや。
「ボクの渡したマシュマロのせいですから、三民さんにはボクが付き添いますよ」
「……そう。上着はまた今度でいいから」
君主河原くんはやっぱり三民さんの肩叩いて、また階段登っていった。
「三民さん、君主河原くんと仲良いんですね」
三民さんは目を逸らして合わせてくれない。
「全部、出しちゃいましょうか。帝城寺くんに取り上げてほしかったんですけど」
三民さんは嫌がったけど、ボクは三民さんを捕まえて、後ろから抱き締めたまま四つ這いにさせた。おまたの下にマシュマロ入ってた袋立てる。
「恥ずかしい……」
「そうですか?」
ボクは三民さんのお腹摩った。ぽと、ぽと……ってマシュマロが濡れて落ちてくる。でも途中からすんなり産めなくなっていた。
「も……あとは、おうちで………」
「ダメですよ。ちょっと責任を感じてきたので。胸揉ませてください」
三民さんはやっぱり嫌がったけど、ボクは三民さんのブラジャーずらして、胸を揉んだ。乳首はこりこりになってて、四つ這いだから乳搾りみたいで興奮する。胸板とかお腹に当たる三民さんの身体がぴくぴく跳ねるのも興奮しちゃう。
「あ……、んっぁ……っ」
「乳首こりこりですね。マシュマロを赤ちゃんと誤認しちゃったんですかね」
「ん………っ、んん……っあ、」
乳首を刺激していると、またぬらら~っと太めの糸を引いてマシュマロがゆっくり落ちてくる。袋の中にはマシュマロの水飴かけみたいなのが貯まっていた。
「まだ、出そうですか?」
「まだ………あ、んっ、また………あぁ………」
三民さんを四つ這いにするのに揉み合ったとき、落ちた君主河原くんの上着に気付いて、三民さんの背中に乗せた。ボクの使ってるのと違う柔軟剤の匂いがした。
「だめ、だめぇ!あああ!」
三民さんは崩れ落ちるくらい激しく感じちゃって、ガクガクしながら乳首だけでイっちゃった。袋の中に最後の1コが落ちて、マシュマロには新しく水飴みたいに糸が垂れていた。全部ボクが食べるんだけど、全部ボクが食べるんだから、今度は1コずつ三民さんの中に入れて、直に食べることにした。
ヴァーニングエイプリルフール
オレ様は美しい。美しくない奴等にはすまない話だが。オレ様は頭が良い。凡愚どもにはすまなく思うが。完璧なワケだ。後ろめたいことなど何もない。だがオレ様は今、壁に張り付いているワケだ。前に行った、水とかウェットタオルを自分で持ってくる職業体験しているみたいなラーメン屋で見た、水着でビールを飲むヤバい女のポスターみたいだ。
『で?|百合は?』
おう、百合。なんだ?百合……そう、威風堂々と、昔の言葉で月が恥じらって花も閉じるような美人を表す言葉があるけれど、オレ様も威風堂々として風が逆流したり太陽が沈んでいっちまうような人間なわけだが、なんでこんな、壁に張り付いているのかといえば、すべては百合。オレの女のためだ。
『え?わたし……じゃあ、わたしは……ナンパされた………とか?』
オレ様はたまげて、出ていこうとした。百合がナンパされただと?オレ様を差し置いて……
「|帝城寺くん。あのね~」
「ンだよ、|王旗院」
いいところでモブの王旗院のタコが横からオレを引っ張った。
「噂で聞いたんだケドね~、|三民さん、|皇坂くんと付き合ってるらし~ですよ~」
王旗院はサイコパスだ。シュミが悪い。今日はエイプリルフール。どうせくだらねぇ嘘だろう。それよかオレ様の女がナンパされたことのほうが問題だ。
「おい、王旗院」
「ほ~よよ」
おっかないモブはオレ様が胸ぐら掴むとニコニコ笑い始めて、オレ様のほうが怖くなっちまった。
「オレ様の女の名前を軽々しく口にするなよ。課税すんぞ」
「え~。ごめんなさい。分かりました。じゃあね、帝城寺くん」
妙に馴れ馴れしくてニッコニコで、もしかして王旗院は中身が女なんじゃないかと思った。中身が女か……中身が女なら、それ相応に扱わないと男が廃るか?と思うが、いやいや、オレ様がガラス細工の飴細工みたいに扱うのは心に決めた女、百合一人であるべきだろ。
王旗院を放したら、ヤツはすぐに去っていた。あらゆるものを兼ね備えた代償とでもいうべきか。オレ様は間が悪い。
「帝城寺くん……?何してるの……?」
他の奴等はどうしたのか、百合だけ一人でやって来て、運悪くオレを見つけちまった。
「ゆり……来い!」
オレ様は有無を言わせず百合の細腕を掴んで、誰もいない部屋に放り込んだ。
「ちょっと……!困るんだけど」
「ああ、困るな。オレも困ってんだよ、ゆり」
百合は相変わらず痩せっぽちだった。ちゃんと食ってんのか?無理のダイエットでもしてんのか?オレが栄養管理もしてやるからぶくぶく肥ってもいいんだぜ?
「何が?何にに困っているの?」
「好きな女に悪いムシがついたらしくてよ」
そうつまり、おまえにナンパ野郎のゴミカスが話しかけてきたってことだ。赦せねぇだろ。
「そう。それは確かに不安かも知れないけれど、帝城寺くんっていつも周りに女の子いるでしょう?わたしそういうの得意じゃないし、その子たちに訊けば?」
あ?なんで本人がそこにいんのに部外者に訊くんだよ。
「ゆりに訊きてぇんだよ」
「わたしに?やめてよ。誤解されるじゃない」
「誤解?誰にどんな誤解されるんだよ。ああ、そうだ、誤解といえばおまえ、皇坂のイカ野郎とデキてるとか妙な嘘吐かれてたぞ。気を付けろよな」
なんでか百合の顔色が悪くなって、すっげぇ、ばつが悪そうだった。
「あ、あのね、そ……」
「エイプリルフールだからってシュミ悪ぃよな。オレに言ってくるところも。何言われてもオレはおまえ一筋なんだけどな。おまえにちんぽ生えてきても、これからちんぽ生やしたくても、おまえが実は逃亡犯でも……」
それくらい愛されてたら女としては喜ばしいコトじゃねぇの?って思ったけど、百合は余計に嫌なカオするだけだった。そら、モブの雑兵から言われたら嫌だろうけど、オレだぜ?オレ様だぜ?イケメンエリートの。実際モテるしオレ様がナルシストってわけじゃないと思うけどな。女ってのは分かりやすそうで複雑だな。ま、そこがおもしれぇんだけど。特に百合はよく分からん。
「それよりもっと酷かったら?」
「たとえば?」
「放火犯……とか」
「おいおい、エイプリルフールだぜ。もっとリアリティのあること言えよな。うっし、今日吐いてやる嘘決まった。オレ様とおまえが結婚する。いずれは本当になるけどな」
王旗院のタコに分からせてやらねぇとな。皇坂のイカにもきっちり釘刺しておくか。てめぇ等のほうでも否定しておけってな。
「エイプリルフールに吐いた嘘は叶わないらしいけれど……」
「エイプリルフールで満足して、叶える気がねぇのさ。満足するか、|自分のケツ叩きとするかだろ。ンなこたいいんだよ。問題はゆり!ゆり……!おまえ、クズの野良オスに絡まれたんだってな!」
思い出したら腹が立ってきた。オレ様の可憐な百合を穢しやがって!
オレ様は百合に近付いたが逃げようとするから捕まえた。消毒しなきゃいけない。小汚いモブのクズの手垢が繊細な百合の肌にオレ様御用達高級高保湿ローションの如く沁み渡る前にな。百合の|肌理細かい|皮膚に触るんだ。オレ様もそれ相応のケアをしなきゃだろ。オレ様は美食家だからな。美味い素材は最高級の調味料で食うに限る。いつ百合がオレ様の良さに気付いてオレ様の腕に飛び込んできてもいいように、常に最高のコンディションに持っていく必要があるわけだ。
「ちょっと、何……放して」
「ゆり!オレが消毒してやる。赦さねぇよ。ナンパ野郎!」
「それ、ぁ……っ」
オレ様は百合の唇を塞いだ。驚くほど柔らかい。これは消毒だ。でも好き勝手にしたくなっちまう。百合って女は恐ろしいな。オレ様も、たまにはオレを呑んじまうような相手がいいんだからとんだドMだな。
百合の小さい頭を押さえて、小さな口に舌も捩じ込んだ。オレ様の舌ひとつで窮屈だ。ちゃんと飯食えてんのか?百合は細いもんな。なのに肉感はちゃんとあるし、不思議なんだよな。百合は自分より細いやつがいるとかヌかすけどいたか?見てなかった。巨乳なら見ちまうけど。百合より細い女のコトなんぞはオレ様には関係ないしな。
「ん………ゃ、」
百合の薄くて小さな手がオレ様を拒む。それがかわいい。他の奴等にやられたら絶対にオレに言え。〆にいってやる。抵抗してほしいが女がやべぇ男に抵抗なんかしたら殺されちまうからな。怖すぎるな、世の中。オレ様が百合と一生一緒についていったほうがいいんじゃないか?そうだろ?百合。やっぱり結婚か?結婚しかないのでは?結婚ってのはガキ作ってそのガキの面倒のためにやるもんだと思っていたが、合法的に女守るためにあってもいいのかもな。やっぱりオレ様たち、結婚しかねぇわ。
なんて考えながら百合の狭い口の中漁ってたら噛まれた。
「痛ぢぢ……っ」
鉄錆びみたいな味がした。血の味って好きじゃないんだよな。
オレ様から離れた百合の唇からとろとろ血の混ざったのが落ちてきてて、それがもうなんか、百合を好き放題しちゃいたくなった。
「ゆり!好きだ。結婚するぞ、ゆり!」
百合とのキスは甘くて好きだ。嫌がってはいるけど、いずれオレ様のオンナになる。唇を吸って、口の中を掻き回した。逃げる舌を追い回す。
「ん、んん……っ」
愛してるぜ、百合。オレ様の真心を口移しするつもりで押し返そうとする百合を押し戻す。オレ様の恋心は返品不可。
「ん……っふ、」
小さい胸に手を当ててみた。Dカップか?でも百合はスレンダーだからな。周りが巨乳ばっかで分からんが、腰回りとか下半身の割りに胸がある。
オレ様を突っ撥ねる手が今度はオレを叩き出した。でも細くて力も出ない百合の身体はがっしりホールドしたからもう逃さない。意地っ張りな女は嫌いじゃない。身体も舌も絡みついて巻き付けば、すぐにオレ様の腕に凭れかかってきた。まさかキスでイくとかないよな?キスイきさせてみるか?なんて思いってたら、ぎくっとしたみたいに百合の薄っぺらい身体が跳ねた。
「ん………、ふ、んん………!」
百合の細い腕がオレ様を嫌がるが、オレ様はやめてやらなかった。百合はびくびく震えた。イってんのか?まさか。オレ様は百合の穿いてるものに手を突っ込んで、パンツの中を漁った。
「ん、や………ぁ!」
急に暴れ出すが、オレ様は百合の柔らかな毛を触った。百合は陰毛までかわいい。ふわふわだ。舌絡めながら指に百合の毛も絡める。かわいいぜ、百合……
百合はオレ様の注いだ唾を飲まないで、口の周りを濡らすから、今度はオレから吸ってやった。下品な音聞かせてやると本気で嫌がって面白い。百合……かわいい。かわいい。こんなかわいくていいのか?いじめたくなった。
口を放すと、結構太めの唾液の糸が出てきたが呆気なく落ちていく。濡れた目で見上げられちまって、その怯えた感じは降伏しているようだった。オレ様の身体はカッと燃え上がって、もっといじめて、もっと声を上げさせて、オレ様に縋りつかせたくなる。
「も……放して………」
「放さねぇよ、ゆり。消毒してやる。抗菌もしとかねぇとな?」
オレ様は百合の毛の奥に指を突っ込んだ。ぷりぷりのクリトリスがあったから転がした。
「あ……あんっ……」
「かわいいぜ、ゆり……いくらエイプリルフールっつっても、これは|本音だからな。おまえほどいい女はいねぇよ。愛してる」
百合はまだ逃げようとするからオレ様はその身体をテーブルの上に寝かせた。
「放し………て、」
「放さない。ここ固くなってるぜ。解してやる。ぷりぷりで、こんなところもかわいいなんて聞いてないんだけどな」
オレ様はぷりっぷりのこりっこりのクリトリスを捏ねた。左右に揺らして、擂りつける。
「あ、んっ………あっ、」
「ここでイくか?どこかでイきてぇ?叶えてやるよ」
「放して……もう、放し……」
「放さない。ゆり、一言、オレのオンナになるって言え」
クリトリスを弄っていると百合の声は甘ったるくなった。だから手を止めた。イかせないことにした。
「ああ……、あぁ………」
それでいい感じに濡れてきたから指入れた。ぬるぬるでキツくて、早く挿れちまいたいがオレ様のデカいのが無事に入るわけなくて、百合の上半身も裸に剥いた。ブラジャーが白と金でオレ好み。清楚だ。清楚で気が強くて、実際は弱っちぃ。かわいいすぎるな。心配になる。犯したい。酷い目に遭わせたい。でもそれはすべてオレ様の目の届くところで、オレ様の加減じゃなきゃ赦せない。
小さい乳にぷりっと生えた乳首吸って百合のそこをもっとぬるつかせてから、舐めて慣らした。ピンク色で、卑猥なところなのに綺麗に見えた。クリトリスなんか美味しそうで甘噛みしたら軽くイったみたいだ。
ぐっちょぐちょになって糸も引いてきて、|拇除く4本がまぁギリギリ入るかどうかになったのでオレも百合のえっろい姿に煽られてビンビンになってるちんぽをそろそろ挿れる気になった。
「挿れるぞ」
返事は期待していない。オレは濡れて照りつけてるピンク色の薔薇みたいなところにちんぽの先をつけて腰を進めた。
「ぃ……や………、ぁあ、あ、あ、ああ!」
圧迫感と濡れた熱さがオレのちんぽを包む。一気にはムリだった。少しだけ止まって身体を撫でてやる。
百合もすぐにオレ様を好きになるさ。きっとそのとき素直にはなれねぇんだろう。だからオレ様が汲み取ってやる。
「んや……ぁ、抜いて………抜い………」
素直じゃないのがまたかわいい。まだ半分も入ってないから腹とか乳とか撫でながら徐々に収めていく。熱くて柔らかいのにきつく扱かれていて、本音をいえば勢いに任せて突いちまいたい。でも百合が壊れそうで、それはダメだ。自分勝手なセックスはオレ様の沽券に関わる。
「ゆり……かわいいな………ナカも、最高だ……」
入ったところまでで引き抜いていく。カリの辺りまで外気に晒すと、オレのちんぽにはべったり百合の愛液がついていた。ナマでしてるって実感があった。ぐっとちんぽが膨れ上がる。
「ゃ、あんっ」
「今ひくついたな」
百合のナカに押し戻されながら突き入れた。近付くついでにキスもした。舌絡めるたびに百合のナカはきゅうきゅう締まって、オレ様はちょっと無理強いしそうになる。
「オレの匂いつけてやる」
小さくて薄い百合の上半身を押し潰してオレ様は様子をみつつも腰を振った。
「あ………う、うん……っ」
「オレの匂いをおまえの中にたくさん塗り込んでやるからな。ゆり……オレだけのものになれ……!」
腰を打ち付けると百合は起き上がろうとしたが、オレは押さえてピストンした。ちんぽが包まれて、すぐにでもイきそうだった。
「いっ………や、!抜い、て!抜いて………!」
百合は腹筋するみたいに身体を起こしてオレ様の腰が動くのを嫌がった。女はいつでもエイプリルフールってか?口で嫌がっても身体は正直ってやつ。百合だってもうイきそうだ。イかせる。まずはカラダからオレ様を好きになれ。圧倒的強者のオレ様の匂いを纏わせて、モブのカスのナンパ野郎を遠去けないとな。
「んっ、あ、あ……わたし………付き合ってる人……あんんんっ」
閉じられなくなってる口からさらさら涎落ちてくるのがなかなかクる。
「もっとマトモな嘘点け、よ」
「あ!んんっ、あッ」
奥まで串刺しにすると百合は頭打ったら危険そうな角度まで後ろに仰け反って、オレ様は軽すぎな身体支えた。でもちんぽもぎちぎちに扱かれててオレ様もイっちまってたから支えてたっつーかオレがしがみついちまってた。百合のナカにどくどくザーメンが送りつけられていく。百合もオレの射精ちんぽを搾って、めちゃくちゃ気持ちよかった。腰はまだ緩やかに動いて、ついでに気持ちオレ様の匂いを塗り込む。
「う………うぅ、」
「あ~、イっちまった。ゆりも気持ちよかったろ?」
「抜いて……」
「まだそんなこと言ってんのか。ゆり、おまえはもうオレのオンナになるしねンだわ。分かるまでキスしてやるよ」
オレはナカに入ったままぐったりしてる百合にキスした。ぐったりはしてるけどまだオレ様を拒む気らしく、肘を張って突っ撥ねようとする。
「わたし、付き合ってる人がいるの……!」
「お、もうエイプリルフールの時間は終わりだぜ。飯食うか?
「本当なの……好きな人だって………」
「知ってる。オレだろ。オレもゆりが好きだから問題ねぇぜ」
百合はオレの二の腕の辺りを軽く殴った。かわいいことするじゃねぇか。
「だからナンパ野郎がいたらすぐ言えよ。オレが〆てやるから」
「ナンパ師って何……?勝手に話進めないで……」
オレ様のセックスがかなりよかったらしい。良すぎて疲れたみたいだ。やっぱりぐったりしてる。
「さっき話してただろ、ナンパに遭ったって。赦せねぇ。オレのゆりに気安く話しかけやがってよ。便所と風呂以外はオレと居ろ」
抱き締めてキメるところだったが、照れ屋な百合はそれも拒否。いいことだ。それでも愛は伝わってるぜ、百合……
「そんなこと………」
「さっきナンパがどうのって喋ってただろ。女3人寄れば|姦しいってのはあのコトか?」
百合は気怠るげに目元を擦っていた。花粉症か、眠いのか。オレ様の|胸板でも貸してやろうか?
「エイプリルフールの嘘は叶わないの。だから魔除け……別に本当にナンパされたわけじゃなくって……もう疲れた。関わらないで。わたし、あなたと付き合ってない。だから馴れ馴れしいのはよして」
触ろうとしたら、オレ様の手は打ち落とされた。かわいいじゃねぇか、百合……
「ほぉ~?じゃ、ゆりの言ってた付き合う付き合わないも叶わないってこったな。いいぜ、ゆり。だっておまえと付き合うのはオレなんだからな。ほら、来いよ。ナカに出したの掻き出してやる」
でももう恥ずかしがり屋の百合はパンツ穿いてて、オレ様のザーメンでまんこをべったべたにしていた。性欲旺盛のオレ様が1回で済むと思うか?
「おい、ゆり……」
「わたしに関わらないで!」
すぐに服を直していくところとか、別にオレ様にはそんなもの要らなかったし居ないけど、セフレみたいじゃね?百合とは|恋人的に付き合いたいんだが?
「ゆり、オレの話も……」
「わたしに関わらないで」
本当に素直じゃねぇな。オレ様のコト嫌いなら、イくわけない。百合はオレ様が好き。あとは百合がそれに気付くだけだ。
百合が出て行ったのとすれ違いにモブの王旗院のタコがニッコニコしてやって来た。こいつオレ様のコト狙ってんのか?やっぱり中身、女なんじゃないか?サイコパスは怖ぇな。
ヤツは鼻をすんすん鳴らして、あからさまにこの空間の匂いを嗅いでいた。
「なんかイケナイコトの匂いがするな」
「そら、自分の女と密室で2人きりとなれば、することはひとつだろ?」
「あっはっは。確かに。いいなぁ……」
モブの王旗院が狙ってるのはオレ様じゃなくて百合か?まさか。全然そんな感じなかったぞ。
「さっき三民さん、|君主河原くんのほう走っていきましたよ。君主河原くん、ここのでのコト盗み聞きしてたんじゃないですか?実はお二人、デキてたりして」
「てめぇは皇坂とデキてるだの、君主河原とデキてるだの、何が言いてぇんだ?」
「嫌だな、可能性の話ですよ」
「その時間はもう終わったぜ。とっとと失せろ。それから軽々しくオレの女を語るな」
王旗院のタコは本当に不気味なやつだな。ああいうのには関わらないに限る。
部屋を出たオレ様は、けれど窓から庭を歩く百合と君主河原の姿を見ちまった。嫌な予感がする………
ナンパ野郎はあいつだ。
「ゆりに近寄んな、このタコ!ナンパ野郎が!」
窓を開いて怒鳴りつけた。君主河原が振り向いて、隣の百合は驚いた顔をする。2人が別々に散ったのを見てから窓を閉めた。女の嘘は男が守ってやらなきゃならないんだよ。
【完】
ウォータープルーフデイ
雨の日によく会うな、と思った。会うな、は違うか。よく見るな。雨女か?俺が雨男なのか。カビっぽいとは自分でも思う。
俺というのは存在感が薄いはずなのだけれども、何故だろう?こうしてまたラブレターをもらったところを見ると、俺は存在感があるのだろうか?いやいや、あの"浮気女"は俺に気付いていない。青なのだが紫なのだか何ともいえない紫陽花の向こうに傘が見える。カレシではないはずの男と相合傘をしているのは、紛れもなく"浮気女"。こっちに向かってきている。どういう経緯なのかはっきりしないが、"浮気女"は今一緒にいる|君主河原と浮気していて、カレシはまた別にいる。別れたのか?互いに好き合っているように思うが、何故そこで付き合わない?恋愛というのは訳が分からないな。事情があるのなら、それがどういう事情なのかもまた気になるわけだ。所詮は、他人事。いいや、他人事だから楽しいのさ。ノーコスト、ノーリスクで楽しめるエンターテイメントだ。フィクションでは狙い過ぎていて、展開が読めたらつまらない。
2人は存在感の薄い、居るのか居ないのかも分からない、透明人間の俺の前を通りかかった。赤地に白抜きの水玉模様の折り畳み傘は"浮気女"のものか?いや、"間男"もあれで結構物好きだからな。逆にマイペースが行き過ぎて頓着がないともいえる。だから派手な、女子の好きそうな柄の傘なんて使えるんだ。
俺は軒下にいて、今から出ようとしていたところだった。ちょうど差した傘で顔を隠す。"間男"は"浮気女"を送りにきたらしい。
「あ、その……ありがとう」
「傘借りてるの、オレのほうなんだし。いいって、これくらい」
「じゃあ、ね。バイバイ……」
別れ際らしい。甘ったるいことだ。浮気だと大声を出してやりたくなる。|皇坂とは別れたのか?それで君主河原と付き合うことにしたのか?女ってやつはよくやるな。
軒先から向こうへ行く君主河原を見送って、中に入るのかと思えばそこに佇む。一度イカせたことのある女に対して、俺は驚くほど馴れ馴れしかった。普段、女とは事務的な会話しかしないのに。
「カレシと相合傘か?」
"浮気女"は俺に気付いた。気拙そうな表情が、俺とのタイセツナオモイデを無かったことにはできなかったのだと、妙な達成感というか、勝利したような心地になる。
「あなたには関係ない」
「ある」
「ない。お邪魔シマシタ」
外はまだシャワーみたいな雨だ。軒は小さな滝だ。中に逃げればいいものを、わざわざ"浮気女"は外へと逃げていく。女ものの、それも折り畳み傘に2人で入って凌げるはずもない。"浮気女"の肩も少しは濡れている。君主河原の肩も無事ではないんだろうな。
"浮気女"は強気になって、雨の中を行こうとする。少し洒落ている庭は、赤レンガ敷きに、脇には紫陽花が植わっている。間男或いは新しいカレシを追う気はないのか、君主河原とは違う方向に歩いていく。あの気の強さをどうにかしてみたくなる。帝城寺の苦労が分かるな。
俺は"浮気女"を追った。気丈な女の自尊心というやつらしい。"浮気女"は逃げもしないが、俺を振り返りもしない。
シャツが濡れ、肌に張り付いてキャミソールが透けた。ブラジャーのホックも浮いていた。肩に触れる。掌の半分くらいにしか接しない、細い肩に驚いた。女は柔らかく、脂肪が多いというが、それは予想に反した形だった。肩の骨の硬さは、痩せぎすに思えるが、けれども別にこの"浮気女"に栄養失調らしい感じはなかった。確かに華奢ではあるのだが……不健全というほどではない気がする。もう少し肉を付けたとしても肥っているとは思えない。
「触らないで!」
"浮気女"は嵐を吹く猫みたいに振り返った。俺は後退りかける。視界に飛び込んできたのが、濡れて透けたキャミソールのさらに下、ブラジャーが色まで透けている。青か?
やっぱり一度イかせた女という認識は大きい。女のブラジャーなんて目のやり場に困るはずだった。それを俺を遠慮もなく見ていた。
"浮気女"は俺の手を振り払いはしなかったが、肩で振り払うように行こうとした。
「そのかっこうで行くのか?今日のブラジャーは青なんだな」
言ってやれば、
避難するよな眼差しを向けられる。
「来い」
女の腕は柔らかくて細かった。多少肥えていれば肉感があったのかも知れないが、"浮気女"はガリガリの痩せっぽちでもないくせに肉感の奥に骨の硬さを感じる。
「は、放して!」
「それで帰るのか?注目を独り占めかもな。青いブラジャー透かして?」
今更傘に入れたところでもう遅いが、引き寄せておかなければ逃げ出しそうだった。俺も濡れるが大したことはないだろう。
「やめて!」
「水浴びが趣味なのか」
「違う!あなた、わたしに何したか忘れたの?」
「覚えてもらっているとは光栄なことだ。エレベーターで仲良くやって、イかせたな。百合」
俺から逃げようとする態度がいい。見た目がタイプなのは相変わらずだ。見た目がタイプというのは大きい。どういう性格なのか、それを好きだと思うのは錯覚だ。見た目の好みに、性格の好みも比例する。余程に下劣な場合を除いて。いいや、やはり下劣さはあっても、好みの肉体のみを|支配したいと思うこともなくはない。
「やめて。最低。外で……そんな……」
「何をしたか忘れていない。百合、中に入るぞ。何人にそのブラジャーを見せれば満足なんだ?」
勘違いした男が"浮気女"を俺みたいにイかせて、"浮気女"に馴れ馴れしく接していくのだろう。それはおそらくつまらないことだ。帝城寺の王様気取りから逃げてまどって、皇坂に裏切り行為をして、君主河原を間男に貶めるこの女王様を俺も崇めなければ。
"浮気女"は無言のまま怒った。俺を睨むのもやめて、ただ腕を引き離そうとする。けれども俺の力のほうが強い。多少は痛いだろうが我慢させた。
ちょうどよく、俺はロッカールームからの帰りだった。"浮気女"もすぐそこのロッカールームを包括した建物に放り込む。
「いや!」
日当たりの悪い、暗い室内だ。だからロッカールームに充てられたのだろう。あの日のエレベーターを思い出す。いいことだ。
「放してったら!」
「ブラジャーを透かして歩くのが趣味とは恐れ入る」
「仕方がないでしょう!」
|人気のないロッカールームで、俺は"浮気女"を壁際に立たせた。"浮気女"は躊躇いごちに辺りを見回す。助けを呼ぶ相手でも探しているのか?
「脱げ」
「嫌に決まってるでしょう!」
それはそうだ。俺は"浮気女"のシャツのボタンに手を掛ける。
「触らないで!」
冷たい手が俺の腕を掴む。小さい。
「身体が冷えているな。温めないと」
"浮気女"の唇を塞いでみた。冷えている。人の体温はあまり得意ではないから、ありがたい話だ。俺を押し除けようとするのも強気でいい。俺はマゾヒストなのか?反抗されるのが好きだなんて。けれどそれは却って"浮気女"には不利だ。逃げないように捕まえることができるのだから。
「うぅ……」
悔しそうな呻き声で俺は一気に身体中が熱くなった。俺にキスされて悔しいらしい。俺に悔しいことをされている。俺の存在を、好みのタイプの女が悔しがっている。
俺は夢中になってしまった。唇を|破り開いて舌を捩じ込む。"浮気女"は体温も俺の好みだった。冷たい。人の体温は気持ちが悪い。
「んく………っ」
壁に"浮気女"を押し付けて、舌を追う。人工甘味料には中毒性があるというけれど、俺は実感したことがない。だが、本当かも知れないと思ったのは"浮気女"の口の中が甘いから。砂糖みたいな甘さではなくて、錯覚めいているけれど。舌を経由しない甘さというのか。人工甘味料?確かに"浮気女"が生成している甘さなら人工か?いやいや、そんな気の利いた言い回しは要らない。
くだらないことを考えていられたのは最初だけ。口付けているのは俺のほうなのに、"浮気女"に支配されている気分になる。
「んっん……ぁ、」
雨の音が聞こえるけれども、それよりも、雨にしては粘着質な水音も聞こえて、"浮気女"の口の中を漁るのをやめると止まる。俺が立てている実感が湧く。
角度を変えてさらに踏み込む。"浮気女"の身体が落ちていくのを支えてまで、俺はまだ貪っていたかった。
力が抜けて、"浮気女"はもう抵抗もできないようだった。俺のキスで、そんなふやけたみたいになるのか。演技だろうか?俺は女を知らない。浮気するような色事に長けていそうな女をそんなふうにできるわけがない。つまりこれは演技だ。
「百合」
呆けた目は、何を見ているのか分からなかったが、視界に俺が入っているのは間違いなかった。涙ぐんだ上目遣いがあざとい。そうやって、帝城寺や皇坂、果ては君主河原を|誑かしたのか?俺も、"分かって"いて誑かされることを選んだ。こういう場合、理性よりも興味と関心が勝るもの。
シャツのボタンを外していく。"浮気女"は嫌がりはしたけれども、まだ訳が分かっていない様子で、俺の手首に手を添えるだけだった。濡れたシャツがキャミソールに張り付いている。キャミソールを捲り上げたところで、やっと我に帰ったようだ。
「やめて!このヘンタイ!」
「騒いでいいのか、この状況。俺はお前と付き合っていると言ってやる。君主河原の耳に届いたらどうなるだろうな」
「脅してるつもり?君主河原くんは関係ない」
「なら、騒ぎ続ければいいさ」
どちらに転ぼうが俺は構わない。キャミソールを脱がそうとすれば、俺の手を払って両腕を交差する。そして|蹲る。幸い、シャツは俺が持っているから、さすがの"浮気女"も下着姿では出歩けないのだろう。
俺は自分のロッカーに向かった。タオルと上着を常に置くようにしている。少し神経質かもな。けれど寒がりなところも否めない。特に盗まれるものも、盗まれて困るものも置いていないから鍵は掛けていない。タオルを出して放り投げてやる。
「身体を拭け」
「ブラウス返して」
「濡れているぞ」
「いいから!」
俺はブラウスとかいうシャツを返さなかった。タオルは床に落ちる。俺のものは使えないって?
蹲っている女王様を拭くのは、下僕の俺の仕事らしい。
「返して!」
「身体を拭け」
時期が時期で、ロッカーに長いこと放置していたタオルだ。臭いのかと思ったが、普通に洗剤の匂いがした。
「やめて!触らないで!ヘンタイ!」
落ちているタオルを適当に払って、女王様を包み込む。俺を押し除けようとするのが、拾って帰って洗ったばかりの子猫みたいで非常に良い。爪を立てられて、高い声で泣き喚かれたいところだ。
「だったら逃げて、その素肌を晒して来い」
「ブラウス返して!」
「キャミソールを脱げ」
「嫌!」
俺は濡れて張り付いているキャミソールの裾を掴んだ。
「引き千切ってやろうか」
俺の女王様は下唇を噛んで、首を横に振る。いくら勝ち気の強気でも、直接的な脅迫に怖気付いているのだろう。そんな態度で俺が満足したとでも?もう少し意地を張ったっていいんだ。
「脱ぐか?それともそのまま外に行くのか?全力で逃げてくれ。すぐに捕まえて引き裂いてやる。ブラジャー晒して歩くことだ」
女王様が選ぶまで、俺は濡れた身体を拭き続けた。同じ洗剤の匂いをなすりつけられたらいいが、生憎そんな強い匂いではない。そんなことになれたら、俺は俺で香害だ。
「決めてくれ。それまでキスさせろ」
素肌を晒す肩にタオルを掛けて、俯いている女王様の顔を掬い上げた。
「いや!絶対にいや!あんたの言いなりになんかなるもんですか!最低!」
いい選択だと思う。女王様はそうでなくては。俺を突き飛ばして、そのまま逃げ出そうとする。けるども無駄な足掻きというもので、俺はすぐに女王様を引き留めた。性差というべきか、体格差というべきか、筋肉量が違う。力をつけられる上限というものも、男女では差があるのだろう。そもそも妊娠したら動けなくなるメスの世話をするためにオスが必要になったのだから、まさか生命のデザイナーというものも、オスがメスに対して悪巧みをするだなんて考えちゃいなかったか?いやいや、生命体のデザイナーは、そこに倫理や道徳、感情なんて最初から計算に入っちゃいない。
さすがにまだ着られるキャミソールをただの布切れにしてしまうのは気が引けた。何かに窮したことは特に無いけれど、根幹が貧乏性なのか、俺は。とりあえずそれは、俺の中のこだわりに|悖る。
キャミソールは破かないことにしたが、俺はもう一度同じところに女王様を叩きつけて、キャミソールごとブラジャーを引き上げた。白い桃みたいな胸が跳ねて、もしかしたら今後、プリンだのゼリーだのが震える光景にもいちいち興奮しなければならないのかも知れないな。欲求不満だ。周りの同性と比べると、落ち着いている気さえしたのだが。いやいや、これからか。俺は心身共に成長が遅かったみたいだから。
「いや………っ!やめて、……っ、見ないで」
俺は女王様の細腕を両方掴んで壁に留めていた。暴れているが、気の毒だけれど、俺に胸を見せるしかない。
「君主河原にはもう触らせたのか?」
「あんたには関係ない!」
胸だけを見て清楚かどうか分かるほど、俺は女の裸体に詳しくない。第一、この女王様はとんでもない浮気女だ。だが、たとえこの女がどれだけアバズレでも、その胸は清楚という他なかった。色が白くて、薄いピンク色をしていて、張りがある。何より、|肌理が細かくなめらかだった。触れてみると、俺の指にも吸い付く。
「アンタのせいで胸フェチのとんだヘンタイだ、俺は」
俺は胸の膨らみの下側から、脂肪を持ち上げるみたいに掬って揉んだ。弾力が身体中に響き渡るような妙な感動がある。
「触らないで……!触らないで……!放して……」
「放して、どうする?」
俺は胸の上にあるキャミソールの裾を掴んで、無理矢理に女王様の腕から引き抜いた。上半身はブラジャーのみだ。今は乳を晒している。
「帰りたいなら帰ることだな」
キャミソールを奪って、シャツ同様にロッカーに入れてしまった。シャックル部分を嵌め切らずに錠を掛けた。
「酷い………どうして………?わたしあなたに、何か、悪いことした?」
「……した」
「謝るから……身に覚えはないけれど………あなたのこと、よく知らないし、恨みとかはなくて……」
俺の気高い女王様は媚びに転じて、あざとく俺にしがみつく。キャミソールがあればまだ逃げられたって?
「身体で償え」
あんたは俺を下僕にしたんだからな。
「そ……れは、」
「償わせる」
今度は女王様をロッカーに叩きつけて、下僕のすることじゃない。けれども|傅いた。ブラジャーは胸に戻されていて、背中に手を回し、ホックを外した。浅い抱擁で、妙な疼きが俺の心臓に起こる。女性様はあまりに細い。小さい。壊れそうだ。子猫にしがみつかれた時の感覚に似ている。息がしづらくような、訳の分からない苦しさと、まだくっついていたいような心地良さで|鬩ぎ合う。ホックを外すほんの一瞬で逡巡した。女の身体はこうなのか?磁石が引き寄せられるように、或いは|弾き合うように、男と女の肉体でも、そういうことが起こるのだろうか。
「なんで、外すの……」
女王様は混乱して、独り言ちる。俺も戸惑っている場合ではなかった。女王様が手を後ろにやって、嵌められてしまったら、また外せるんじゃないか、なんてばかげた考えが浮かんでいるのは油断だ。
浮いたブラジャーを持ち上げて、勃っている乳首を両手で摘む。
「んっ……」
すでに勃っていただけあって、指と指の間で擂っていると、存在感が増していく。小さな豆を転がしているみたいだった。
「あっ……ん……」
胸を突き出してきて、ロッカーが小さく音を立てる。世間は梅雨だ。今日は雨だが気温の割に湿度もそう高くはなく、比較的過ごしやすかった。なのに何故か暑い。掌に当たる女王様の乳が冷たくて気持ちがいい。持ち替えて、|拇で押すことにした。余った指で脂肪を揉む。柔らかい。
「ゃ……あんっ………」
女王様が俺の腕に手を添える。蕩けた顔をして、半開きの唇の奥に唾液があふれ返っているのが見えた。胸がそんなに弱くて、授乳するときはどうなるのだろう?
「君主河原はこうしてくれないのか?」
「ん……っ、や!ぃや!」
君主河原のワードが、胸の刺激でかなり弱くなって、お姫様みたいになっていたのが、また女王様になった。
「触らないで……」
「雨に濡れたんだ。身体を温めないとな」
指で弾くと腫れ上がったみたいにそこは膨らんで、硬くなっている。|気触れたのか?
下僕の俺は女王様の腫れて膨れたところを舐めて治さなければならない気がした。
「もうやめ……っ、ゃんっ」
俺は女王様の乳を吸う。腰を頻りに動かして、ロッカーが鳴った。何かもどかしそうだった。胸への刺激は、下半身に響くらしい。けれどもそうか。俺も女王様に触れられると、結局は股間で感じることになる。女もそうなのか?
気触れたかも乳首に唾液をまぶす。もう片方は、あまり摩擦しないように強弱をつけて摘むだけにした。
「んぁ、だめ、だめ、だめ…………ぁあんっ」
声が高くなっていくのが分かると、調子に乗ってしまう。女王様からのお褒めの言葉も同然だ。指と唇を締める。女王様は甘たるく鳴いて、腰を大きく揺らした。ロッカーで、誰か来てしまいそうな緊張感がある。
「あ、ああ………」
俺もそろそろ下腹部が苦しかった。けれどもこの女王様が、下僕に手コキなんぞするわけがない。俺は乳首イきして惚けている女王様にふたたびキスした。キス手コキがシチュエーションとしては一番好きだ。ロッカーと俺に女王様を挟み、口腔を貪りながら自分で扱く。けれど物足りなくなって、華奢な身体を抱き寄せる。普段の手淫は10分近くかかるが、いつもより深く感じてしまった。手が止まらず、動きも速くなる。射精感はすぐに高まっていった。女王様を抱き寄せすぎて、苦しかったかも知れない。嫌がるような素振りの舌が、わざとなのか俺のポイントを突いてくる。
「んっ、ふ………んんっ、ぁふ………」
「く、―ッ、ぅ」
俺の視界が白くなる。その一瞬、かなり女王様の舌を鮮明に感じた。今までにないほどの快感だった。手の中で射精する。女王様にも飛ぶかもな。男のイき方は打ち上げ花火のはずだった。それなのにこれは蛇花火だ。余韻が長引いている。精液の量も多い気がする。あの日、俺がこの女王様の下僕になった日の夜の射精よりも気持ちいい。あのときも、俺はこの女王様をおかずに自慰に耽った。
早い男は情けないらしいが、これは早くもなる。片腕に女を抱きながら、口の中を犯されて、脳が溶けそうだ。そして脳が溶けそうになる感覚は気持ちがいいらしい。
女王様から口を放すと、俺の舌は女王様の舌も引っ掛けて、吊り上げてしまった。唾液の糸も引いている。女王様はさすが女王様だった。自分で立てないらしく、俺が片腕で支えていた。いかんせん、反対の手は精液まみれだ。ロッカーの中にポケットティッシュとウェットティッシュも入っているはずだ。乾いていなければ。
「んん……放して!」
寄り掛かっていたのは女王様のほうだ。けれども俺は下僕。女王様が仰せなら俺が悪い。片手が自由になって、ザーメンまみれの手でロッカーを開ける必要はなくなった。汚れていない片手でロッカーを開け、上着を放り投げる。
まだぼんやりしている女王様の頭にそれが掛かった。乳首でイくのはそんなに凄絶なのか?
「ブラウス返して!」
「それで帰れ」
女王様がブラジャーを嵌め直しながら可愛い目で睨んでいる間、俺は手を拭いた。
「ブラウスと下着返してよ」
「それで帰れ。返さなくていい。約束しろ」
俺はいつのまにかここに入れていたらしいエコバッグを見つけ、それを広げて濡れたシャツとキャミソールを入れた。
「皺まみれだ。濡れたものをもう一度着るか?」
女王様はとりあえず肌を隠すのに、卑しい下僕の上着が必要みたいだった。抱き締めている。それを見て胸がくっと締め上げられるような心地良い息苦しさを覚えた。
「……いいでしょ、別に」
「着ろ。俺の上着を着るあんたが見たい。着ろ。そうしたら返してやる」
緑色の厚手の、フード付きの上着は、俺にも少し大きいのだから女王様にも大きいだろう。
女王様は渋々、下僕のジップアップを羽織った。裾は腿の半分まで垂れ下がって、袖は大きく余っている。なかなかいい。俺は薄気味悪い顔をしていたかも知れない。
「会いに来る気があるなら返してくれ。嫌ならいい。どうせ使わないと思っていたものだ」
女王様は躊躇いがちに、エコバッグに手を伸ばした。俺が騙して取って食うとでも思っているらしい。もう美味しく食べたけれどもな。それから奪い取るように取っていった。
「傘もないんだろう?俺の服を濡らすなよ」
折り畳み傘も押し付けると、女王様は悔しそうにして帰っていく。落ちたタオルを拾って、エコバッグに詰めていった。卑しく破廉恥な下僕の服に、下僕の傘、下僕のエコバッグを持って、気位の高い女王様には屈辱的なことだな。
俺は精液臭いロッカールームに残って、くだらない妄想をしていた。今日はいい日だ。君主河原と鉢合わせればもっといい日だ。
俺はその後、適当な水道で手を洗う。外はまだ雨だ。俺の傘で、俺の服を着ているんだろう。脱いだのか。それもいい。笑いが止まらない。
「|天子ヶ沢くん」
手を洗っていると、後ろから声をかけられた。君主河原だ。まだ帰っていなかったのか。振り返る。
「ラブレターでお呼び出し、行かなかったの?」
「どうしてそれを知っているんだ」
「さっき相談されちゃって。行ってあげればいいじゃない。結構かわいい子だったよ?」
君主河原は教育テレビの学級委員みたいなことをするものだ。
「迷い猫を見つけたんでな」
「迷い猫?」
蛇口を締めて、水気を払う。手を拭いてから、君主河原と向き合った。"分かってる"顔だ。
「手厚く保護してやらないと。猫風邪は厄介だ」
「天子ヶ沢くんがそんな愛猫家だったなんて驚いたな」
相変わらずマイペースげな素振りで、にこにこしてるな。
「小さくて強気なものに目がなくてな」
「……これは返すね。もう必要ないから。ありがとう」
使われていない折り畳み傘を突き返される。俺は笑い出しそうなのをどうにか抑えた。
「用が足りたのならよかった。身体を冷やしたら事だろう。じゃ、早く戻ってやることだな」
俺は面白くて仕方がなかった。外は生憎の雨。今日はいい日だ。かなり、いい日だ。
【完】
○【TL】BAV