「雪の降りる場所」
賑やかな図書館
絵本の読みきかせや
紙芝居
高い天井
日光の透明な温もり
頬をゆるます親、子供
されど物語は書庫に眠る
地下…階。
地下…階。
黒き扉の狭間より
一筋漏れる色の光
時には赤
時には山吹
水
草葉
群青
朝を惜しむ袂の紫…
その光に触れようと意気込んでも
つ、と光は逃げる
追えば追うほど触れられぬ
仮初の宿のうす衣
ただ待ち詫びて
焦がれて
うっとりして
夢にまで見て
そして眼覚めて
また、待ち憧るる
極彩色の雪たちが降りるのを
書庫に物語は眠る
多くの人を寄せ付けない
闇空の書庫に
松葉から零れた雪が…降りて来た
「雪の降りる場所」