11月の世界
あおい はる
ろうや、と呼ばれているけれど、べつに、なんてこたぁない、ふつうの部屋に、わたしはいて。
ときどき、めざめた。
他者はだいたい、自己主張がつよく、わたしはたいてい、自己愛がはげしく、世界は定期的に、やさしさを削ぎ落としてゆくもので、おそらく一三〇日とちょっとの日々は、ひとりのにんげんの思想をゆがめ、だれかのやさしさにすがり、インターネットのなかに救いをもとめながらも、しらないあいだに抹殺されている。
かなしみ。
いかり。
飽和して。
海に帰るのは、いつか?
となりで、きみが歌ってる。
あかるい歌じゃない。
でも、なんでか、微笑えた。
11月の世界