「青光」

 青い光さまよえり
 もやしの芽のようで
 蛍烏賊の色放つ
 青い一筋の光は
 無数にひょろひょろとさまよっている
 海に浮ぶもの
 山に籠もるもの
 橋に眠るもの
 川を見つめるもの
 昼を恐れるもの
 夜に取り縋り泣くもの
 咽ぶもの
 沈むもの
 胡蝶ゆらめく水面へ翔けたもの…
 青い光は無数の嘆き
 目には惨めに映れども
 匂いは生々しき臭気なれど
 青藍の淵に
 露草もろともに浸って居る
 青い光は常々濡れて
 体はいつも寒々しい
 なれど淵を這い出た時の寒さを恐れ
 かうして涙に甘えてばかり居る
 哀れ  青き光
 その明滅は何のための瞬きか
 かなしや  青い光
 指先すらもすりぬけて…いづこへ

「青光」

「青光」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-11-16

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