水の奴隷
穿たれた掌で水は掬えない
やがて水は蒸發する
錆びた記憶は表象になり
表象すらも錆びてしまった
錆びた表象を寄せ集めても
世界を再󠄀組織することはできない
おれには歸るべき故鄕がない
癒えぬ渇きといはれるが、必ず
渇きを癒す必要があるだらうか
記憶するとは呪うといふことだ
記憶への意志は憧憬に由來する
叶はぬ不變への憧憬に。
おれには理性も、本能も、現実もない
所有への執着が人を狂はせる
憧憬への憧憬が人を盲にする
中味のない抽斗、これが
おれの正體だ。
水の奴隷
穿たれた掌で水は掬えない
やがて水は蒸發する
錆びた記憶は表象になり
表象すらも錆びてしまった
錆びた表象を寄せ集めても
世界を再󠄀組織することはできない
おれには歸るべき故鄕がない
癒えぬ渇きといはれるが、必ず
渇きを癒す必要があるだらうか
記憶するとは呪うといふことだ
記憶への意志は憧憬に由來する
叶はぬ不變への憧憬に。
おれには理性も、本能も、現実もない
所有への執着が人を狂はせる
憧憬への憧憬が人を盲にする
中味のない抽斗、これが
おれの正體だ。
水の奴隷