言祝ぎ。

結末は決まっているし終の詩も書き終えたし、
その免罪符のもと多くを毒吐してしまったし、
思い出せたとしても痛くないし苦しくないし、
一般的な生きるべきという考えと綱引き出来るくらい、
この計画的なお膳立てのもと、死ぬことが当たり前になって、
生きられないことは決まっていて、
生きたくないことも決まっていて、
本当は死にたかったこともとうに。

手遅れた先を、終わった先を、続けている。
どうにもならず、どうにもならないから。
終わり続けている。
いいえ。
終わりをやり直している。
終わりを過妊娠している。
終わりを確立させている。
細々(こまこま)かく終わり続けた先に、それがあることを乞い願う。

かつて、罪を負う意識を偽造して、罰を乞う姿勢を騙った。
内罰という体裁のもと誰かを枉惑していたのだと知って、
それが案外気持ち良くって、つい笑顔が漏れちゃって、
好きな色の理由を忘れたように、
お前は人間じゃないのだと、お前は生きてはならないのだと確信した。

罪も過去も朝も歌も言葉も罰も忘れて。
罪も過去も朝も歌も言葉も罰も飽きて。
罪も過去も朝も歌も言葉も罰も離せず、
中身がないという意味の、偽りで過剰な余裕から提供された時間を使って、
長いエンドロールを書いてる。
クレジットは多くに墨を引かなければならない。
忘れてしまったことの告白だ。
代用した二人称三人称にはどの位まで数字が付記されるだろうか。
言い表せない言葉をいくつあやふやと壊して代替するのだろうか。
意味のないただの記号達に別の何かを重ねずにいられるだろうか。

悲愴と憐憫を出来るだけ減らし、心臓を外した言葉で、走馬灯を自作した。
振り返る価値のある場面などあっただろうか。
振り返ったその場面を汚さずに済むだろうか。
振り返ってどう心無く表すというのだろうか。
―――嗚呼、不要な生涯だったな。その確認の為に在った。
ここは自己愛も自己哀も突き抜けてしまった私からの餞だ。
おめでとうとさようならの言祝ぎを存分に受け取ってくれ。
そして笑ってくれ。

言祝ぎ。

言祝ぎ。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-11-11

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