コスモスの花のように/新作短歌
人の世など 知らぬことかなコスモスの花 きょう吹く風も そよとかわしつ
秋風か 恋の風かは知らねども
吹かれて舞うはコスモスの花
細身にて 花びら薄く身は軽し
けれども折れぬ 誘う風には
風に舞う 花の乙女のその中に
我想う人 ひときわ輝き
揺れ動き 眼にとどまらぬ薄紅の
花を手にして微笑む君よ
ほらこれも これもきれいと手に取りて
でも僕の目は 君にくぎづけ
秋風に そよぐピンクの秋桜よ
君その黒髪のリボンのように
早や暮れて 君と別れる寂しさよ
ふたり隔てる長き秋の夜
花の野に 手を振り去りゆく君の夢
覚めて確かめる 『また誘ってよ』のメール
うなだれて 打ちひしがれたコスモスの花
あの時の君を救えなかった 僕
何度も繰り返し押し寄せる花の波よ
僕の心を 幸せでいっぱいにして
背を低くすれば まるで天国のような 空まで続く花畑
でもそうでない僕たちの現実
肩に触れた 一輪の花が 何かを言いたげに
見つめた気がした 一瞬の風の隙間に
君と共に 帰りたや あのコスモスの日に
幸せの風に吹かれた 花の波間に
秋風と 共に寄せ来る花の波
君は踊りぬ スカートを手に
黒髪も 結いしリボンも翻り
君はニンフに コスモスの海
夕暮れて 花の舞台も 星空の
幕の下りしを惜しむ虫の音
君ゆえに 我ひと恋うを覚えたり
今も愛しき コスモスの花よ
母の胸 手を振る見知らぬ幼子に
なぜか涙が溢れて止まらじ
☆ 眼下に広がる、満開の秋桜の花の海、
でも一方で目を覆いたくなる現実の世界の
出来事、ああどうすれば・・・(いずみ)
コスモスの花のように/新作短歌