バサーストの坂
これからの展開どうしましょうか?
早朝の、一時間後には道の半分は埋め尽くされる坂をバス前から見下ろす事に優越感を感じる。
ギリギリ都心内に位置する、緩やかすぎず、急すぎもしないおおらかな窪みと、その両端に広がる中途半端に道だけ作られた森林が人気の無さをわき立たせる。
だだっ広い車道と、数台の車体。
肩からだるく染み渡る疲労感も、群青色の空から透き照らし映し出されるこの時間だけの光景で少しは紛らわすことができる。
この時期に唯一この坂を「味」があると思える時間帯が出勤時間だということだけが、少し癪に触った。
加えて付け加えるのであれば、どの時間帯にも搭乗している老人達に難癖を付けたい衝動も無いわけではなかったが、いつの間にか彼らも背景の一部になっていたし、なにより毎度そんな事を気にする気力も体力もなかった。
そういった所だけが老人達との共通点...といえるのかもしれない。
どちらにせよ、視界を窓越しの坂道で塗りつぶしておけば、最初の乗り換え地点には難なく着くという朝を数えきれない程僕は迎えていた。
-バサーストの坂-
バサーストの坂