生を病む

病んでいる生 というのは誤りだ
病んでいない生などないからだ
生はすべからく病んでおり
すべからく悪化の一途を辿る
それだけだ。それに気附いていないおまえも
気附いていながら受け入れていないおまえも
莫迦だよ。なにが健常だ?健常者?
そんな死語を使っているのはおまえらだけだ
ああ。おまえらの歪む顔を見るのが待ち遠しいなあ
おれは正常(まとも)だと嘯くおまえらの無様な嘆きが見たいなあ
もう一度おれを嗤いにきてくれよ、なあ、
おかしいんだろ?はやくこいよ、笑顔になれよ
笑い合おうぜ、無様な同胞よ。
それにしてもおれは幸運だったなあ
生の本性を早くに看破したおかげで
生きる時間を最小限に抑えることができた
今度はおまえらが注目を浴びる番だよ
死ぬ権利なんてないよ。苦しむ姿が見たいんだからさ。

生を病む

生を病む

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-11-02

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