誰か俺の射精を止めてくれ。第三話~1月10日、家族~
1月10日
午前0時を回った。父と母はまだリビングで話し合いを続けているようだ。ときどき、怒鳴り声も聞こえてくる。
父はいったん寝ようとしていたようだが、母がどうしても寝れないからと、寝ないでずっと話し合いを続けている。
「なんか、スゲーことになってきたよ姉ちゃん。」
俺は今、姉の部屋に来ている。普段なら勝手に部屋に入ったら怒られるが、姉はまだ寝ているので大丈夫だ。
部屋に帰って寝ようかとも思ったが、あまりの急展開に、興奮してそれどころではない。それに、一人だと少し不安になるので、姉に甘えている感じだ。
ベッドの脇にいすを持ってきて、電気を点けずに月明かりだけで姉の顔をじっと見ていた。なにか落ち着く。
カチャ・・
優しくドアが開いた。叔父さんだ。
叔父さんは俺の隣に来て床にあぐらをかいて座ると、マグカップに注いだコーヒーを差し出してきた。
それを受け取ると、
「まあ心配すんなって!」
叔父さんはそう言って肩を叩いてきた。
不安が無いわけではないが、別に心配なんかしていない。
そうやって人の気持ちを勝手に決め付けたりする叔父さんが、嫌いではないが苦手だった。叔父さんは自分勝手で、人の気持ちとか考えないで言動する人だ。
俺はそれに反発して、怒鳴ったこともある。
しかし今はそんな叔父さんにも温かみを感じる。
朝になって、父と母の話し合いが終わった。2人とも疲れているようだ。とくに母は泣いたからか、目の周りがボロボロでより疲れて見える。
最初は父に反発していた母も、現実を受け入れたようだ。
話し合いの結果、2人で直接マリリンに頼みに行くことになったらしい。俺とアレをしてくださいと。
俺は反発した。良い回答を得られるわけが無いし、両親がみじめすぎる。
しかし、両親の決意は固いようだ。いつも仲の悪いうちの両親。でも今は、団結しているように見える。
誰か俺の射精を止めてくれ。第三話~1月10日、家族~