学問とは ぼくはグラビアアイドル その1

もう少し、ほのぼのした風景を描きたいと思います。


青少年向けライトノベルですので、平易な文章になるように心かけたいと思います。
なるべく、すらすら読める文章にしたいとおもいます。

時代背景は、2030年の未来の日本。軍国主義社会で、たくましく生活する人々を描きたいです。

身体検査の日 親友とのお昼休み

 西暦2030年4月、ぼくは女子高に通う女の子。職業はグラビアアイドル。
 午前中、身体検査と知能検査が行われた。
「まり子さん。スタイルいいわね」
「ぼくは、それだけしか取り柄がないし」
「でも、トップの成績で、この女子校に入学したでしょう」
「ぼくは両親も兄弟がいないし、このまま芸能界に入れば、上京できて一人で生活できると思ったから」
「でも、ビキニ水着と下着すがたの撮影ばかりでしょう」
「そう。普通の女の子なら恥ずかしくてできない仕事だから」

 ぼくは、中学3年の時の偏差値は65。学力は平均以上である。偏差値が最も低い女子高に入学した。
 クラスメイトはギャルとヤンキーばかり。

「ねえ、わたしのお弁当のおかずをとって」
「いいの」
「いいわよ。まり子さん。ダイエットばかりすると7月に行わるサバイバル訓練にもたないわ」
「でも、仕事上、今のスタイルでないと仕事にならないの」

 ぼくは、きのう親友となった田村京子といっしょに屋上でお弁当をふたりで仲良く食べる。
 天気がよい。日差しがまぶしい。
 でも4月になったばかり。長いスカートに紺色のハイソックスをはいても足元には肌寒さを感じる。
 セーラー服から、わずかだけ背中とお腹がでる。そこから風が入ると寒い。

「で、まり子さん。いや、まりちゃんと呼んでいい」
「呼び方は、なんでもいいわ」
 ぼくはお弁当を食べ終わり、ティッシュで唇をふいた。
「ねえ、私もお弁当をたべたばかりだから」
「そうなの」
「ねえ、えーと、わ、私、一番最初のファンなの。まりちゃんの」
「そ、そんな・・・。ぼくはなんの才能がないのに」
「でも、とてもかわいい顔しているわ」

「ねえ、頬にちょっとキスしていい」
「勝手にして」
 ぼくは女の子から、はじめて頬にキスされた。へんな気分。

 ぼくもギャルであり、ふだんは口紅を付けるし、アイシャドーで目のまわりを化粧する。
 でも、ぼくたちは、まだ15歳。

「えーと、えーと・・・」
「なんなの」
 ぼくの肩に京子の肩がくっついた。頬と頬をすりあわせた。
「えーと・・・」
「どうしたの京子ちゃん」
「私、変だと思われるけど・・・、告白していい」
「遠慮しないで言ってよ」
「わたし、私は、じ、実は女の子が・・・」
「ねえ、どうしたの顔が赤いけど」

 田村京子もギャルでありヤンキーで、中学生の時、さまざまな苦労をした。大人のいやな部分を見てグレた。
 京子の容姿は、茶色い髪にウエーブがかかり偏りも長い髪。先端が黄色い。
 まつ毛が目立つ。
 彼女は家庭が崩壊状態だった。そのため受験勉強がすすまない。学力が落ちて、この女子校に入学した。

 クラスメイトが48人以上いないと経営がなりたたない私立の女子校。

「ねえ、手を握らせて」
「いいわよ」
 ぼくと京子は肩を寄せ合わせた。

「まりちゃんと一緒にいると気が落ち着くわ」
「ありがとう」
「ねえ、この時間が永遠に続けばいいのに」

 もうじき昼休みが終わる。
「でも、まりちゃんのことを信頼しているから」
「親友でしょう」
 たった1日で親友ができるのは、10代のうちだけだろう。


 世界で2番目の軍事大国である日本は、全体主義政権が樹立している。
 お互いを監視しあう。超監視社会である。

 官僚よりも政治家の力が強くなり、自衛隊が拡大し自衛軍となり、警察も強化された。



 

で、ぼくたちは・・・

「まりちゃん。スカートの裾あげて」
「いいわよ」
「まりちゃんの太ももは、とてもきれいな肌している」
「だって、グラビアアイドルの仕事しているから」
「でも、女子校だとみんな羞恥心を失うけどね」
「いや、今の時代、あらゆるところに監視カメラがある。気がつかないように。どこも24時間も監視されている」
「じゃあ、いま、頬にキスしたのは」
「大丈夫よ。頬のキスくらいは」

 全ての工業先進国は、超監視社会になった。テロと犯罪から市民を守るために。
 
「ねえ、あと5分以内に教室に戻らないと」
「そうね。学力考査があるのね」
「でも、今日の学力試験は、成績と関係ないと担任の先生が言っていたし」
「それでは教室にいきましょうか」

 ぼくたちは屋上からおり階段をおりて4階の片隅の教室へ入った。

「では、これから学力考査をします」
 担任の先生は女性。名前は高野純子。
「午前中の身体検査と知能検査、お疲れ様でした。で、最近の女の子って、ほとんど刺青をしているのね」
「だって、肌に刺青するのは女の子の流行りだから」
「で、今のお母さんたちは、女子校生のときミニスカートの制服でした」
「ニスカートの制服はフェミニストが規制している。そもそもフェミニストは”一種の新興宗教”だし」
 クラスメイトの誰かが発言した。
「で、あの頃は刺青は、今ほど流行っていないです」
 2010年代から欧米では刺青は流行っていた。
「それに、最近はスカートが長いと緊急時のとき走りにくいでしょう」
 担任の高野先生が言った。
 女子校生の制服のスカートが長くなったと嘆く30代から40代の女性が多い。女の子は女の子らしくかわいらしい服装をするように。
 スカートは短くするべきだと30代から40代の主婦たちは主張する。
 

 時代によってスカートの長さが異なる。長くなったり短くなったり。
 
 スカートが長くなれば短くしろという意見が多くなる。逆に短くなれば長くしろという。スカートの長さは時代によって異なる。

 身体検査の時、京子は下着姿だった。若い男性の医師がいても、ヤンキーとギャルばかりだと羞恥心がない。みんな下着だけで身体検査を受けた。
 京子ちゃんの背中や太ももに、多くの刺青がある。
「まあ刺青をするなと堅いことは言いません。とにかく入学したら卒業も保証しますから、警察のお世話にならないようにお願いします」
「先生。今日の学力考査は成績に関係ないですね」
「そうです。今後の授業のすすめかたを決めるためです」


 午後3時まで2時限もの時間を使って、学力考査が行われた。
 一般常識と教養、そして国語と数学。
「簡単すぎる。思ったよりも早く終わった」
 ぼくは机のうえで腕組んで寝ようとした。
「戸倉さん。寝ないで」
 ぼくは担任の高野先生から頭を叩かれた。
「すみません」
「もう、終わったの」
「はい」
「それでは静かに待って」
 クラスメイトのみんなは、一生懸命になって問題を解いている。 



 午後3時、学力考査が終わる。これから女子高生たちが群れを作って帰る。
「やっと終わったわ」
 ぼくにとっては、とても簡単すぎて、早く終わって途中で居眠りをした。
「まりちゃん。居眠りするなんて不味いわ」
「だって、簡単すぎたから」
「ねえ、偏差値が高いなら、もっとちゃんとした高校に入学できたのに」
「でも、ぼくのお母さんは病気で死んだ。中学3年の時に。それに、お父さんも事故で亡くなって。それで上京し芸能界にデビュー。この高校は優待生制度で入学金と授業料無料になるから」
「ごめんね。へんなこと聞いいて。つらかったでしょう」
「いいのよ」
「ねえ、早くしないと、みんなからはぐれるわ」
 ぼくは京子ちゃんから誘われた。
「ねえ、今日はふたりでお茶を飲まない」
「いいわ。よろこんで」

「まりちゃん。今日は、私がおごるから」
「いいのよ。気を遣わないで」
「でも、私、まりちゃんのこと愛しているの」

 ぼくたちは机の中にあるタブレット端末を学生カバンに入れ、京子ちゃんと手をつないで喫茶店に向う予定である。

 

手をつなぎ肩を寄せ合い喫茶店へ

 ぼくたちは恋人のような関係になった。
 ぼくたちは、みんなが帰ったあとの教室で、手鏡で化粧でメイクし、茶色く染めた髪をクシでとかした。
 クラスメイトのほとんどが、ヤンキーとギャルばかり。みんな家庭に事情がある。さまざまな悩みがある。

 ぼくが通う女子校は偏差値が低いので有名。逆に言えば、いまどき楽な高校である。土日と祝日は休みである。ちゃんと夏休みも40日以上も休める。

 午後3時半、教室に担任の高野純子先生が来た。
「ねえ、あなたたち、どうしたの。帰らないで」
 全ての教室には監視カメラが設置する義務がある。当然、空き教室でも監視カメラがある。
「ごめんなさい。ちょっと、私たち話が弾んで」
「そうなの。ねえ、気をつけて帰ってね」
「はい」

 茶髪の女の子が二人、手をつなぎ肩を寄せ合いながら高校の門を出た。

「ねえ、ゆっくりお話しましょう」
 京子はみためとは裏腹に、良い子である。でも、家庭に問題があり、中学1年の時、グレてしまい不良仲間に入った。
「まりちゃん。私、男性経験があるけど」
「その話やめましょう」
「そうね。ほかの人に聞かれたら不味いし」
 京子は素直である。
「でも、みんなヤンキーばかりでしょう。うちの学校は」
「そうね。でも、女の子ばかりだと大胆になるし」
「で、体操服ダサくない。ねえ、クラスのみんなで陸上選手のようなブルマみたいなパンツとタンクトップのようにするのは」
「そうね。女の子しかいないから肌を思い切りだしても平気だし」

 京子ちゃんは、ぼくと一緒にいると楽しそうである。

 いじめもパワハラも刑事罰が適応される犯罪である。全体主義社会になり積極的に人権が守られるようになった。

 ぼくは不良で、お酒も飲んだしアダルトビデオも毎日見る。でも、勉強だけは真面目にした。将来、責任がともわない楽で高収入の仕事をしたいから。
 

 ぼくは15歳で女子としては身長が高い。168センチでやせている。スタイルがよかったからグラビアアイドルになれる。
 都内では街中、いたるところに無数の監視カメラやテレビモニターがある。街頭テレビではプロパガンダが強いメッセーが流されている。
 国防は国民の義務。女の子でも例外ではない。

『衆議院選挙の投票率は年々、低下しております。選挙権がある20歳以上のかたは、ぜひとも選挙に投票してください』
 どうせ同じ政党しか当選しない。別の政党が政権を取っても長く続かない。これが日本の議会政治の現状である。

 監視カメラでは、ぼくたちが身体をよせあって歩いているのが録画されている。万が一、事件が起きれば警察官が来る。
『10代および20代のみなさん。現在、自衛軍と警察官の人手が不足しています。国家公務員として安定した職業につけますので、心身健康な若い人は警視庁か自衛軍への就職をしなさい』
 年々、テクノロジーが進歩するほど、監視もよりきびしくなる。
 とくに若い男性と女性を悩ませるのが、過激なフェミニストたちの言動である。
 日本をイランにしようとしている。特に若い女性や主婦たちが喜ぶ、ヤオイ系作品は攻撃の対象である。同性愛を描いた作品で不道徳だから。
 
 全ての職場は警察に24時間体制で監視されている。当然、学校や職場でのいじめはほとんどない。引きこもりもニートも存在しない。
 パワハラも体罰も存在しない社会。監視カメラがないところに入ると警察官が来る。監視カメラがない過疎地に無断に行くと罰金が取られる。

 政府に対して多くの人たちは不満を持っている。多くの政治結社が存在している。政治活動の自由は保証されている。
 
 女子学生の制服のスカートが長くなったのも、過激なフェミニストたちの圧力である。
 その反動として、勉強ができるギャルが急増した。春以降になれば若い女性たちの普段着はタンクトップにホットパンツがほとんど。

 フェミニストたちはムスリマのように髪を完全に隠す。電車に乗ると髪を隠す、ムスリマと同じ服装をする女性が増えている。彼女たちは真夏でも半袖を着ない。

 若い女性の服装の基準が二極化している。

 若い女性たちは、フェミニスト運動を憎んでいる。フェミニズムに強い反感を感じている。若い時しかできないファッションがあるから。
 若い女性たちはカルト新興宗教と思えるフェミニスト運動を憎んでいる。まるで自分の考えを押し付ける宗教原理主義者みたいだから。

 ぼくたちは手をつないだまま喫茶店に入った。ぼくはウエイトレスさんから握った手を見られ少し恥ずかしい気持ちを感じた。
「おふたりさまですね」
「はい」
 未成年だから禁煙席へと。2030年の日本ではタバコを吸う人は、ほんの少しだけしかいない。
「ねえ、時間ある」
「大丈夫よ」
「まりちゃん。私のこと何と呼ぶの」
「京子ちゃんでいい」
「いいわ」
「で、日曜日はグラビア撮影の仕事があって」
「そうなの。どんな服装をするの」
「ほとんどが下着のカタログの仕事。あとはビキニ水着の撮影」
「ねえ・・・、えーと、まりちゃんの下着すがたの写真を見たいわ」
「下着ね。まあ、見られても減るものじゃないし・・・。無料通販のカタログに載るから」
「あと、どんなことするの」
「歌の練習とバレエとダンスの練習。バレエは柔軟な身体にするため。格闘技の仕事で骨折させないため」
「格闘技の仕事・・・。怪我しないで。それから、まりちゃん、CDも出すの」
「そうだけど」
「でも、あのAKBとか”モーニング娘””ハロープロジェクト”などの伝統的アイドルの領域には入れない厳しい規則があるの」
「そう。一緒に活動できないのね」
「でも、ぼくグラビアアイドルなんて、延々と続けるつもりはないわ」
「人気が出れば国民的アイドルになれるでしょう」
「それが、そんなに甘くないのよ。テレビを見る人たちは老人だけで、いまはネットのハイビジョン配信でアイドルを見る時代だから」
「でも、私、まりちゃんのこと応援するから」
「ありがとう。でも、何とかして大学に入学して、ちゃんとした企業に就職するから」
「就職ね。私、自衛軍に入隊しようかな。簡単に国家公務員になれるし、いろんな資格がとれるし、それに安定している。女子でも半年、徴兵されるから」
 ぼくは京子ちゃんが、たのしそうな表情で話しているのを見て、元気つけられた。

「で、まりちゃん。仕事がない日、私のうちに遊びに来て。それに一緒にお風呂入って、ベットで一緒に寝て、それから・・・」
 それを聞いて僕は顔が赤くなった。変なことを想像してしまった。

「どうしたの。顔が赤いわ」
「なんでもない」
「でも、顔が赤い。震えている。大丈夫」
「大丈夫よ」

「まりちゃん。写真集やCDが出たら必ず買うから。友達にも買うように宣伝するから」
「宣伝しなくても大丈夫よ」

 しばらく沈黙があった。ちょっと気まずい雰囲気を感じた。
「でも、私のことを応援してくれるとうれしいわ。ありがとう」
 ぼくは微笑んで答えた。京子も微笑んだ。

「ねえ、ふたりで大きなアイスパフェを食べましょう」
「うん」
 ぼくはウエイトレスさんを呼び、アイスパフェを注文した。

「でも、まりちゃんって、かわいい」
 ぼくは女の子から「かわいい」と言われると変な気持を感じた。ちょっと恥ずかしい気持ち。

 ふたりで顔を見つめ合う。それだけでも楽しい時間である。

紺色のセーラー服 同じアイスパフェを食べながら

 ぼくたちは、大きなアイスパフェを食べる。
 お互いに見つめ合いながら、幸せな時間を過ごす。
「ねえ、担任の高野先生はどう思う」
「ちょっと、緊張感を感じるわ」
「そう思う。きびしそうだし怖そうだし」
「でも、みんな不良ばかりでしょう。でも、最近の高校は管理が厳しいからケンカはできないし」

 茶髪の女の子がふたりお互いの顔を見つめ合う。
 京子はウエーブがかかった長い髪。黄色く染めた部分がある。肌の色が白い。刺青をするには都合が良い。
「で、私の姉が高校の入学金を出して、私、姉に頭があがらないのよ」
「そうなの。お姉さんは何しているの」
「え、言えない」
 ぼくは地雷を踏んでしまった。聞いていけないことを質問した。
「ごめんね。京子ちゃん」
 しばらく沈黙がある。緊張感を感じる。気まずさを感じた。
 京子ちゃんは下を向き続けた。

 5分くらい沈黙があり、京子ちゃんから話しはじめた。
「ごめんね。まりちゃん」
 しずかな口調でこたえた。
 京子ちゃんは姿はギャルだけど、根が真面目な子だとわかった。
「実は姉は性風俗の仕事をしていて。イメクラの仕事で」
「でも、いまどき性風俗の仕事は給料が安いでしょう」
「そうなの。でも、週に6日、休まず働いているけど歩合制で」
「たいへんそうだね。ぼくも、似たようなもんだし」

「ねえ、溶けちゃったわ。アイスパフェが」
「早く食べないと」

 それから、しばらく、京子ちゃんの家庭の事情の話を聞いた。
「まりちゃん。髪をきれいに染めているね」
「だってグラビアアイドルになるため髪をきれいに染めることは大切だから」
「私、髪がクセ毛だから。パーマは必要ないし」
「いいわね」
「まりちゃん。ストレートな髪もいいわ」
「ありがとう」
「ねえ、十分、話をしたわ。まりちゃん時間は大丈夫」
「あら午後6時なったのね。ねえ、このまま朝まで付き合うわ。仕事がないし」
「いいわね」
「どこ行く。映画、それともカラオケ」
「カラオケに行く」
「賛成。ねえ早く行きましょう」
「お金は」
「私が払うわ」
「わるいわね」
 京子ちゃんのスマートフォンはお財布ケータイと同じ機能がある。スマートフォンがないとコンビニで買い物ができない時代になった。
 スマートフォンなどの端末がないと買い物ができない時代である。

 ぼくたちは暗い街中を歩きカラオケボックスに入った。
 ぼくは、うたのレッスンをしても、なかなか上達しない。名曲は、ちゃんとオーディションで受かってデビューした子にとられる。
 ぼくが歌う歌は、たぶんつまらない歌しかないだろう。
 だから、歌には興味がない。レッスンしても上達しない。


 黒に近い紺色のセーラー服が街の中では目立つ。スカートが長いので歩きにくい。電車のドアにスカートが挟まれたらどうしようもない。

「お客さん。おふたりですね。スマートフォンをここに置いてください」
 スマートフォンを置くと、ぼくの住所と出身地、生年月日などの個人情報がインプットされる。
「あら、まだ15歳なのね。でもとっくの昔に青少年育成条例も少年法も廃止されたから」
 憲法が改正され、少年法が廃止された。20歳以下でも犯罪事件を起こせば、大人と同じように実名で報道される。
 青少年育成条例も撤廃された。12歳以上の少年・少女は、責任もって行動する義務がある。
「それでは2時間ですね。延長もできますから、ごゆっくり楽しんでください」
 ぼくたちセーラー服にスカートの女の子が二人が同じ部屋に一緒にいる。

 ぼくたちはカラオケボックスの部屋に入り、スマートフォンで歌う歌の検索を行った。
 スマートフォンがないと何もできない時代。圏外に出ると自動的に警視庁へと居場所をつきとめられる。
 カラオケボックスの部屋の中でも監視カメラがある。トイレの中でも例外ではない。
 監視社会だからこそ犯罪が極端に少なくなっている。ストレスを発散させるための施設も充実している。そうしないと暴動もおきるし社会全体が病んでしまう。
 

 ぼくたちはスマートフォンで歌を検索し、カラオケの機械を操縦する。大きなモニターに映像と歌詞が出てくる。


 

ふたりで深夜の街を歩き 一緒にお風呂に入り

 ぼくたちは4時間も歌を歌った。午後11時、近くになった。
「ねえ、まちちゃん。お酒は飲むの」
「もちろん飲むわよ」
 
 ぼくも京子ちゃんも爪を染めている。クラスメイトにはネールアートしている子もいる。
「そろそろ出ないと」
 ぼくは口紅を塗る。
「でも、まだ5分あるから、あと1曲うたわない」
「それでは、飯島真理の『天使の絵の具』を歌うわ」
「いいわね」

 ぼくが歌い終わったとき、電話のベルの音が聞こえた。
「はい。もう出ます」
 ぼくも京子ちゃんと一緒にいて楽しい。軽く京子ちゃんを抱きしめた。
 ぼくはちょっと恥ずかしく感じた。

 京子ちゃんが答えた。
「ねえ、一緒に深夜の街を歩きましょう」
 街中、いたるところに無数の監視カメラがある。治安が良い。街はきれい。真夜中でも犯罪が起きないようにできている。

 4月のはじめの深夜の街は静か。酔っぱらいも危なそうなお兄さん達もいない。警備が厳しい。
「ねえ、コンビニでちょっとしたものを買わない」
「アイスコーヒーを買いましょう」

 ぼくたちは、アイスパフェを食べたように口をつけたものを、ストローで口につける。
 京子ちゃんは、本当はぼくと口づけしたいけど我慢している。
 ぼくはアイスコーヒーを一つ買い半分飲んだら、京子ちゃんに渡した。
 間接キスである。

「ねえ、うちに遊びにきてほしいけど」
「うん、良いわよ」
「でも、終電が近いし」
「早く駅に行きましょう」

 深夜の街、誰もいない。乗用車やタクシーが、たまに走る程度。
 長いスカートのセーラー服の女の子が二人が歩く。至る場所に監視カメラがある。ぼくたちの姿がビデオカメラに録画されている。
 スマートフォンのGPS機能から警察署にぼくたちの場所が特定される。

 午前1時少し前、駅前に到着した。早くしないと終電を逃す。
 背後からパトカーが来た。
 若い男性のおまわりさんから話しかけられた。
「きみたち。なんでこんな遅くまでで真夜中の街をセーラー服で歩いているのかね」
「ちょっと、カラオケで4時間も歌を歌って、それにふたりで、いろいろと話をしたら、こんな時間になって」
「で、君たち。最近は治安が、とてもよくなったけど、女の子ふたりだけだと危ないから。万が一のことがある。家まで送るから」
「すみません」
 ぼくたちはパトカーで京子ちゃんの自宅まで送ってくれた。はじめてパトカーに乗ったとき変な気分だった。

「で、君の家は」
「今日は、この子の家に泊まりますから」
「遠慮しないで」
「大丈夫です。この子は私の親友ですから」
「そう。では今後は気をつけて」
 パトカーが去っていった。深夜の街中は静かである。

「まりちゃん。今夜は私の家に泊るでしょう」
「当然よ。でも、替えの下着がないと気持ち悪いし」
「大丈夫よ。まだ着ていない新しい下着があるから」
「いいの。わるいわね」
 京子ちゃんは、とても親切。

「ねえ、えーと、汗かいていない。下着は家で洗濯するから」
 ぼくは京子ちゃんの家に泊まる。そして、京子ちゃんと一緒にお風呂に入る。
 京子ちゃんはとても楽しそうな表情をしている。

 ぼくたちは京子ちゃんの脱衣所に入る。ぼくはグラビアアイドルの仕事をしているので、異性に下着すがたを見られても恥ずかしくない。
 ぼくたちはセーラー服を脱いだ。長いスカートを脱ぐ。風通しが悪い上着も脱いだ。下着だけになると開放感を感じる。でも、まだ肌寒い。
 京子ちゃんの自宅は、アパートの一室。お母さんは夜勤の仕事でいないし、お姉さんは泊まり。朝になれば帰ってくる。

 LED電球を付ける。部屋が明るく灯る。
「ねえ、京子ちゃん。刺青がきれいに彫っているわね」
「そうよ。まりちゃんは、下着のモデルをしているから、刺青は当分のあいだ彫れないでしょう」
「そうなの。肌を出す仕事だから」
 下着すがたの京子ちゃんは、女の子ふたりになると、恥ずかしく感じる。
「ねえ、後ろ向いて」
「いいわ」
「それから、まりちゃんの下着、洗濯機の中に入れて」
「わかったわ」
 ぼくはパンツとブラジャーを洗濯機の中に入れた。
「そのまま全自動で運転するから、触る必要ないから」
「はい」

 ぼくは全裸になりお風呂に入った。

 自宅のお風呂場とトイレには監視カメラがない。

 ぼくは気を遣って、自分の身体を先に洗う。
「先に入るわね」
「いいわ」
 京子ちゃんは後ろを向いたままだった。

 全身を洗い髪を洗う。素早くバスタオルで体を拭き。大きなバスタオルで身体をまいた。
「京子ちゃん。お風呂、ごちそうさま」
「どうも」
 ぼくは脱衣所をでて隣の台所のイスにすわって待つ。
 京子ちゃんからパジャマを借りた。京子ちゃんから、まだ着ていない新しい下着をもらう。



 

結局、朝まで起きて

 
 京子ちゃんが、まだ着たことない真新しい下着を取り出した。
 京子ちゃんは半分泣きそうな顔をしていた。
「でも、洗濯機のなかの下着は乾いたし」
「ねえ、まりちゃんが、この下着を着たでしょう。この下着をあげるわ」
「ごめんね。なんだか悪いことしているみたいで」


 ぼくたちはパジャマを着て、ベットの上にすわり、朝まで話し合った。
 午前6時、町内の会合とラジオ体操があり、ぼくたちは京子ちゃんの町内会の会合にでた。
 隣組制度があり、相互で監視する。
 ぼくたちはセーラー服を着て会合にでた。
「昔は個人主義が強いために自己中心の人間ばかりの社会にだった。みんなが権利を主張して自己中心的で不道徳な時代だった。反面教師のおとなが多く不良が多かった。でも、私たちは社会をよくするために自己中心に陥らないように個人主義を捨て、お互いに協力して良い社会を作りましょう」
 セーラー服を着たままラジオ体操をした。スカートが長いから脚が動きにくい。セーラー服は運動には適しない。
「今日、はじめての方は」
「はい。私、戸倉まり子です。それから、グラビアアイドルをしているので少年誌でビキニ水着すがたが載ります。今後も、応援、よろしくお願いします」
 みんなの拍手があった。
「ねえ、まりちゃん。早く学校に行きましょう」
「戸倉さん、学業とお仕事がんばって」
「はい」
 ぼくは、町内会の人たちに微笑んで答えた。

 6時半、駅に駆け込むと多くの通勤通学の人たちがたくさんいる。電車は超満員で2分おきに来る。
「窮屈だわ。毎日のことだけど」
「まりちゃん。ちょっとだけ仮眠しましょう。学校の教室に入ったら」
「うん」

 7時ちょっと過ぎ。クラブ活動で早朝練習にくる先輩たちに挨拶をする。教室に入り、ぼくたちはイスに座って仮眠をした。

ホームルームに公民 そして3時限目にベットで寝る。

 化粧くささを感じる。女子校の特有の匂いを感じ始めた。
「おはよう」
 クラスメイトのギャルが挨拶した。ぼくたちは起きた。
「おはよう」
 挨拶を返した。
「もうじきホームルームの時間」
「そうだね。毎週、月曜日の最初の時間と金曜日の最後の時間に行わるけど」
「でも、入学して、まだ3日目だから」
「担任の先生から大事な話があるし」

 午前8時、チャイムが鳴る。
「起立」
 担任の高野先生は毅然としている。もと自衛官出身。
「礼」
 軍隊式の敬礼をする。
「着席」

「これからロングホームルームをします。今日から7時限授業を、はじめますので、真剣に、これからの話を聴いてください」
「はい」
 みんなは一斉に返事をした。
「では、この女子校では、週35時限の授業時間があります。なお、体育などを重点的に行いますので、怪我をしないように十分注意してください」
「はい」
 横長の大型モニターに1年間のスケジュールが表示された。
 ぼくたちクラスメイト全員のタブレット端末にスケジュールが自動的に入力された。
「では、話し合いをしましょう。なにか要望はありませんか」
「あのう。スカートが長すぎます。・・・もっと短くできないですか。通学の時、電車のドアに挟まれそうだし、エスカレーターにも挟まれそうになったから」
「それは我が校だけの問題では解決できません。フェミニスト団体に抗議してください」
「わかりました。でも、通学のとき有事になればスカートが邪魔になるので」
「それは、わかります。適度な長さが必要です。短すぎるとパンツが見えるますよ」
 みんなの笑い声が聞こえた。
「笑うことないでしょう」
 強い口調で答えた。
「でも、パンツみられても恥ずかしくないわ。ノーパンなら別だけど」
 クラスのみんなの笑い声が聞こえた。
「パンツを穿くのは常識です。逆にスカートが長いことを利用してノーパンだった生徒がいました」
「そうですか。体育の授業がないときノーパンとノーブラ、下着なしでもいいのですか。先生」
「確かにこのセーラー服は時代に合わないです。もう少しスカートが短くてもいいと思います」
「あと週に8時限も体育系の授業がありますけど。で、ぼくはジャージで運動するのではなく、陸上選手とおなじ服装で体育の授業を受けたいです」
「そうですか。これは貴重な意見です。他には」
「格闘技が多いです」
「女子でも強い意志と体力が必要です」
「空手に柔道、それにボクシングにプロレス。ほとんど格闘技ばかりです」
「もし有事の時、敵に対抗できるために鍛えなければなりません」
「で、私、できたら競泳水着で格闘技の授業を受けたいと思います」
 担任の高野純子先生は、タブレット端末にペンで文字を入力した。
「まずスカートの長さと、格闘技は競泳水着。そして体育の授業は陸上選手と同じものですね」
 高野先生がタブレットに入力した内容が、横長のモニターにテキスト文字として表示された。

「それから、風紀は厳しくしません。規則ばかりだとストレスがたまるでしょう。私も毎晩お酒飲んでストレスを発散させているし」
 教室の中から緊張感が抜けた。笑い声が聞こえる。
「でも、下着を着ないで学校に来るのは、ちょっと問題です。中にはセーラー服の下に競泳水着を着てきた生徒もいましけど」
「競泳水着は動きやすいし、あの締めつけ感がいいし、でもトイレが不便そうで」
「思春期だとおかしな趣味に走りますし、一生、それがつづくようになりますよ」
「でも、刺青なんか一生消えないと思うし。でも、今の女の子は、みんな刺青を入れるのが普通」
「ぼくは仕事上、刺青が入れられません」
「戸倉さんは芸能人で肌を出すのが仕事ですから」
「でも、格闘技ばかりすると肌が傷つくし」
「戸倉さん、それだったら体育はジャージに格闘技は柔道着でもいいじゃないの。あなたの仕事を尊重して」
「ぼく、考えます。でも、できたら動きやすいほうがいいです。それにジャージだと汗が流れるし」

「先生、女子更衣室にはシャワーがありますか。運動ばかりすると汗臭くなるし、帰りはみっともないので」
「そうですね。クラスの人数は、全員が女子で48名。たしかに足りないです。交代で使ってください。我が校では予算が少ないので」
「市や都から補助金はないのですか」
「今は近隣諸国と緊張状態で、軍事と警察に優先されています。本当は教育にもお金を回して欲しいけどね」

「それから異常な数ほどの監視カメラがあるけど、どうしてですか」
「これは警察から義務つけられているのです。いじめや体罰、ケンカ防止のために」
「わかりました」
「あとはなにかないですか」

 ロングホームルームの時間、ぼくは睡魔と戦う。とても眠い。京子ちゃんは寝ている。
 ぼくは眠るなと念じたら。
「田村さん。田村さん、なんで寝ているのですか。大事な話ですよ」
 担任の先生から軽く頭を叩かれた。
「ご、ごめんなさい」
 みんなの笑い声が聞こえる。たぶん、ぼくも眠るかもしれない。

 ロングホームルームは45分授業なので、なんとか持ちこたえた。

 休憩時間、ぼくは机にうつ伏せになって寝る。10分なんてすぐ来る。
「起立」
 ぼくは起立をした。
「礼」
「着席」

 高校最初の授業は公民。現代の政治と国際情勢についての授業である。
「まー。実は尖閣諸島と竹島なんて原爆で吹き飛ばせば、領土問題なんか解決できる。日本にも原子爆弾が所有できたが、まだ一度も核実験をしたことはない」
 過激な意見を言う男性の先生である。
 でも、教室の中にヤンキーとギャルが48人も集まると怖さを感じる。この先生は冗談を言うことで緊張をほぐしている。

「確かに日本の軍事費は世界的に見て異常です」
 全体主義政権でも、こんなこと言っていいのだろうか。
「で、さあ。昔は日教組があった。昔の方が自由に意見が言えない。でも、偏った教育組合は解散したことだし。だから、自由に自分の意見が言える」
「先生。政府の政策を批判すると危険ですよ」
「大丈夫。10年間、本音を言っても警察に捕まらなかった。新憲法では言論の自由が保証されている。表現の自由があるから、きみたちも髪を染め肌に刺青が入れられうだろう」
「そうですが」
「で、日本はアメリカの次の軍事大国になった。憲法改正で世界第二の軍事大国になった」
「先生。この学校の設備は、かなり老朽化が激しいです。床とか壁には穴だらけで。それに耐震構造も不備で危ないです」
「我が校も、さんざん市や都に補助金を出してもらうように要望したけど、軍事費に優先される。で、入学金が異常に高いだろう。きみたちの親御さんは、とても高い入学金を払った。髪型とか服装、それにアクセサリーや持ち物などは自由だけど、勉強だけはちゃんとして」
「はい」
 ギャルとヤンキーばかりだけど、みんな素直に授業を受けている。
「で、中国の人口は日本の15倍弱。15億人も住んでいる。で日本の人口は約1億人。こんなに小さい国では国民皆兵と徴兵制がないと日本は潰される」
「そうです。外国から侵略されたらたまったものではありません」
「ほんとうは軍事力で物を言わせるのではなく、忍耐強い外交で緊張を緩和させなければならないのだよ。軍拡をすれば他の国も軍拡する。それで福祉や教育が弱体化してしまう」
「先生、島があるから中国と韓国と仲が悪いのですか」
「それだけではない。特定アジア諸国では反日教育を行っている。でも戦争が終わって、85年。戦争を体験した世代は、ほとんどいないのだよ。どうして、我々の世代が先祖の責任を取らなければなないのか。全く理不尽だよ!でも、竹島と尖閣諸島に原爆で消滅させるのも一つの手段」
「でも、そんなところで核実験したら中国と韓国を挑発するじゃないですか」

「それだけ過激な意見を言わないと少数派について耳を傾けない」

 ぼくは、また睡魔に襲われた。

 そして3時限目の国語の授業で、ぼくと京子ちゃんは睡魔に負けそうになり、保健室へ二人で行った。
「京子ちゃん。大丈夫」
「大丈夫」

 保健室に入る。気が強そうな女医さんがいる。
「敬礼」
 ぼくたちは軍隊式に敬礼した。
「で、どうしたの」
「具合が悪くって休ませてもらいます」
「なんで」
 きつい口調で言われた。
「そ、それは・・・」
「ちゃんと答えなさい」
 ぼくたちは、きつい口調で怒られた。

 この女子校は女性自衛官だった教師が多い。厳しい訓練に耐えただけあり気が強い。
 で、正直にぼくたちが保健室に入った理由を言った。
「ばかもん」
 大きな声で怒鳴られた。そして目が覚めた。
「あんたたち、もう中学生じゃない。規律をきちんと守って。眠いから休ませてなんて。甘えないで」
「ごめんなさい」
「ごねんですめば警察はいらないのよ」
 隣の京子ちゃんは、半分泣きそうになった。
「ねえ、あなたの名前は」
「田村京子です。1年A組です」
「ねえ、自衛軍の特訓は命懸けなのよ。眠いから休ませて欲しいなんて甘いわ。有事のときなったら敵に殺されるわ」

 それから1時間も、きつい口調で叱られつづけた。
「まあ、ベットで休みなさい。このことは担任の高野に言いますから」
「はい。申し訳ないです」

 軍国主義社会になっても、ビンタされることはなかった。でも、1時間も延々とお説教されるよりも、1発ビンタを食らったほうが、ぼくにとって楽だった。今すぐ寝たい。
 ぼくたちは、それぞれのベットのカーテンを締めた。セーラー服を脱ぐ。ブラとパンツだけになり解放感を感じた。 
 体罰は、この時代では厳禁。もしそれを破れば警察で始末書を書かなければならないし罰金もある。

 ぼくはベットの布団の中に入るとすぐ寝た。


 気がつけば昼休みが終わっている。5時限目のチャイムの音が聞こえる。
「京子ちゃん。京子ちゃん。起きている」
 彼女は、まだ寝ている。


「戸倉さん、昨夜は一睡もしていないですね。今日はキリがいいところで帰りなさい」
「はい」
 ぼくはセーラー服を着て、隣のベットで寝ている京子ちゃんと起こそうと思った。
 でも、彼女は気持ちよさそうになって寝ている。

「戸倉さん。もう帰りなさい。家が遠いでしょう」
「はい。そうです」
「ねえ、高校生は義務教育じゃないから、規律を守り勉強だけは真面目にしなさい」
「はい」
「それに女の子ふたり深夜の街をあるくなんて非常識だわ。それもセーラー服で」
「今後、注意します」

 ぼくは京子ちゃんの手を握った。
「京子ちゃん。悪いけど先に帰るから」
「あれ、何時なの」
「京子ちゃん。起きて」
 布団から出ると京子ちゃんの肌が見える。刺青が何箇所もしてある。
「京子ちゃん。一緒に帰りましょう」
「うん」
 京子ちゃんは、セーラー服を着てた。休憩時間になり教室に戻ってカバンとタブレット端末をもって帰るしたくをする。
 明日の放課後、高野先生からきつい言葉が来るだろう。それを覚悟して、ぼくたちは家に帰る。


 ぼくたちは手鏡を持ち確認する。唇にリップを塗り、ほんの少し赤くする。アイシャドーの具合も確認した。茶髪の長い髪が胸元を隠す。クシでとかし髪型を整える。

「ねえ、京子ちゃん。少し早く帰れたけど、明日、高野先生に叱れるわね」
「しかたないわ。でも、昨夜は楽しかったわ。ねえ、金曜日の夜は大丈夫」
「ちょっと待ってね」
 スマートフォンでスケジュールを確認した。
「金曜日は大丈夫。ねえ、今度は映画を見ない。政治色が強くない娯楽作品を」
「そうね。つまらくなれば眠ればいいし」
 ぼくたちは一緒に手を握った。頬をすり合わせた。

「ねえ、いつか・・・」
「やめて、京子ちゃん。恥ずかしいから」
「ねえ、レディスコミック読まない。貸すから。お酒がうちにあるから飲まない」
「うん」
「それにアダルトビデオも一緒に」

 ぼくたちは腕を組みながら駅に向かった。

学問とは ぼくはグラビアアイドル その1

なお、ほのぼのした百合作品なので、性的描写をしません。

簡単に言えば、ふたりの仲が良い女の子のものがたりです。

学問とは ぼくはグラビアアイドル その1

2030年の日本は軍国主義国家である。 そしてテクノロジーが発達しすぎて超監視社会・全体主義国家になった。 そのような社会でグラビアアイドルになった少女の物語である。 規律を重んじる社会ではストレスがたまる。健全なストレス解消法の一つがアイドル産業である。

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • SF
  • 青年向け
更新日
登録日
2013-01-12

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  1. 身体検査の日 親友とのお昼休み
  2. で、ぼくたちは・・・
  3. 手をつなぎ肩を寄せ合い喫茶店へ
  4. 紺色のセーラー服 同じアイスパフェを食べながら
  5. ふたりで深夜の街を歩き 一緒にお風呂に入り
  6. 結局、朝まで起きて
  7. ホームルームに公民 そして3時限目にベットで寝る。