2 - 2 - どれでもよかった。

この指とーまれで空に指を翳し、そこに蜻蛉が止まるまで不動で待ち続ける、能動的なのか受動的なのか、楽観的なのか悲観的なのか、そこに結末がなければ判別出来ないような、無意識下に思考の停まった、向こう見ずなことをしていた。
行動は起こした時点でカテゴリが決まるだろうか。結果が出るまでわからないものだろうか。「何も実っていない」という結果を毎秒続けた先で、結局私は何も実らなかった。そうやって結末は自らから決まったけれど、敢えて言うなれば、どんな言葉で終わらせるのか、それだけで物語はどうとでも変わるのだろう。故に戯言は好ましいのだ。
頭の中で完結してしまう感情など、どれだけ分岐しようがそのどれでもよく、行動に移ることが出来ればそれでよかった。無駄な思考に時間を使い果たし、それでもかろうじて動けていた頃を、苦し紛れに作ってきた道を、かつて守っていたものを、殺人という結末でふいにするわけだけれど、その、言い表したくもない感情も、時間が経てば分岐し、どれを選んでも変わらないようになった。
本当に、どれでも変わらず、どうでもよかったと言うのに、それでも追及しようとしてしまったのは、逃避で、能力のない弱者には必然的な行為だった。蹲って、幻を織っていた。それを探すと言い換えた。

私のヒーローがいたとして、けれど私は貴方を探しにいけない。妄想を形象するなど以ての外。それは更なる逃避を意味する。
ではその反対、向き合うとはなんだ?
―――答えられない。想定出来ない。
それは恐らく、私には不可能なことだ。死者は生きていない。
先のお前に倣って言うならば、逃避だろうが正当な相対(あいたい)だろうが、それには行動が伴っているのだから、蹲っている今よりはずっといいだろう?
―――逃避の果てに更なる逃避を重ねて、何になる。
それに、誰かを横切るような許し難く御し難い罪悪を、お前のように重くなった私は素早く行えないのだから。
それはひとりで逃げ続けている今への言い訳か?誰をも毒さないならそれでいいと?蹲っているから、誰も傷付けていないと?
軽々しいお前は流れるままに落ちてきただろ。戯言も言葉遊びも、返して欲しいのだと透けて見える。浅ましく厭らしく、醜く、度し難い。

終わりにしよう。お前はひとりだ。何もが無意味だ。


ぽつぽつ、ざらざらと、雨が屋根に当たっているのだと思っていたその音は、本当は、シロアリが屋根を食い潰していく音だった。
それでもよかった。今、この時に、君と雨をしのいで、しのげている、いた、いられたのなら。

2 - 2 - どれでもよかった。

2 - 2 - どれでもよかった。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-10-27

Public Domain
自由に複製、改変・翻案、配布することが出来ます。

Public Domain