何者

まだ何者にもなれていない

小さなボートを
自分なりの一生懸命さで
ここまで漕ぎ続けてきた

何者かになりたかった
何者かになれると信じていた

光が見えていた
いつも同じ
きっとあれが出口なんだ

鈍くなっていたのに
気づかないふりをして

いつの間にかたどり着いていた

でも
そこは

何者かになろうとしていた
自分が誰だか分からなくなった

まだ、自分にすらなれていない

櫂は使い物にならなくなった
でもその腕で進めるだけの力はついたろう?

沼を超えろ

何者

何者

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-10-26

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