「秘密の舞踏」

 風が舞って
 木の葉を くるり
 渦にまぜる
 うす紅さした枯葉に
 とうめいな水を注ぐ
 人は皆ぶ厚い硝子窓の内に納まったらしい
 此処には
 誰もおらぬ
 誰もこの秘密の舞踏を知らぬ

 哀れひとすぢの赤血の如く
 よく似合う口紅だけでもせめてと思ったのだろう
 枯葉と見なされた若葉に
 睦む冷やりとした水
 互いに指を絡めては
 ふた度離れじと微笑みの涙…
 風は人を追いやった
 氷の槍もて足ふみ鳴らす
 猛る演武に人は縮こまるが
 鳥は唄い 草木はうっとり眼を閉じる
 紅い葉と水は祝されり
 あゝ鬼面の風の瞳の澄んだこと…

「秘密の舞踏」

「秘密の舞踏」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-10-25

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