ハイリ ハイリホ(21)(22)

―十一 パパ・二―十一 僕

―十一 パパ

「逃げられたんじゃないんだ。逃がしてやったんだ」
 うーん、このセリフどこかで言った覚えがある。
「だけど、ちゃんと、蝉のしっこの情報は入手したぞ。この臭いを、犬のジョンに嗅がせて、あの蝉がどこへ逃げたか追跡しよう」
 どこまでも、親の威厳を守らなければならない。守るべきものは、それだけか。

二―十一 僕

 僕はゲームのプログラマーだ。よりゲームを面白くできるのであれば、お客様の意見を取り入れることが必要だ。人間なんて、自分一人が考えていることなんて、たかが知れている。自分だけのオリジナルなんてありえない。互いに、互いが影響し会ってこそ、面白いものが生み出される。
 だから、他人の意見を取り入れることで、より多彩な、深みのあるゲームが作れるんだ。時には、的を外れた意見もあるが、根本にある主旨を巧みに受け入れる、受け入れたふりをすることも必要だ。パパ、貴重な御意見ありがとう。
「うん、わかった、パパ。それは、名案だね。でも、ジョンにも蝉と同じように羽をつけないとダメだよ。」

ハイリ ハイリホ(21)(22)

ハイリ ハイリホ(21)(22)

パパと僕の言葉を交わさない会話の物語。―十一 パパ・二―十一 僕

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-01-11

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