1 - 2 - 解釈。

整合性の抜けた記憶の中の世界に、戯れに人生を重ねてみただけで、狂えなどしないことだって本当はわかっていた。
何もかもがわからないというのは、どんな戯言野郎でも言わないだろう真っ赤な大嘘で白々しい誇張表現で、どちらが本心なのかも、あの頃にはきっとまだわかっていた。
認めることで掛かる負荷に耐えられそうになく、目を逸らしたのだ。
事と事と事らのいくつかの矛盾に思いを馳せて、頭の中の都合の良い場所で蹲っていれば、泣き出しそうな、壊れそうな日々から、いつの間にか抜けられるのではないかと、きっと考えていた。
そこへ向かう日々は、ここに至る道程は本当に緩やかだったのか。
今まで長くそう考えていたのだから、きっとそうなのだろう。
もうよく思い出せない。

―――劣悪な頭で思い出せる劣悪なことを考えよう。
―――顔がにこっと、笑うように動いた。

人生の感情の大部分は後悔と劣等感だった。
言い表せないものは言葉に出来ないことで切り捨てられていた。
弱く、無能で、意気地のないクズだった。


一度反転したが最後、何度やり直そうが、逆さが逆さであることに変わりはない。裏の裏は更なる裏で、逆さの逆さの逆さも逆さだ。
それがわからないまま、いいえ、そんなことを考えることもなく、
流れるまま空で藻掻き、逆説を誘う沼で闇雲に動き、そうして数瞬前より濁った視界に出遭う。
どうにもならないと知る。
己は叫べもしないと知る。
厭世はそうやって作られるのでしょう。


過ぎたことを振り返り、考え直し思い巡らすこと、それは解釈だ。
あの頃にはまだわかっていたのかもしれない。
あの頃には、あの頃には、あの頃には、あの頃には。
ここはどこだ。
過去を解釈し、現在との一致を求めて、
求めている時点で不変という願いは到底成立していないとわかっていながら、
どちらなのかわからず、それを選べないことの言い訳にして、
何もかもわからないまま過去に殉じた。

1 - 2 - 解釈。

1 - 2 - 解釈。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-10-18

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