叫べ

叫べ

ぼくらはみんな赤ん坊だった
ただ月日が 経っただけよ
知りたくない世界を散々目にして
すり減ったこころを 
癒すものが 足りないだけ


花も木も 太陽が 水が
なければ生きられない

人間も 太陽があるから
影が うまれるの

穢れた陰を産むために
生きて来たんじゃないわ


今からはじまる物語は
果てのない未来へ続いてゆく
心臓の鼓動が止まる その日まで 叫べ

世界が争いをはじめても
ひととひとが貶しあっても
それぞれの魂はどうしたって 光って
汚れることなんてないのだと


生きている 生きている 生まれたの
息してる  息してる  せかいがあるの



ぼくらはみんなこどもだった
虹の終わりを追いかけて駆け出したんだ

ただ 月日が きみをおとなにしただけよ


花や木は なんのために生まれたか
せかいを彩るためだとぼくはおもいたい

ひとは 何のために生まれたの
いのちを奪う兵器を作るためではない



手を繋ぐ勇気がないのなら
せめて 見つめて
それぞれの魂が在ることを


これからも続く物語は
始まりなど探りきれない
ただ 生きている いまが あるだけよ

なにもしなくたっていい
ただ そこで 息をして

いのちを澱ませないで


ぼくらはみんな生きている
生きているから歌うんだ

そんな歌を覚えたあの日には
世界の刃には気が付かなかった

気づいちゃった
気づいちゃった

生き抜くんだ
生き抜くんだ

たとえ どれだけ大きな力を
目の前にしても

きみはそこで 叫べ 叫べ

いのちを

叫べ

叫べ

叫べ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-10-15

Copyrighted
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