父の町

父の町

会えなくなると あの日に
わかっていたのなら
恥ずかしくて言えなかった
いってらっしゃい も
笑って言えたのかな

会えなくなって思い出すのも
居ないと解って後悔できるのも
人間だけなのならば
僕は別の生き物に うまれかわりたいな



あれから待っていたんだよ ずっと
空に願ったよ
今日も あなたが健やかであれ
また 会えますように

記憶を無くさないよ ぼくは
生き続ける限り

あの大好きな海の町、手を引かれて歩いた
ちいさな ぼく



たとえあなたがどんなに いけない人だとしても
ぼくにはあなたは 大切なひと
ぼくは そばにいたかった


離れたくないよ
失いたくもないよ

何年経っても きっと
この 命が終わる日まで そう 願うよ


おとなになった子供のぼくは
そっと あなたの手を引いて
あの港町を歩こう あなたが生まれた町



あなたが手を引き歩いた 子供だったぼくは
いま あなたの 手を引いて歩ける
おおきくなりました


となりであの海を見ようよ
あの船に 乗ろうよ

いつの日にか 叶うだろうか
この先も ぼくは 此処で まっているよ

父の町

父の町

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-10-15

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