遅光

 かなしみを溶かす陽射しは、月明かりのように、月日をかけて温めてくれる。長い冬の間も絶えることなく。痛みに耐えかねて叫んだり、苦しみに喘いでいた時も、いつもそこには君の眼差しがあった。かつては確かに存在していたけれど、もうどこにもなかったとしても、僕は覚えている。いつも君がどんな風に僕を見守ってくれていたかを。いつまでも、いつまでも苦しみ続けるとしても、それ以上にずっと、ずっと絆され続けている。

遅光

遅光

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-10-04

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