モナリザ

 きっと誰でもないもののために、報いるべきだろうか。それは過去の寄せ集めのように意味深に微笑むばかりで、ただそこに影もなく佇んでいる。あなたはもういないのに、あなたによく似たもののために生きている。他の皆んなも死んでしまって、屍が積み重なるように渾然一体となっている。もう誰がどんな理由で死んだのかも思い出せない。皆んなの顔がどろどろに溶けてしまって、あなたによく似たモナリザのように微笑んでいる。

モナリザ

モナリザ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-10-04

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