喧騒
騒々しい破壊的なパレードのなかで深呼吸をして、目を閉じると、都会が森に思えてくることがある。鳥が鳴くようにクラクションが鳴り、月明かりが葉に照り返るようにネオンがかがやく。そして獣たちが捕食しあうように、人も騙しあっている。路地裏には集団で殴られて物を奪われる者もいる。森は何も拒絶しない。悪も、善も、そこにはない。ただ生きて死んでいくサイクルがあり、様々な生き物が思い思いに生きている。だが人が人であるためにはそれだけではダメだ。排気ガスまみれの森林浴のなかでは月明かりがやけに目に染みて、駅前で一人ギターを弾いている人の歌声をいつまでも聴いていた。
喧騒